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【法人向け】
太陽光発電設備の即時償却とは?
利用するための制度と注意点

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新型コロナウイルスの流行や物価の高騰などの影響により、手元に資金を残しておきたいと考える企業も少なくありません。そのため、初期費用や設備費用など、ある程度まとまったコストがかかる太陽光発電設備の導入を躊躇してしまうケースもあります。こちらの問題を解決するには、経費計上のタイミングで即時償却と呼ばれる処理を行うのがおすすめです。今回は、太陽光発電設備における即時償却の基本的な知識や利用するための制度、注意点を解説します。

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【目次】

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太陽光発電設備の即時償却とは

即時償却は、設備投資に対する税務上の償却方法のひとつです。中小企業支援を目的に定められた税制措置で、節税対策として活用されています。こちらでは、太陽光発電設備の即時償却の概要を解説します。

太陽光発電設備の即時償却とは、太陽光発電設備を設置した時点で、設置費用全額を損金に計上することです。例えば、1,500万円の太陽光発電設備を設置した場合、初年度に1,500万円を損金として全額計上が可能です。

本来、太陽光発電設備を導入した場合は、取得価額を耐用年数で按分し、毎年の経費に分割して計上(減価償却)します。しかし、特定の要件を満たした企業は即時償却を適用でき、購入した初年度に全額損金計上できます。

 

太陽光発電設備の即時償却を可能にする方法

太陽光発電の設備費用について即時償却を適用するには、固定価格買取制度の認定を受けておらず、電力の自家消費が目的であることが必要です。ただし、一部を販売することを目的とした太陽光発電設備についても、自家消費率が50%以上であれば即時償却を利用できます。
続いては、太陽光発電設備の即時償却を行うための方法を解説します。

即時償却を適用するには、中小企業経営強化税制を利用する必要があります。中小企業経営強化税制とは、太陽光発電設備の取得にかかった金額について、即時償却もしくは取得額の10%(資本金3000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除のいずれかを選択できる税制優遇措置です。設備投資減税とも呼ばれます。

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制度の適用は当初2019年度までの予定でしたが、繰り返し延長しています。 今回更に、2025年3月31日(令和6年度)まで適用期限が延長になりました。

中小企業経営強化税制には、A〜Dまでの4つの類型があります。Aから順に生産性向上、収益力強化、デジタル化、経営資源集約化を目的とした設備投資に利用が可能です。太陽光発電はAもしくはB類型で申請するのが一般的で、対象設備における「機械装置」に該当します。 中小企業経営強化税制の対象者は、中小企業者(資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人、資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人以下の法人)、農業協同組合等、商店街振興組合で青色申告書を提出するものに限られています。ただし、こちらの要件を満たす法人でも、大規模法人(資本金1億円を超える法人、資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員数が1,000人超の法人)から一定額以上の出資を受けている場合は対象外となるため注意が必要です。また、中小企業等経営強化法に規定する経営力向上計画を申請し、認定を受ける必要もあります。

中小企業経営強化税制では、事業内容に関する条件も定められています。制度の適用対象となる指定事業は下記の通りです。

<中小企業経営強化税制の指定事業>

製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業にあっては、生活衛生同業組合の組合員が行うものに限ります。)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業、沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、情報通信業、損害保険代理業、不動産業、駐車場業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、映画業、教育、学習支援業、医療、福祉業、協同組合(他に分類されないもの)およびサービス業(他に分類されないもの)

(注)娯楽業(映画業を除きます。)は対象になりません。 また、性風俗関連特殊営業に該当する事業も対象となりません。

幅広い業種が対象となっていますが、電気業や水道業など一部適用を除外されている業種もあります。詳細については国税庁のサイトをご確認ください。

【出典】国税庁 「No.5434 中小企業経営強化税制」(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)

  • 税額控除額は、中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制の控除税額の合計で、その事業年度の法人税額又は所得税額の20%が上限となります。なお、税額控除の限度額を超える金額については、翌事業年度に繰り越すことができます。

 

太陽光発電設備を即時償却するメリットとデメリット

太陽光発電設備の導入に即時償却を適用するうえで、理解しておきたいメリットやデメリットをご紹介します。 即時償却の利用によって期待できるメリットを活用しつつ、デメリットを補うのが理想です。

即時償却する際のメリット

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太陽光発電の売電とは、発電によって得た電力を電力会社に売ることです。企業や一般即時償却を活用することで、太陽光発電設備の設置初年度に全額を損金として計上できるため、利益が多く発生した年に使用すれば、利益を圧縮して法人税の負担を減らすことができる点がメリットです。浮いた経費を新たな設備投資や借入金の返済に充てることで、事業成長の加速や経営改善につながります。

即時償却する際のデメリット

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太陽光発電設備の導入費用に即時償却を適用した場合は、翌年度以降は経費として計上できない点に注意が必要です。通常の減価償却の場合は、2年目以降も費用として計上できる点に違いがあります。

なお、即時償却はあくまで課税を繰り延べるための措置であり、非課税や免税の措置ではないため、最終的な納税額は通常の減価償却のケースと変わりません。税金の支払額を減らすには、税額控除を利用することになります。税理士と相談したうえで、自社の経営状況や財務状況を踏まえて適切な方法をお選びください。

 

中小企業経営強化税制で太陽光発電設備を即時償却するときの注意点

最後に、即時償却におけるその他の注意点を解説します。太陽光発電の導入費用を即時償却する場合は、以下の2つのポイントにお気をつけください。

対象は新品のみで中古設備は対象外

太陽光発電設備の即時償却は、新品の設備が対象です。中古設備の購入には適用できないためご注意ください。また対象となる機械装置(生産性向上設備の場合には、販売開始から10年以内のものが対象)には、価格が160万円以上という制限も設けられています。太陽光発電設備の場合、企業向けの製品であれば基本的に問題ないものの、導入の際にはメーカーなどに相談すると安心です。

その他の税制との併用が出来ない

太陽光発電設備に限らず、同じ減価償却資産について2つ以上の税制優遇措置を併用することはできません。 例えば、中小企業経営強化税制と似た制度に中小企業投資促進税制があります。どちらも中小企業の設備投資に対する初年度償却や税額控除を認める優遇措置ですが、利用する際はどちらか一方を選択することになります。

中小企業投資促進税制は、太陽光発電設備の導入にかかった金額の30%の特別償却、もしくは取得額の7%の税額控除のいずれかを選択できる制度です。優遇措置の内容の他にも、自家発電率が50%未満でも利用できるなど中小企業経営強化税制とは違いがあるため、両者を比較したうえで適切な制度をご利用ください。

 

太陽光発電設備の即時償却を理解してコスト面の課題をクリア!

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今回は、太陽光発電設備における即時償却の概要や要件、注意点について解説しました。自家消費目的で太陽光発電設備を導入する場合、即時償却の適用を受けられる可能性があります。継続的な節税効果は見込めないものの、導入初年度の法人税を大きく引き下げ、キャッシュフローの改善が期待できます。
太陽光発電設備の即時償却、税額控除については、条件や手続きなどを税理士にご相談いただき、自社の経営状況や財務状況を踏まえて適切な方法をご検討ください。

お問い合わせはこちら

 

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