想像を超えた世界を作る
「メタマテリアル」の可能性を語るシンポジウム開催!!
目次
「メタマテリアルって何?」未来への可能性を広げる新技術
近年、様々な分野で「メタマテリアル」と呼ばれるワードをよく目にします。メタマテリアルは様々な材料の組み合わせや設計で自然界に無い特性や機能を人工的に作り出す魔法のような技術。社内外からそんなメタマテリアルに関心のある大学の先生や学生、企業の研究・開発者たち40名を超える人たちが集まり、1/31(金)にみなとみらいリサーチセンターにて「メタマテリアルとアンテナ」と題してミニシンポジウムを開催致しました。
京セラは2018年に「IT技術とエレクトロニクスの国際展示会CEATEC」でメタマテリアル技術を応用した薄型アンテナ”Amcenna®”を発表し、総務大臣賞を受賞いたしました。非常に大きな反響をいただきましたが、まだ大きく普及するところまで展開出来ていないため、さらに応用範囲が広がるような応用研究を進めています。そこで、我々以外にもメタマテリアルを研究している各大学・企業の研究者、関係者を集め今後の研究の方向性や新たなアイディアを募るための意見交換などを実施し、メタマテリアルの研究がさらなる発展を遂げ実社会への普及が広がるようにこのミニシンポジウムが企画されました。
「Amcenna®」とは何か
ミニシンポジウムは2部構成で、最初に主催である京セラ株式会社 先進マテリアルデバイス研究所基盤技術研究部の内村弘志より京セラが開発したメタマテリアルアンテナであるAmcennaの開発経緯を講演させていただきました。主な内容はメタマテリアルを応用した上でさらに小型化を図った新型アンテナ「Amcenna®」を開発するうえでの着想とその設計についての詳細についてでした。アンテナについては帯域幅やアレイ化の話など、今から本格的に普及する5Gを見据えた質問が出されました。またAMC(Artificial Magnetic Conductor:人工磁気導体)※そのものに直接給電してアンテナ化するところは理論を超えているのでは?といった質問では「実はできちゃったというのが実際のところです。」という本音も漏れ、偶然が重なってできた「神様のプレゼント」と題したブレイクスルーの話も聞くことが出来ました。
第一人者が語るメタマテリアルの最新技術
第2部は大阪大学 真田教授をお招きし、「メタマテリアルの基礎と最新技術」と題してメタマテリアルの歴史から実際の応用、メタマテリアルの今後の展望などを解りやすく解説いただきました。講演の中では透明マントなど大変興味深いトピックスについても触れられ、その原理や設計手法をお話しいただきました。そこではすでに5Gを超えた6Gの技術の中にもメタマテリアル技術が組み込まれていること、電磁波や光、音だけでなく流体にもメタマテリアルは応用される技術であること、メタマテリアルを使った太陽光での受動放射冷却フィルムが考案され、実際に温度が下がったことが報告されていることなど、メタマテリアルの応用の未来像が今まさに開かれている様子が語られました。
講演の後は、先ほど話題に上がった透明マントや流体などの設計やメタマテリアルの応用などが話題に上がり時間を忘れるほどの熱気に包まれたシンポジウムとなりました。
また、ミニシンポジウム終了後は参加者同士の交流の場として懇親会も開催致しました。懇親会の中ではメタマテリアルはもちろん、いよいよサービスが始まる5Gなど様々な話題で盛り上がり、大変有意義なネットワーキングの場となりました。
※AMC(Artificial Magnetic Conductor):人工磁気導体は自然界には存在しないPMC(Perfect Magnetic Conductor、完全磁気導体)をある周波数範囲に限って人工的に実現したメタマテリアルの一種