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【京セラ ×島津製作所 ×Plug and Play Japan 共催】けいはんなエコシステムツアー

 2023年6月14日、京セラ株式会社・株式会社島津製作所・Plug and Play Japan株式会社の3社共同による「けいはんなエコシステムツアー」が開催されました。本イベントは、京セラけいはんなリサーチセンターと島津みらい共創ラボにて、開催されたもので、オープンイノベーションの一環として、Health、 New Materials、Smart Citiesのアクセラレータープログラム採択スタートアップのご紹介および企業パートナー同士の対面交流を図ったものです。その他のバーティカルの企業パートナーもご招待し、約70名が集いました。
 京セラを会場にしたイベントは、今回で2回目。2020年に行った第1回開催と同様に、採択スタートアップとパートナー企業間での相互理解が深まる機会となりました。

世界トップレベルのアクセラレーター/ベンチャーキャピタル。
シリコンバレー発のイノベーションプラットフォームとして、現在では40社以上におよぶ各業界を牽引する企業・団体がパートナーとして参画。グローバルネットワークを活かした「大手企業のイノベーション支援」「業界横断型アクセラレータープログラム」「スタートアップ投資」を強みとしており、革新的な技術やアイデアを持つスタートアップと大手企業との共創を支援。

素材・部品、デバイスなどの研究開発部門が集結した中核拠点。先進マテリアルデバイス研究所を核に、京セラの目指す未来を実現するための12のコア技術と3つの要素技術の進化発展に取り組み、京セラ内に広く提供している。また、これらの新たな組み合わせによる新商品開発にも注力。

10社のベンチャーがHealth・Smart Cities分野での新しい挑戦を報告

 イベントは、「京セラけいはんなリサーチセンター」の井上真司所長の挨拶により始まりました。
 「当社の先進マテリアルデバイス研究所は、微細加工プロセスを強みに、材料とデバイスの研究開発に取り組んでいます。多くのテーマはボトムアップで起案し、スタートアップと同じ感覚を持っています。それは創業者の稲盛が示したモットー『次にやりたいことは、私たちには決してできないと人から言われたものだ』が根底に息づいているからです。今回の機会ではアイデアについての議論はもちろん、苦労話や解決案などの会話を通じてつながりを持ち、更にオープンイノベーションも推進したいと思います」
 本イベント参加者間で新しいつながりを作り、Health、 New Materials、Smart Cities分野でのオープンイノベーションを協力して推進していきたいとの挨拶に、会場の心がひとつになった後、Health分野の5社、Smart Cities分野の5社、計10社のピッチへと移りました。

 まずは、本イベントで登壇した10社を紹介します。各企業の代表が事業内容、ビジョンとミッション、それに対するアプローチ法などを説明しました。

大阪ヒートクール株式会社

 大阪ヒートクール株式会社は、IoT関連機器の研究開発・製造・販売およびコンサルティング業を行うスタートアップ企業です。現在は、温度を用いたひっかき錯覚システム「ThermoScratch」の開発に注力しています。
 皮膚は、熱さと冷たさを同時に与えられると、サーマルグリル錯覚による痛覚刺激が生じます。「ThermoScratch」は、この痛覚刺激を利用することで爪によるひっかきを防止し、アトピー性皮膚炎などで深刻な”かゆみのペイン”を皮膚へのダメージなく解決するシステムです。
 また、企業研修や学校の義務教育などで活用が期待される月経痛体験デバイスも開発中です。

 株式会社Dental Predictionは、デジタルツイン技術を活用して、最先端医療をメタバース上で共有する医療支援事業を展開しているスタートアップ企業です。
 現在は、歯科領域にて複数の事業を展開しており、そのうちのひとつ「DenPre 3D Lab」では、歯科領域の教育における「体験」にフォーカスし、XR技術を活用した医師向けトレーニング、症例および歯科商品の3Dデータを使った歯科医療を支援するサービスなどを手掛けています。
 また、IBMのAIプラットフォームであるIBM Watsonを活用した、歯科健康相談サービス「mamoru」の開発にも注力しています。スマートフォンで手軽に歯科関連の症状を相談することで、すぐに症状に関連性の高い疾患がわかるサービスです。

株式会社エモスタ

 株式会社エモスタは、心理学とテクノロジーを組み合わせたソリューション・プロダクトを開発しているスタートアップ企業です。表情情報(感情)の定量化を表現できるAIの構築に注力しています。
 ポールエクマン氏のFACS理論に基づき、人の表情から「怒り」「軽蔑」「嫌悪」「恐れ」「喜び」「悲しみ」「驚き」「無表情」を検出し、表出可能性をパーセンテージで評価するAIを開発。実に、93%の精度を実現しました。
 これを発展させて、印象の定量的測定アルゴリズムや信頼形成度合いを評価するアルゴリズム、自己開示度合いの深さをはかる言語ライブラリ、セールストークの解析手法の確立、組織のキーパーソン特定とコミュニケーション活性化の取り組み、研修におけるエンゲージメント測定手法の開発といった、さまざまな成果を上げています。

ロゴスサイエンス株式会社

 ロゴスサイエンス株式会社は、医療機器の開発や販売をはじめとした、メンタルヘルス分野の新たなソリューションサービスの開発・提供を行っています。
 サービスのひとつである、メンタルヘルスプラットフォーム「LSプラットフォーム」は、医師や心理士向けメンタルヘルスメソッドプログラム、心因性EDを治療する医療機器プログラム(DR.アプリ)および法人・個人向けメンタルヘルスケアプログラムが組成されています。
 心因性EDの治療のほかに、うつ・不安症、歯科心身症、不眠症などのヘルスソフトウェアのパイプラインも保持しています。

株式会社INOPASE

 株式会社INOPASEは、東京大学ジャパンバイオデザイン発の医療機器ベンチャー企業で、ワイヤレス給電およびクローズドループを活用した、植込み型神経刺激装置を開発しました。
 これは、多くの慢性疾患に対して有効な治療法として臨床応用が進む、仙骨神経刺激装置と脳神経刺激装置です。仙骨神経刺激装置は、過活動膀胱に伴う尿失禁の軽減を目的とした、ワイヤレス給電技術を活用した小型デバイスです。1日の低侵襲(ていしんしゅう)日帰り手術で埋め込むことを想定しています。
 脳神経刺激装置では、難治てんかんの原生領域の正確な特定を目的としており、フレキシブル薄膜電極・ワイヤレス給電による、最長6ヶ月の脳波記録を行います。これにより装置植込み後の早期の在宅復帰と、再手術を伴わない電気刺激療法の移行が可能です。

株式会社SOLAR POWER PAINTERS

 株式会社SOLAR POWER PAINTERSは、栃木県内の高等専門学校発のスタートアップ企業です。
 太陽光で発電する独自開発の塗料、塗るだけで発電するインク「発電インク」の研究・開発を手掛けています。重量だけでなくコストも低く抑えられ、製品化の際は価格を従来のソーラーパネルの10分の1程度にすることを視野に入れて、日々開発に励んでいます。

株式会社フレンドマイクローブ

 株式会社フレンドマイクローブは、微生物を用いた技術を実用化して社会への還元を目指す企業です。現在は、食品関連工場の排水処理設備において、排水中の油脂を分解するシステムの開発や販売を行っています。
 これまでになかった圧倒的な油脂分解能力を誇る微生物製剤と排水処理法をもとに、食品工場や油脂工場の排水処理の前処理工程である加圧浮上分離装置を代替する技術です。本技術は、活性汚泥法だけでなく、膜を用いる活性汚泥法の一種・MBRや嫌気処理の前処理としても利用可能です。

CiPPo株式会社

 CiPPo株式会社では、地域の市民と店舗や事業者、そして役所をつなぐ地域メディア&SNSアプリ「CiPPo」を展開しています。
 具体的には、地域内で数百店舗の最安値優待サービスを集約し、それを福利厚生代行サービスとして、地域の事業所に販売する地域内循環システムです。広告費や求人費の地産地消につながり、地域活性化の促進にも寄与しています。

株式会社Otono

 株式会社Otonoでは、町が持つ本来の価値を、新旧・内外のさまざまな視点から見つめなおし、新しい価値の創造に取り組んでいます。
 独自に企画・開発した観光音声サービス「Otono」は、QRコードやGPS連動を介したオンライン上のコンテンツを再生する劇場型音声ガイドサービスで、観光案内のデジタル化を実現しました。
 現在は、スマートフォンやタブレットを使って、ドラマ仕立ての音声ガイドを提供するGPS連動型観光ガイドサービスの開発・提供や、AIスピーカーで観光案内を行う「Al・Otono」の開発に着手しており、観光施設やショップなどにおける無人化を目指しています。

株式会社Stroly

 株式会社Strolyは、情報技術サービスや製品の企画・開発・運営、また位置・空間技術に関するコンサルティングを行う会社です。現在は、エリアブランディングに効果的なイラストマップと、位置情報(GPS)と連動させてデジタル化する投稿型プラットフォーム「Stroly(ストローリー)」の開発・提供を手掛けています。
 Strolyは、Web上で利用するプラットフォームで、スマートフォン上で地図を見ながら観光しやすいことが特徴です。さらに取得した位置情報のデータを観光促進の計画に役立てることも可能で、コンサルティングサービス等にも活用しています。

ベンチャー企業や大企業が連携することで生まれる新たな価値創造を

 各ピッチの後には質問タイムを設け、温かい雰囲気の中で質疑応答が行われました。その後のネットワーキング会場でも、スタートアップ企業と、京セラ社員やパートナー企業様との間で、活発なコミュニケーションが見受けられました。

 京セラのオープンイノベーション推進部では、さまざまな分野で社会課題の解決や新たな価値創造に注力しています。本イベントのテーマでもあるHealth Tech分野では、患者さんや健康に不安を持つ人にいかに寄り添うか、またSmart Cities分野では、長く住み続けられる街づくりとはどんな街づくりか、その街に住む人々の立場になって考えることが必要です。
 京セラでは、今後も企業パートナー同士をつなぐ対面交流イベントを通じて、さまざまなステークホルダーの課題にアプローチできるご縁を共創し、あらゆる人たちにとって必要な会社として存続していきたいと考えています。

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