【公共産業用太陽光発電システム】
古河AS株式会社様 導入事例
古河AS株式会社様 (滋賀県犬上郡甲良町)|2022年1月設置
カーボンニュートラル達成に向けた第一歩。
自社遊休地への自家消費型太陽光発電導入により
グループ会社を含めたカーボンニュートラル対策が加速。
滋賀県甲良町にて、ワイヤーハーネス(自動車用組電線)等の車載用関連電装部品の設計開発・製造販売をしている古河AS株式会社さまの本社工場施設内に、自己投資/自家消費型で太陽光発電システムを導入いただきました。駐車場敷地の隣の遊休地に、京セラ製太陽電池パネル(容量471.2kW)を野立てで敷設し、2022年1月31日に運転開始しました。年間約560,000kWhの電気を発電し、約300tのCO₂削減に貢献しています。※1
今回は、太陽光発電システムの導入を推進された古河AS株式会社の大橋氏にお話を伺いました。
●古河AS株式会社様との対談内容を編集して掲載しております。
システム概要 | |
設置場所 | 敷地内遊休地 |
設置容量 | 471.2kW |
設置年月 | 2022年1月 |
初年度CO₂削減量 | 301.0t-CO₂/年(二酸化炭素換算)※1 |
導入形態 | 自己投資/自家消費型 |
- ※1導入時のシミュレーション値による
太陽光発電システムを導入したきっかけは?
古河AS株式会社は、2018年に古河AS環境チャレンジ2050を制定しています。これは、2050年のカーボンニュートラル達成を目指した指標で、2030年度のGHG(Green House Gas)削減目標を2017年度比50%削減と設定しています。2020年に、2030年度のGHG削減目標達成に向けた重要アイテムのひとつとして、太陽光発電システムの導入検討を開始しました。
2020年に、親会社の古河電工三重工場にて、太陽光発電システムの導入検討が進められていたこともあり、導入に向けた動きが加速しました。
太陽光発電の知識は全くなかったため、最初は情報を集め、たくさん勉強をしました。オフサイト、オンサイト、PPA※2、自家消費といった導入方法や屋根設置、地上設置など設置方法も含めて、出入り業者に提案をもらうなどをしながら、情報収集をしていたころ、京セラさんからも提案をうけたのが最初だったと思います。
- ※2PPAとはPower Purchase Agreementの略称。PPAモデルは、第三者所有モデルや電力購入契約モデル等と呼ばれる、企業や自治体が所有するビルの屋根や空地をPPA事業者に貸与し、PPA事業者が初期投資ゼロで太陽光発電を設置する仕組み。企業や自治体は、初期投資ゼロで太陽光発電を設置し、発電された電気をPPA事業者から購入。
太陽光発電システム導入における期待や目的は?
導入の目的は、2050年のカーボンニュートラル達成のためですが、太陽光発電システムで発電した電気を自家消費することによる電気代の削減にも期待していました。
また、本社に再エネを導入することで、国内だけでなく海外拠点も含めたグローバルでの太陽光発電導入を推進する先駆けになることも狙いのひとつでした。
本社工場は、東海道新幹線の線路沿いに位置しており、新幹線の車窓からもよく見える位置にあります。新幹線車窓から太陽光発電施設が一望できるカーボンニュートラル推進企業としてのPRにも期待していました。
検討から導入まではどれくらいの期間でしたか?
導入の方針が定まり検討を始めてから運転開始までは1年4か月くらいでした。2020年10月頃に検討を開始し、複数の業者さんから提案を受けましたが、一番最初に具体的な提案をしてくださったのは京セラさんでした。自己投資だけでなく、PPAモデルとの比較もしました。発電シミュレーションや導入計画、導入方法なども検討して、2021年4月に会社として太陽光発電導入方針が決定、その翌月に業者選定を行いました。
5社で比較検討し、導入方法や工事方法、パネルレイアウトも複数パターン検討しましたし、自信をもって導入方法やレイアウト、設置方法も決めることができたと思います。検討開始から約1年後の2021年9月に工事着工し、1月に完工。月末から運転開始することができました。最短で走り切った、という思いがあります。
●導入検討にかかる期間は、各社により異なります。
導入時の課題や苦労した点はありましたか?
本社敷地内には、埋蔵遺跡である永畑遺跡が眠っていることから、 当初は屋根置きでの設置を検討していました。しかし、10年前の建 屋改修工事で耐荷重がもたなくなっていることがわかり、断念せざるを得ませんでした。
そこで、敷地構内に野立てによる設置を検討することになりましたが、埋蔵遺跡に影響のない設置方法を検討する点で苦労しました。いくつか設置方法を検討した結果、コンクリートブロック置き基礎で設置することになりました。
他には、降雪地域の為、雪対策も行いました。積雪後にパネルに積もった雪が、パネルの傾斜により落ちたときに、パネルに影響が出ないように高さについても検討をしました。 おかげ様で、設置した年の冬に、降雪があったものの、雪がパネルから落ちた後は、パネルの上は 根雪にならず、発電への影響が最小限で済ませられたことは、よかった点です。
また、なんといっても苦労した点は、補助金申請です。1回目に不採択となり、あきらめきれずに2回目にもチャレンジしました。こちらも不採択となり、補助金を受給しての設置はできず、悔しい思いをしましたが、たくさんの苦労を超えて、無事導入ができて、よかったと思っています。
自己投資を選択した理由は?
自己投資とオンサイトPPA、どちらも比較検討をしました。自己投資を選択した理由は、試算した投資回収年数が社内の目安を下回ったことと、オンサイトPPAの場合、20年契約という長期契約に懸念があったためです。これだけの規模で、投資回収が可能ならば、という点は社内での承認もスムーズにすすめられたと思います。
また、省エネ活動が活性化する効果を期待して、自己投資での導入が決まりました。
導入されて2年半が経過しましたが、期待していた効果は得られましたか?
導入前の予想よりも良い結果に大変満足しています。
導入してから、毎月モニタリングをしています。導入前に京セラさんからいただいたシミュレーション値と比較をしていますが、導入後の2年間の平均で、再エネ率はシミュレーション値よりも5%も高い結果がでています。効率よく発電し、発電した電気を工場内で自家消費できていることを実感しています。
CO₂の削減量も、再エネ率と同様に、シミュレーション値よりも5%以上高い結果が出ており、導入目的であるカーボンニュートラル達成に貢献できています。
また、導入時は現在のような電気代の高騰は予想しておらず、導入した2022年から急激に電気代が高くなったため、太陽光による自家消費で、電気代削減にも大きな効果を得ることができました。正直、太陽光がなかったら3割程度電気代の負担が増えていたと思います。
導入による経済効果とは異なる話になりますが、ニュースなどでも報じられているように、野立ての発電所の場合、電線に使われている銅を狙った窃盗被害も心配していました。夜間、周辺は暗く、目立たない上に、太陽光発電は発電していないから感電の心配もなく、簡単に盗られてしまいます。屋根への設置の場合は心配しないことだと思いますが、工場内遊休地の野立て設置のため、対策として、古河電工産業電線製のアルミ電線を採用しました。また、周辺フェンスには、注意喚起の看板も設置するなどの工夫もしました。おかげ様で、現在まで盗難被害はなく、期待した効果が得られたことに満足しています。
太陽光発電設備に敷設されたアルミケーブル
周辺フェンスに設置している注意喚起の看板
弊社をお選びいただいた理由を教えてください
導入検討開始時、一番最初に提案をいただいたこと、それ以降も熱心に取り組みを継続してくれたことです。また、他の業者提案にない、日本製パネルでの品質への安心や長期使用実績があることも選定理由のひとつです。パワーコンディショナを含めたアフターサービスの充実性も、良かったですね。
カーボンニュートラル達成のための再エネ導入はこれで終わりではないため、次の提案や相談の受け皿が広くて大きいと実感したところも、良かった点です。
太陽光発電システムを導入後、社内外の反響はありましたか?
本社への導入がすすんだことで、国内外各拠点での再エネ導入の動きが活発化しました。古河ASグループ全体で、国内外の多くの拠点でも、太陽光発電の導入が進んでおり、カーボンニュートラル達成のための動きにつながったことは大変良かったと思っています。また、古河電工グループでは、グループ各社の環境活動に対しての表彰があります。今回の取り組みが認められ、「ESG表彰環境貢献賞優秀賞」を受賞することができました。
新幹線の車窓からみえる太陽光発電の景色も好評ですし、導入をきっかけに、従業員全体の省エネマインドが高まったことは、非常に良かった点です。入り口に設置されている省エネ見える化モニターにも興味関心が高まり、省エネ活動のがんばりが話題になるようになりました。それに合わせて、モニターも独自開発し、従業員の省エネ活動を支える存在になっています。
また、今回採用した古河電工産業電線製アルミケーブルの普及活動が広まっていると聞いています。今回、工事を担当された業者さんからもアルミケーブルの引き合いが増えたと聞き、うれしく思っています。
今後の展望があれば教えてください
現在、さらなる再エネ率の向上を狙って、遊休地への増設と蓄電システムの導入を計画しています。
蓄電システムを導入することで、昼間の余剰分を蓄電池に貯めておき、夜間に蓄電池から放電させて使用できるようにしたいと思っています。そうすることで、日没後の電気使用量にも再エネ効果を得ることができますし、あわせて電気代の削減、CO₂量の削減にも、さらなる貢献を期待しています。次の導入方法はまだ決まっていませんが、よりよい効率、さらなる再エネ率向上とその先にあるカーボンニュートラル達成にむけて、取り組みを継続していきたいと考えています。
(2024年9月 京セラにて取材)