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テッちゃんの「人とくるまのテクノロジー展」見てある記

すーっとくるまの窓が開いて…。「お元気ですか?」わかる人はわかる挨拶から始まる…。本当はくるまより電車が好きなテッちゃんです。

【テッちゃんプロフィール】

OiA編集長、趣味は電車にプロレス・料理・競馬、そして友達を増やすこと。好きな食べ物は「〇まや」ランチの明太子の食べ放題定食、年齢は~~内緒。好奇心旺盛で、面白いテーマに興味津々!

目次

    「人とくるまのテクノロジー展」が2024年の5月22日~24日にわたって、我々のみなとみらいリサーチセンターのお隣、パシフィコ横浜で開催されました。かつて世界を席巻した「日本車」。最近は電気自動車になって海外からギュギュギュッと押されてますが、電動化が進むにつれ「家電化」しつつある気が何となくし始めてます。

    昔は子供ながらに自分の家のくるまが徐々に大きくなって、父上が偉くなったんだなとかwww。いわゆる家のパラメータでした。
    ウチはキャロル⇒パブリカ⇒ランサー⇒ギャラン⇒クレスタ*¹と大きくなりました。若者ウケするくるま(マイケル.J.フォックスがCMしてた『かっこインテグラ*² !』)が欲しくてしょうがなかったとか、運転席から助手席が倒せる(何のために???)プレリュード*³とか、親父が買い換えて要らなくなったくるまを「くるまほしいならコレ」と渡されたときの絶望感とか…(まあ自分で買うお金も無かったのだがwww)。くるまは思い出の1ページとともにありました。ロクな思い出がなかったのですがwww。

    弊社も2世代にわたってコンセプトカーを展示したりして、以前は未来のくるまの姿を見ることができる展示会だったのですが、最近はEVが普及し始め、自動運転も徐々に広がりつつ、乗用ドローンなどの台頭で「もう大体、地を這うのは”やすこ”と”くるま”くらいなもんで、ミライは出そろった感があるかな?」なーんて思っていたのでした。はたして、くるまのミライはどうなっていくのか?

    なお、本記事で紹介した他社製品は、テッちゃんが個人として取材した内容であり、弊社と関係があるものではありません。

    *1
    キャロル
    初代キャロル 1962~1970:東洋工業(マツダの前身)の
    360㏄車、日本初の軽自動車4ドア
    ただしウチのは2ドアでした。
    ちょっと前に復活して今でもありますね。
    パブリカ
    1961~1988:トヨタの小型乗用車 700ccの水平対向空冷
    エンジンを搭載した車
    乗り物に弱かった私は良く酔いました。
    スターレット⇒ヴィッツにつながってます。
    ランサー
    ランサーEX 1979~1987:三菱の小型セダン、1200/1400/1600/1800と4種類のエンジンを持った 当時三菱はエンジン名に星座の名前を付けていた。
    ウチのは1400ccオリオンエンジンでした。
    ギャラン
    5代目ギャランΣ 1983~1999:三菱の普通乗用車 当時は確か高倉健がCMをしていて「親父、違いすぎるぜ!」と思っていた。お尻についてたΣがセダンでΛはクーペだった。
    クレスタ
    5代目クレスタ 1996~2001:トヨタの3ナンバーセダン 当時「マークⅡ」「チェイサー」「クレスタ」の3車種が
    バカ売れ。「いいくるま乗ってたなあ。親父」
    *2
    2代目インテグラ 1985~1993:本田の当時の最先端VTECを搭載した1600㏄小型乗用車 いやとにかく車高が低くてかっこよかった。
    VTEC(Valuable Valve Timing and lift Electronic Control)はエンジンの回転数に応じてバルブの開閉時間を制御する仕組み。電車のVVVFと似てるなあ。←気のせい
    *3
    3代目プレリュード 1987~1991:若者が憧れるくるま いわゆるバブル時代のスペシャリティーカー。
    欲しかったけど結構高いくるまでしたよ。

    驚くほどの大盛況

    公益社団法人自動車技術会が開催している「人とくるまのテクノロジー展」(いわゆる “人くる展”)は自動車産業の技術・交流を促進する場として1992年から開催されている展示会です。コロナ前はもう少しで10万人…2022年からリアルが再開されて約43,000人、2023年が約63,000人、そして今年は約76,000人と言う来場者数を誇るというとても大きな規模の展示会なのだ(昨年のCEATECが約90,000人)。

    いやー、ビックリしました。中日にも関わらず大盛況です。ブース間の通路が狭いのもあるかもしれませんがすごい人です。やはり日本を代表する自動車産業界の技術が集まっているだけありますね。今年は昔と比べて派手さは無いですが、相変わらず自動車産業の裾野の広さを感じます。くるまメーカーから素材・化学・加工などとても多くの企業が出展していました。今年感じたのは「テスト計測やシミュレーション・ソフトウェア」の領域が大分大きくなっていてメインホールの半分近くを占めている感じでした。安全性担保のための試験やシミュレーション、それからくるまの電脳化に伴いソフトウェア制御が欠かせなくなってきている状況がうかがえますなぁ。

    私の感じた軸は3つ「安全性の追求」「快適性の追求」「分散処理」

    2022年にリアル開催が再開されてから「GO Carbon Neutral!」「Try the Next!」そして今年は「Co-Creation!」ということで、様々な会社が会社を超えて連携している様子がうかがえました。特に自動運転の社会実装に向けた安全性の取組みは人間の目の代わりとなるセンサーとその神経系である信号処理など複雑さを増し、様々な餅屋(専門家)が連携してシステムを構築する様が見て取れ、各社がさらなる安全性の確保に様々な取り組みを進めていたぞ。

    また、さらなる快適性の追求を目指し、人間がより心地よく過せる車内をいかにつくるか、様々な企業の複合材料や照明など新しい素材や仕組みが展示されていたのだ。
    昔のくるまではタイヤ・ブレーキや前後左右に感じるG(重力加速度)をいかに人間に伝え、その判断を人間が逆にダイレクトに伝えられるかという事が重要でした。今やその人間が感じる感覚を末端のタイヤやブレーキ・車軸がそれぞれ状況を判断し、最適な制御を行う機能(感覚)の分散化が進んでいたぞ!テッちゃんはかつてバッテリーが上がった上にエンストこいてくるまを押して飛び乗ってエンジンかけた(通称:押しがけ)ことがあるが、くるまの重さをダイレクトに感じたぞ。しかしすでにこの時代、たぶん押しがけもできない!!基本電気が無いとくるまは動かないのだ。

    HONDAのFuel CellはGMとの共同開発

    くるまが手にした新たな目

    KOITOの3種類の小型LiDAR
    日産の新プロパイロットはモヒカン部分にLiDARがインしたウルトラマン風

    まずは安全性の要である「目」の部分。各社が様々な目を展示していました。今や普通のくるまでもカメラが標準装備されつつある時代。より安全を担保するため各社LiDAR*⁴と言われる光センサーの開発を進めているのだ。

    KOITOはヘッドランプの視認性を高めるADB*⁵システムや小型のLiDAR 3種を展示。車載はもちろんのこと交差点において交通安全を見守るための用途に応じたLiDARを3種類展示していました。日産さんもLiDARを頭にインした新プロパイロットを披露。人間の眼だけでなく自動車自身の目はどんどん進化していく様子がうかがえたのだ。LiDARもADBも細かい目の集合体が虫の複眼のようになっていって、今更ながら虫の器官はスゴイと思わせます!

    *4...Light Detection And Rangingの略。赤外線などの目に見えないレーザー光を照射して、その反射光が帰ってくるまでの時間から、反射物体までの距離を計測するセンシング技術
    *5...Active(Adaptive) Driving Beamの略。いくつかのLEDの配光を個別に制御し、光があたった人のまぶしさを低減しながらも運転手には明るい視界を提供するシステム

    居心地や高級感もいるよね。

    安全性が担保されたら次は快適な社内。低燃費のために軽くて丈夫な素材を求めて金属から樹脂へ様々な材料が移っていく中、人間の「感性」に訴える様々な加飾材が展示されていたぞ。

    内装表皮に金属をコーティングしたり、透過性を高めてOFFの時は普通の木目なのに、スイッチを入れるとディスプレイに変化する。必要なものだけをさりげなく浮かび上がらせる内装材など、一見木目でクラッシックな感じなのだが、後ろから光を当てて文字や記号を映し出し、インジケーターやスイッチになったりする。見えないところで進化は続いているのだ。また15年ほど前に自分が乗っていたオデッセイで初めて採用された樹脂燃料タンクも、今や当たり前。軽くて燃えにくい部品の素材もどんどん普及しているのだ。

    積水化学工業 AURORADE™表皮材
    TOPPAN ダブルビュー® フィルム

    手足に脳がある?制御の分散化が進む!

    最後はくるまの基本、「走る」「曲がる」「止まる」の制御分散化だ!4輪がそれぞれ独立に制御されるとどうなるかを始めて私が知ったのが1988年S13新型シルビア*⁶登場時っすよ。
    あの4輪操舵のヌルっとした車線変更に驚愕した時代から36年、ついにタイヤの回転やブレーキングのすべてが独立する日が来るとは!!

    *6...5代目シルビア 1988-1993:若者が憧れる車、ホンダのプレリュード1強を崩すため、日産が満を持して送り出したスペシャリティーカー。走りもすごかった。

    DYNAX(ダイナックス:EXEDYの子会社)のインホイールモーター

    電動化が進んだおかげでモーターがホイールの中に入っちゃうって、すごくないですか?4輪全部が前に後ろに回っちゃったら小回り効きまくり。そもそも軸も要らなくなっちゃうし、軸が要らなくなったらディファレンシャルギアとかも要らないじゃん!そもそも電動化したらもうクラッチもいらないから大分床下スカスカになっちゃうね。教習所で半クラに苦しんだ人には朗報!(AT限定の人は半クラなしですねwww)

    開発をしている方にお話を聞くと「4輪のそれぞれを独自に制御することで安全性が高まるのはもちろんですが、1台のくるまでFR*⁷やFF*⁸っぽい操縦感や乗り味をコントロールすることができます!」とのこと。いやもうそういう概念ないのに、よくわかってる風のオジサン用の機能ジャン!それ要ります(笑)

    ブレーキについてもそう。くるまのブレーキって、ブレーキペダルを踏みこむと、オイルが詰まっているタンクにぐっと圧力がかかって、パスカルの定理でそれがパイプ全体に詰まっているオイルに同じ圧力がかかってタイヤの内側からシューを押し付けたり、ディスクを挟み込んだりするんだと思ってたのだ。だからブレーキはぜーんぶ油が詰まったパイプでつながってるイメージ。

    ところがですよ、いつの間にかブレーキペダルからの入力が電気信号に置き換わってましたよ!このパワーブレーキが電気信号でアクチュエーターを動かして圧力を発生し、ブレーキを動かすのだそう。現在の速度や車体の挙動を感知してそれぞれのブレーキの利きを調整することもできるようになっているのだ。

    *7...Front engine Rear Drive:エンジンが前にあって駆動輪が後ろの2輪である駆動方式
    *8...Front engine Front Drive:エンジンが前にあって駆動輪も前の2輪である駆動方式

    おじさんが知ってるブレーキシステム
    Boschのデカップルド パワー ブレーキ
    未来のくるまはこんな感覚か?!

    いや、未来のくるまのイメージってこんなイメージかっ!(笑)
    さすがに騎馬戦ほどみんなの意思がバラバラではないが、上に載っている人がきちんと指示を出せば、自由に動けるイメージ。うーん、でも騎馬戦って前のカラダのデカいヤツが勝手に走り回っていて上の言うこと聞いてないよな。
    だから上の人間の意思(目標:勝利)を理解してそのために何が必要か各馬が自律的に動いていく?コレって会社組織???ウチの会社のアメーバ経営に似てるんじゃないか?

    これが高速に動き回るのには確実な目標伝達と意思統一が必要なんじゃないの!これはハッキングされたら一大事だ。 そういう意味でソフトウェアやセキュリティの技術もとても重要になってきて、そういったブースもどんどん重要度が増していくと実感しましたよ。 すばらしい技術の目をもって、安心安全でラグジュアリーで、上に載ってる人の意思がしっかり伝わる騎馬戦の馬って会社組織??。未来の乗り物は意外とこれだな(笑)。

    最後に…。

    色々見て回って思ったのですが、これからくるまは速いスピードで移動するものではなく、各個人が行きたいところへ楽に行く。小回りが利いて安全な小さいスローモビリティーに進化していく気がしてきました。少人数でエネルギー一杯使って移動するより、そのスローモビリティーごと公共交通と言われる高速移動手段に乗れて…エネルギーを極小に、事故を少なくしていくためにはそうなっていくのが理想的なような印象を受けました。そうなるとモビリティも家電の一部みたいになってもおかしくない。そんな未来が垣間見えた今回の「人くる展」でした。

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