THE NEW VALUE FRONTIER
OIA Open Innovation Arena
  1. Home
  2. オープンイノベーションアリーナ
  3. Journal
  4. 開かれたR&Dを目指す!『バーチャルオープンラボ』をきっかけに社内連携を推進する

オープンイノベーションアリーナ

開かれたR&Dを目指す!『バーチャルオープンラボ』をきっかけに社内連携を推進する

研究開発部門の閉鎖性や自前主義からの脱却は、オープンイノベーションを推進する大きな目的の一つとして挙げられてきました。大企業の組織で働く技術者は自らのアイデアや技術にこだわりを持つ傾向が強く、それが大企業におけるイノベーション創出の足かせになっている、という指摘が背景にあると言われています。この指摘が京セラにも当てはまるかどうかは分かりませんが、新しい時代に向けたイノベーションのスピードを加速するには、“開かれたR&D”が必要だ、という意見に反対する人はいない様です。

京セラの研究開発本部では、2020年5月28日(木)に“第1回バーチャルオープンラボ”と題して、研究開発の主な活動をクラウドベースで広く社内に情報発信する取り組みを開始しました。上記の指摘にもある様に、研究開発部門の取り組みは性質上秘匿されるケースが多く、同じ会社内でも『クローズ』のイメージが強くなりがちです。“バーチャルオープンラボ”は、イノベーション創出の前提となるR&Dと関係部門間の連携を深め、加えて『コロナに負けるな』、というメッセージを込めて実施されました。今回のEditor’s Reportでは、初めての試みとなる京セラ研究開発本部のバーチャルオープンラボについて紹介します。

バーチャルオープンラボ

Program

バーチャルオープンラボの話が持ち上がったのは4月末。5月頭の会議で了承された後、約2週間でコンテンツ制作から環境設定、告知・参加者登録までスピード感を持っての開催となりました。マイクロソフトのTeamsをベースに約300名の視聴者をつなぎ、(1)1時間程度で終わらせる、(2)出来るだけライブ感を出す、(3)退屈させない、そして(4)少しバカバカしく(笑顔にする)、というコンセプトのもと録画ビデオとライブの複合形式で実施されました。

社内向けという事もあって詳細内容には触れませんが、冒頭に研究開発本部長からR&D活動の全体紹介が行われた後、オープンイノベーションの取り組み、コンセプトカー、Possiプロジェクト、ベンチャーアクセラレーションプログラムPlug&Playの紹介、と5人のプレゼンターが各10分程度でそれぞれの活動について紹介しました。この取り組みは今後もR&Dの各部門単位でシリーズ化して継続し、将来的には外部へも公開する予定です。

第1回バーチャルオープンラボでは、研究開発の硬いイメージ払拭と社員の士気向上、そしてR&Dのチャレンジスピリットを伝える為、アバターやBGMなどの映像音楽効果やコント形式のやり取りなども交えたビデオならではの演出を施したプレゼンテーションとなりました。演出色が強かった関係もあり視聴者の反応が気になるところでしたが、アンケート調査によれば評価は総じて高く、プレゼンター側の意図がしっかりと汲み取られたバーチャルコミュニケーションの可能性が広がる第1回の開催となりました。

バーチャルがもたらす新たなコミュニケーション

新型コロナウイルスの蔓延をきっかけとして世界中で人とヒトとの接触が避けられる中、新たなコミュニケーション手段として様々なクラウドツールが使われるようになりました。オープンイノベーション活動においてもWebinar形式でのセミナーや講演会が多数開催されるようになり、また社内外でのブレインストーミングやアイデアソン等でも活用されはじめ、新たなソーシャルコミュニケーションツールとして注目を集め始めています。

人とヒトは目と目を合わせて初めて心が通じると言われています。ホルモン分泌などの研究でも対面式のコミュニケーションが心のつながりに大きな効果をもたらすという結果も出ている様です。今回のバーチャルラボ開催で得られた実感は、クラウドツールでも一定の『つながり感』を得られ、工夫次第では思いもよらない新たなメリットを生み出す可能性がある、ということでした。バーチャルでのイベントづくりは会場設営や物品運搬、人の移動などを伴わない為、準備が簡素化され、低コストでスピーディな開催が実現できます。また、発表内容のデジタル化やパソコン視聴による参加ハードルの低下、リアルタイムでの質問受付、参加者動態の見える化などリアルイベントでは実現できなかった利点があります。今までは当たり前だった物理的な制限を取り払う事で参加者の利便性や自由度もアップされ、リアルとバーチャルを組み合わせることで新しい交流のスタイルが生まれる、そんな感触を得る開催となりました。

オープンイノベーションの推進

京セラ研究開発本部では、『人とヒトとの交流を通じて、イノベーションのきっかけをつくる』ことを目標に、組織や会社の壁を超えたつながりの形成を推進しています。社会課題へのアプローチは、ソーシャルな視点無くしては取り組むことはできません。企業としての立場と社会としての立場の両面から課題を捉え、最適なイノベーションアプローチを探るきっかけづくりとして、異種格闘技戦や様々なソーシャルイベント、アイデアソン・ハッカソンなどを開催しています。リアルとバーチャルを駆使して、京セラと皆さん、そして皆さんと皆さんとのつながりを推進し、新しい時代に向けたイノベーションのきっかけを生み出す機会の創出を推進して行く予定です。OiAサイトのイベント及びβプロジェクトでは様々な交流機会などの情報を発信しています。京セラの『開かれたR&D』活動に是非ご期待ください。

この記事の感想をお聞かせください