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太陽光パネルの反射光のまぶしさシミュレーション技術を開発

【目次】

太陽光パネルの反射光による「光害(ひかりがい)」って知っていますか?

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太陽光パネルの光害とその影響

太陽光パネルを設置する際の問題点のひとつに、反射光の問題があります。これは、太陽光パネルが太陽の光を反射し、その反射光が近隣の建物や乗り物の窓などに映り込むことで被害を与えてしまう問題で「光害(ひかりがい)」とも呼ばれています。太陽光パネルの反射光がまぶしいと、苦情やトラブルに発展してしまう事もあります。

太陽光発電システムは、クリーンなエネルギーを生み出し、発電時に温室効果ガスを排出しない環境に優しいシステムですが、周囲が光害を受けないよう配慮する必要があります。

光害は事前の確認で回避することも可能ですが、設置場所が制限されるという課題も

光害は、産業用、住宅用に関わらず、太陽とパネル、反射光を受ける対象物との位置関係に起因して発生します。屋根置きの場合は特に北面に設置されたパネルに太陽光が当たると太陽の位置や高度によって反射光は地上方向に向かい光害が発生する事があります。京セラでは、基本的に北面に設置しない、要望に応じて光線シミュレーションを用い反射光の軌跡を計算するなど、周囲に光害が発生しない様にできる限り配慮してきました。

しかし、反射光の影響を考慮すると、太陽光パネルの設置場所が制限されることがあるのも事実です。今後のカーボンニュートラルの実現に向け、太陽光発電システムの導入を促進する際の課題として、これまで適地とされていた場所に設置できなくなる可能性があることは、課題の一つとも言えます。

 

京セラは太陽光パネルのまぶしさシミュレーション “SoGlana®(ソグラーナ)” を開発しました!

京セラの想い

京セラは、「太陽エネルギーの利用を通じて、人々の幸せに貢献する」という創業以来の信念を守り続け、数多くの太陽光発電システムを世に送り出してきました。このような信念に加え、パネル設計とシステム設計の両方の知見を持つ企業として、「太陽光パネルの反射光で光害が発生しない様にしたい」という想いと「太陽光発電システムの設置場所をできるだけ広げたい」という想い、この2つの想いを両立させるために、太陽光パネルの反射光の軌跡だけではなく、その反射光のまぶしさをシミュレーションする “SoGlana(ソグラーナ)” を独自に開発しました。このシミュレーション技術により、太陽光パネルの反射光を考慮しながら、太陽光パネルを最大限に設置できる太陽光発電のシステム設計をお客様にご提案することができます。

光線シミュレーションとまぶしさシミュレーションの違い

これまで日本では、太陽光パネル設置時の光害の有無を判断する方法として、光線シミュレーションが一般的に用いられてきました。光線シミュレーションは、太陽光パネルが反射した光の軌跡を計算するものであり、対象物に反射光が当たるか当たらないかしか判定できないため、その反射光がまぶしいかどうかはわかりません。一方、まぶしさシミュレーションは、太陽光パネルに反射した光の軌跡を計算するだけでなく、その反射光のまぶしさを判断することができます。そのため、京セラはこのまぶしさシミュレーションにより、対象物に反射光が当たる場合の光害発生の予測が可能です。

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京セラのまぶしさシミュレーション “SoGlana®(ソグラーナ)” の正確性

“SoGlana(ソグラーナ)” の特長は、太陽光強度やパネルの反射特性、光の広がり、対象物側の情報など、まぶしさ判定に必要な要素を、より実環境に近い数値として入力できるように独自開発したことで、より正確なまぶしさ数値の算出が可能になったことです。また、京セラは太陽光パネルも自社で設計しているため、太陽光パネルの光反射情報を正確に反映させることもできます。この正確なまぶしさ情報をもとに、光害を起こさない太陽光パネルの設置角度や方位、防眩仕様の太陽光パネルなどの対策案をご提案することができます。詳しい情報やまぶしさシミュレーションの依頼は下記「お問い合わせ」フォームからお願いします。

 

過去には空港で光害が問題になったことも

過去の光害トラブル事例

太陽光パネルの光害の事例として、海外で空港に設置された太陽光パネルが光害となり、反射光の被害だけでなく、空港の安全が脅かされた事例※1がありました。左下の写真は、空港敷地内に設置された太陽光パネルが反射した朝日が管制塔に入り込み、まぶしさにより管制官の業務に支障をきたした事例です。このケースでは、約200万ドルもの費用をかけてパネルの向きを変更するという対応が必要となりました。
京セラが新たに開発した ”SoGlana(ソグラーナ)” のシミュレーション結果によると、この海外の事例では、管制官が携帯電話のLEDライトを至近距離で直視した時と同等のまぶしさを40分間程度連続で感じ、光害によって実際に管制官の業務に支障をきたしていた可能性があったと考えられます。

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  • ※1出典:SAND2018-10983、Clifford K. Ho, et al, 2018、マンチェスター・ボストン・リージョナル空港の管制塔からの様子

空港に太陽光パネルを設置する際には、管制官だけでなくパイロットに対する光害にも配慮する必要があると考えられます。一例として、京セラが新たに開発した “SoGlana(ソグラーナ)” のシミュレーション結果によると、空港敷地内で設置の可能性がある※2滑走路横の着陸帯に太陽光パネルを設置した場合、太陽方位や高度、パネルの向きによっては、下記の動画のようにパイロットが着陸時にパネルからの反射光を10秒以上受け続け、さらには残像が残る程度のまぶしさを1秒間以上感じる場合があることもわかりました。人は視線の中心に近いほどまぶしさを感じやすいという目の性質があり、着陸ポイント周辺に太陽光パネルの反射光が存在することは、パイロットの操縦を妨げる要因となる可能性があります。

  • ※2出典:国土交通省、空港における太陽光パネル設置の検討について(令和4年6月)

空港敷地内に一般的な太陽光パネルを設置した場合のまぶしさイメージCG

このように管制官やパイロットなど、人の視線が太陽光パネルより高い位置にある場合、パネルと太陽の位置関係から反射光の影響を受けやすいことも事実ですが、人の視線に反射光が入る事を全て禁止した場合、太陽光パネルを安全に設置できるエリアにまで、不必要に設置を制限してしまう可能性があります。京セラが開発した “SoGlana(ソグラーナ)” は、人がその反射光をまぶしく感じるか否かを判定できるため、安全かつ適切に多くの太陽光パネルを設置する事が可能となります。

日本における空港の脱炭素化と太陽光パネルの光害対策の方針

国土交通省航空局は、日本政府の温室効果ガス削減目標や国際民間航空機関(ICAO)の航空脱炭素化に向けた取り組み方針及び工程表を踏まえ、2022年3月に空港の脱炭素化目標を発表しています。このような背景からも、空港での太陽光パネルの導入が進むと予想されます。 また、太陽光パネルの光害問題を踏まえ、2022年3月に国土交通省航空局が発表した「空港脱炭素化推進のための計画策定ガイドライン」では、航空機運航や管制への影響に係る検討※3についての項目があり、太陽光パネルの反射光の影響について、詳細な検討が求められています。

  • ※3出典:国土交通省、空港脱炭素化推進のための計画策定ガイドライン(初版) (令和4年3月)

京セラは、まぶしさシミュレーション “SoGlana(ソグラーナ)” を用いることで、空港敷地内に設置された太陽光パネルからの反射光がパイロットや管制官に与える影響を正しく判断できると考え、空港敷地内の太陽光パネルに適応したまぶしさシミュレーションを開発しました。

 

防眩パネルは反射光のまぶしさを抑制することが可能です!

一般的な太陽光パネルには、ガラス表面にAR(Anti Reflection)コートと呼ばれる反射防止膜が施されていますが、それだけでは反射光を十分に低減することができません。京セラでは、ガラス表面に凹凸をつけて光を散乱させ、防眩効果が高く光害対策に適した太陽光パネルも提供しています。
防眩パネルと ”SoGlana(ソグラーナ)” のシミュレーション技術を組み合わせることで、一般的な太陽光パネルでは反射光がまぶしく設置できないような場所に防眩パネルを設置するなどの対策が提案できるようになりました。

一般的な太陽光パネルと防眩パネルの反射光の違い

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さらに、長期信頼性設計・予測技術 SoRelia®(ソレリア)で生涯発電量の予測が可能です!

京セラの太陽光発電システムでは、京セラが独自開発し特許※4を取得している太陽光パネルの長期信頼性設計・予測技術 SoRelia(ソレリア)を用いて、「設置地域」「設置形態」「パネル設計」の情報をもとに、パネルの製品寿命を予測することが可能です。
この予測技術により、より正確な生涯発電量を見積もることが可能となり、特に法人のお客様は事業性判断の一助になると考えています。

  • ※4特許第6811974、6818307、6837649号

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「SoGlana」「SoRelia」は京セラ株式会社の登録商標です。


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