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オープンイノベーションアリーナ

傾斜/凹凸など、従来にない形状を形成可能なセラミックス異形状形成技術

セラミック(アルミナ、窒化アルミ)を用いた異形状パッケージ

 セラミックパッケージは放熱性、電気絶縁性などの特徴があり、コンピューターの心臓部CPUのパッケージ材料として広く使われてきました。創業から60年、京セラは、情報通信や自動車関連市場などさらに拡大するニーズに対して、様々な形状のセラミックパッケージを提供しています。昨今のデバイスの小型化、高放熱化からパッケージには、従来構造(形状)とは異なる異形状パッケージが要求されます。今回、異形状パッケージを実現するための新プロセスを開発しました。上図は、この新プロセスにて作製した試作品の写真を示しています。セラミックスを用いたこれまでにない異形状(微小凹凸・斜面・溝加工etc.)を作製することが可能です。

アルミナ材料での例

 左図には、新プロセスで作製した世界最小サイズ(外形サイズ0.8㎜×0.6㎜)の水晶デバイス用アルミナパッケージとその断面図を示します。水晶デバイスは結晶の一端を保持した片持ち構造で、もう一方の端は自由にする必要があります。新プロセスによって、赤丸で示す浮島構造とすることで水晶振動子とパッケージとの接触が防げ、理想的な片持ち構造を実現しました。

 右図に、可視光半導体レーザー用途の異形状窒化アルミパッケージを示します。従来のメタル缶パッケージ(TO-CAN)に対し、小型低背化が可能です。
 (a)斜め構造パッケージは、パッケージの一部に斜め部を有し、この斜め部にミラーを設置することで、レーザーダイオード(LD)からの光を垂直方向へ取り出すことができます。
 (b)穴構造パッケージは、LDからの光を水平方向へ直接取り出すことが可能となります。いずれも開発した新プロセスにより実現できる構造です。

窒化アルミ材料での例

セラミックス異形状形成技術

 京セラではシートを金型で打ち抜いて積層していた従来プロセスとは一線を画す新プロセスを開発しました。新プロセスは、加熱すると変形するシートを鋳型に押し込み、その鋳型の形状をシートに転写するプロセスです。鋳型は切削、エッチング等で加工できるため、得られる形状の自由度が高まり、従来プロセスでは作製できなかった異形状のパッケージを得ることが可能になりました。

異種材料接合有機パッケージ

 今後のパッケージには、異形状対応に加えて、異なった材料を一体化できるハイブリッド基板が必要になると考えています。このニーズに対し、京セラは有機材料を用いた異種材料接合有機パッケージを開発中です。下図には、セラミック(アルミナ)と接合したサンプルおよびLCP(液晶ポリマー)材料と接合したサンプルの断面写真を示しています。ともに、他の有機パッケージで使われる接着層を用いることなく接合できています。さらにその下の図には、キャビティ底の一部にCu板を配置した、異形状異種材料有機パッケージの断面写真を示しています。京セラは、これらの異形状形成と異種材料接合を両立させ、有機と無機、有機と金属、無機と金属など様々な組み合わせで価値あるものを創造していきます。

 今後はこの技術をパッケージだけでなく、様々な付加機能を持つセラミックス材料として展開したいと考えています。

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