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新規事業開発が失敗するのはなぜ?
オープンイノベーションを活用して事業の停滞を打破

経営者や事業責任者の方を筆頭に、「自社がこれからの時代を生き残り、継続的な成長をするには新規事業の開発を成功させなればならない」といった危機感を抱くビジネスマンは多いのではないでしょうか?

しかし、新規事業は未踏の大地に踏み込むようなチャレンジです。そのため、本当に成功するのか、成功するためにはどうすればいいのか、という悩みや不安はつきまといます。
本記事では新規事業開発が求められる理由、失敗する原因、成功のコツをまとめてご紹介します。

目次

    なぜ新規事業開発が必要なのか

    まずは企業が常に新規事業開発に挑まなければならない理由について解説します。それは「既存事業の限界」と「市場の流動性の高まり」です。
    平成元年(1989年)に世界時価総額ランキングトップ20に入っていた日本企業14社のうち平成の終わり(2019年4月)に残っていた企業は一社もありません。それぞれの事業内容が時代遅れとなり、新たに事業を興した企業に取って代わられたからです。

    GAFAに代表されるように、ランキング上位の企業は次々と新たなサービスを提供しています。時代の潮流に遅れを取らないために新規事業を立ち上げることは、企業が生き残り成長し続けるために不可欠といえるでしょう。グローバル化が進み、インターネットが発達した現代では商品・サービスが変化するスピードはどんどん早まっています。中小企業庁によると、5年以上売れ続けているヒット商品が1970年には約60%もありましたが、2000年代になると5.6%と、十分の一以下に減少しています。消費者のニーズが変化するスピードが加速しており、企業はスピーディな対応が求められているのです。

    新規事業開発に取り組むことは数年後の自社の利益を確保するために避けては通れないといえるでしょう。


    新規事業開発が失敗する理由

    勢いだけで新規事業開発に取り組んでしまうと、既存事業の焼き直しに過ぎなかったり、成果が得られずただコストがかかってしまっただけといった失敗に陥ってしまう可能性も多々あります。そういった失敗に陥ってしまう原因は何なのでしょうか? 今回は3つの原因についてご紹介します。

    固定観念に囚われてしまっている

    1つ目として、事業責任者が固定観念に囚われている場合、新規事業が既存事業の焼き直しになってしまう可能性があります。
    例えば既存の物流の構造は変えられない、IT導入には大きなコストがかかる、新しい取り組みに現場の協力は得られないといった思い込みはないでしょうか?これまでの考えを捨てなければ、本当の新規事業開発は決して実現できません。

    失敗を恐れている

    2つ目として、失敗のリスクを恐れ、上司の顔色を伺ったり、自身の保身となる予定調和なアイデアや、意見しか出ないというのもありがちな失敗要因です。たしかに新規事業は利益に通じる保証は一切ないため、経営層の同意を得るのが難しいという場合もあるでしょう。

    しかし100%成功が保証された新規事業は存在しません。手をこまねいている間に既存事業が時代遅れとなり、挑戦するための企業体力が失われてしまう可能性もあります。挑戦に踏み切る覚悟が新規事業開発には不可欠なのです。

    手段が目的化している

    3つ目の失敗の原因として、新規事業開発のための行動を起こしてはいるものの成果が上がっていないという場合、手段が目的化している可能性があります。例えばビジネスコンテストを開いたり、新しいソフトウェアを導入したり、ベンチャー企業と手を組んだり……新しいことを始めたものの、ふたを開けばコストだけがかかっているパターンです。

    新規事業開発の目的は、最終的に自社の利益の柱となる事業を生み出すことです。その目的を見失い、ただ新しいことに取り組んだだけで満足してしまっては元も子もありません。

    新規事業開発を成功させるためには

    上記の失敗をおかさないためにも、どのような考えで新規事業開発に取り組めばよいのでしょうか? 新規事業開発を成功させるためのマインドセットや行動について解説します。

    成功体験を捨てる

    「固定観念にとらわれる」「失敗を恐れる」といった失敗要因を排除するためには、成功体験を捨てるマインドセットが重要です。それまでの事業で確立した方法論をどうしても新規事業にも当てはめたくなってしまうものです。しかし、事業が異なれば従来の法則は通用しません。ノイズとなる成功体験は一旦頭から排除し、市場と顧客に求められる事業とは何か? というスタート地点から自由に発想を広げましょう。

    企業の外に出てみる

    自身や事業部が固定観念にとらわれていないか、手段が目的化していないかを自ら気づくのは困難です。そのため、新規事業開発の担当者は社外の人々と積極的に交流するべきです。
    他者の意見や事例に触れることで「自分たちはこんなに固定観念にとらわれていたのか」「こんなやり方が可能だったのか」といった気づきが得られることでしょう。企業や大学、地方自治体などがコミュニティの垣根を超えて交流し、新しいアイデアや技術などのイノベーションを創出する活動をオープンイノベーションといい、新規事業開発にも効果的な手法として現在注目を集めています。

    オープンイノベーションをもとに新規事業開発を成功させた事例として、ソニーグループ株式会社の「Sony Startup Acceleration Program」が挙げられます。この事業から生まれたスマートロック『~Qrio Lock(キュリオロック)』は、ソニーとベンチャー支援企業・株式会社WiLとのジョイント・ベンチャーから開発されました。『Qrio Lock』を販売するQrio株式会社は2014年に両社の合弁会社として設立され、その後ソニーが完全子会社化し、ひとつの事業として成長させ、利益に貢献しています。


    新規事業開発は一筋縄ではいかない

    新規事業が必要になった理由とよくある失敗の理由、成功のために意識すべきポイントについてご紹介しました。
    新規事業開発は会社の未来をつくる取り組みです。マニュアルや保証がないため難易度が高い道のりではありますが、挑戦する意義は非常に大きいといえるでしょう。

    また、京セラでは横浜・みなとみらいにある「みなとみらいリサーチセンター」や京都の「けいはんなリサーチセンター」にて、オープンイノベーションを促進する講演会やパネルディスカッション、ネットワーキング(異業種交流会)・ベンチャーピッチなどのイベントを多数開催しています。今後も様々なオープンイノベーションイベントを実施していく予定ですので、新規事業開発者のみなさまのご参加をお待ちしています。


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