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太陽光発電の発電効率や変換効率とは?他の再エネとも比較!

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二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーとして、太陽光発電が注目されています。しかし、太陽光発電の発電効率は他の再生可能エネルギーに比べて高くないと聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

この記事では、太陽光発電の発電効率や変換効率について、他の再生可能エネルギーと比較しながら解説します。

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【目次】

 

太陽光発電の変換効率や発電効率とは?

太陽光発電の「効率」には「変換効率」と「発電効率」の2種類があります。この2種類の効率について、違いをご存知でしょうか。

太陽光発電の変換効率とは?

変換効率を現す指標には、「モジュール変換効率」と「セル変換効率」の2つがあります。太陽光発電の変換効率とは、太陽電池モジュール・セルが太陽光エネルギーをどれだけ電気エネルギーに変換されるかを示す指標です。変換前(太陽光エネルギー)に対する、変換したあとのエネルギー(電気エネルギー)の割合とも言えます。

つまり同じ枚数の太陽光パネルを設置した場合、変換効率が高いほど、より多くの電気を生み出せるということです。

モジュール変換効率とは?

太陽光パネル(太陽電池モジュール)の1平方メートルあたりの変換効率を表す指標です。なお、「モジュール」と「ソーラーパネル」は同義で使われます。

efficiencyandcomparison03.png
モジュール変換効率(%)
=[モジュール公称最大出力(W)×100]÷[モジュール面積(㎡)×放射照度(W/㎡)]  
(放射照度=1,000W/㎡)

太陽光発電の変換効率とは?

セル変換効率とは?

太陽電池モジュールを構成している最小単位の構成部品「セル」1枚あたりの変換効率を表す指標です。

efficiencyandcomparison04.png
セル変換効率(%)
=[モジュール公称最大出力(W)×100]÷[1セルの全面積(㎡)×1モジュールのセル数(個)×放射照度(W/㎡)]
 (放射照度=1,000W/㎡)

変換効率が高ければ高いほど、電気エネルギーを多く生み出せると覚えておきましょう。

 

太陽光発電の発電効率とは?

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発電効率とは、発電するための熱や光などのエネルギーが、どれだけ電気エネルギーとなるかの割合です。

太陽光発電においては、太陽光発電設備が発電(電気エネルギーを作る)する際に、どれだけの太陽光エネルギーがロスされるかを示す指標とも言えます。

発電効率が高いほど、発電ロスが少なくなります。太陽光発電の一般的な発電効率は約20%です。

 

太陽光発電と他の再エネの発電効率を比べると?

太陽光発電と他の再生可能エネルギーの発電効率を比べると、次の表のようになります。

発電効率で比較すると、発電効率が高い発電方法が良いと判断されがちですが、必ずしもそうとは限りません。なぜなら、発電効率が高くても一度に多くの発電をできないケースもあるためです。

発電効率が低い場合でも、発電するための元のエネルギー量が大きければ、大量のエネルギーを生み出すことができます。 発電効率だけで、容易にどの発電方法が優れているのかを比べることはできませんので、注意が必要です。

発電方法 発電効率(目安) 発電コスト(kWhあたり)
地熱発電 約10% 16.7円
バイオマス発電 約15~30% 13.2円~29.8円
風力発電 約20~40% 19.8円~30.0円程度
水力発電 約80% 10.9円~25.3円程度
太陽光発電 約20% 12.9円~17.7円程度
火力発電(参考) 約40~50% 10.7円~26.7円

参考:複数の情報を参考に京セラにて作成
経済産業省|電気をつくるには、どんなコストがかかる?「2020年の電源別発電コスト試算結果」
経済産業省|⽕⼒発電の⾼効率化に向けた発電効率の基準等について(800KB)
内閣府原子力委員会|「原子力のすべて」第1章 原子力エネルギー(358KB)
J-STAGE|国内の木質バイオマス発電の動向と今後
能代市|自然エネルギーの発電効率を比較してみた

 

続いて、それぞれの再生可能エネルギーの特徴や発電効率、おおよそのコストについて解説します。

 

地熱発電

 
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地熱発電とは、地球の地殻内部に存在する熱エネルギー(つまりマグマ)を利用して電力を生成する方法です。マグマの熱エネルギーで水を水蒸気にして、タービンを回します。発電方法としては、火力発電や原子力発電と同じです。

地熱発電の発電効率は約10%と低いものの、発電効率の変動は大きくありません。発電コストは16.7円/kWh程度です。

 

バイオマス発電

 
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バイオマス発電は、生物由来の材料(バイオマス)を燃焼させることで熱エネルギーを生み出し、タービンを回すことで発電します。バイオマスとは植物や動物の廃棄物、農産物の残渣、木材、家畜のふん尿などです。

発電効率は約15~30%で、発電コストは13.2円(混焼、5%)〜29.8円(専焼)程度と言われています。

 

風力発電

 
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風力発電は風の運動エネルギーを利用して風車を回し発電します。発電効率は約20〜40%と幅があり、風の有無によって発電量が左右されることが特徴です。

発電コストは19.8円(陸上風力)〜30.0円(洋上風力)/kWh程度で、地形条件に応じて幅があります。

 

水力発電

 
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水力発電は、水の流れや高低差のエネルギーを利用して電力を生成します。発電効率は再生可能エネルギーの中で最も高く、約80%です。ただし、降水量によっては発電できない期間が発生します。

発電コストは規模や水路活用方法にもよりますが、おおむね10.9円(中水力)〜25.3円(小水力)/kWh程度です。

 

太陽光発電

 
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太陽光発電は太陽の光エネルギーを利用するため、天候などの要因で発電効率が下がってしまうことがあります。

太陽光発電の発電コストは、事業用で12.9円/kWh、住宅用で17.7円/kWh程度です。発電効率は約20%と、再生可能エネルギーの中では一般的な水準と言えます。

 

太陽光発電の発電効率が悪くなってしまう例

efficiencyandcomparison07.png太陽光発電の発電効率が悪くなってしまう例としては、次の4パターンが挙げられます。
  • 天候
  • 外気温
  • メンテナンス不足
  • 経年劣化
    それぞれの具体的な内容や対策について紹介します。

天候によるもの

太陽光発電は日光で発電しますから、天候によっては発電量が下がってしまうことがあります。くもりの日や霧の日、太陽の位置が低い朝・夕方は、パネルが受ける太陽光が少なくなるためです。

ただし、気象条件による発電量の低下はあくまでも一時的なものです。天候が回復すれば、発電量も回復することが多いでしょう。仮に天候が回復しても発電量が増えない場合は、他のトラブルが発生していることが考えられます。

 

外気温によるもの

太陽光発電は高温に弱く、気温が上がる度に発電効率が低下します。パネルの表面温度が25℃超で発電効率が下がりはじめ、そこから1℃上昇するごとに発電量は0.4〜0.5%程度低下することが一般的です。

このため、実は夏期は発電効率が下がる傾向があります。

 

メンテナンス不足によるもの

パネル表面の汚れ、内部の損傷や劣化などで発電効率が低下することがあります。
パネル表面の汚れは鳥の糞や黄砂、花粉、枯葉などが代表例です。これらを取り除くことで、発電量が回復することもありますので、発電量を保つために定期的なメンテナンスを行うことをおすすめします。

また、風で飛ばされた物体によって太陽光パネルが損傷してしまうこともあります。自然災害による損傷は、メーカーによっては保証が適用される場合や、お客様が加入されている保険で対応できる場合もあります。

 

経年劣化によるもの

太陽光パネルの経年劣化も、発電量が低下する原因の1つです。高性能な太陽光発電システムでも、時間が経てば劣化します。(寿命は20年~30年程度です)

劣化率はメーカー・商品ごとに異なり、1年で1%を超えるパネルもあれば、0.5%未満のパネルもあります。 あまりにも発電量が低下している場合は、パネルを交換した方が良いでしょう。

 

太陽光発電の発電効率を上げる効果的な方法

efficiencyandcomparison08.png太陽光発電の発電効率を上げる方法としては、次の2点が効果的です。
  • 太陽光パネルの設置条件
  • 太陽光パネルの品質
    それぞれの具体的な内容や対策について紹介します。

太陽光パネルの設置条件

太陽光パネルの設置条件は、変換効率を左右するため、年間発電量に関わります。設置条件として意識するべきポイントは、次の5つです。

  • ① 日射量
  • ② 太陽光パネルの方位/向き
  • ③ 角度
  • ④ 温度
  • ⑤ パネル表面の汚れの有無

日射量とは、太陽の放射エネルギー量です。「日照時間」が太陽が出ている時間を表しているのに対し、日射量はエネルギー量(W/㎡)を表します。日射量は地域によって異なりますので、居住地域を選ぶ場合は参考にしてみてください。
一般的には西日本から東日本の太平洋側・内陸部が、日射量の多い地域です。西日本では宮崎県や高知県、東日本では山梨県や静岡県、群馬県が日射量が多いエリアとして知られています。反対に、北海道や東北、日本海側は相対的に日射量が少ないエリアです。

太陽光パネルの方位/向きも、発電量に影響します。通常は真南が最も効率的です。南へ設置できない場合は「南東」「南西」に設置し、それも難しい場合は「東」「西」へ設置します。北側への設置は推奨されません。
太陽光パネルの角度については30度程度が理想とされています。これはパネルが真正面から太陽光を受けられる角度のためです。

太陽光パネルの温度も発電量に影響します。発電効率が悪くなってしまう例で紹介した通り、パネルの表面温度が25℃を超えると発電効率が悪くなってしまいます。そのため、実は夏の発電効率は悪く、春や秋の方が発電量は多いのです。参考として覚えておきましょう。

最後に、パネル表面の汚れの有無は発電量に大きく影響します。定期的にメンテナンスすることで、表面をきれいに保っておきましょう。
これらの条件については発電シミュレーションへ入力すると、時間別の発電量をグラフで確認できます。月別グラフでは時期による日射量の違いも考慮されているので、ぜひ1度お試しください。

公共・産業用向け 発電シミュレーションはこちら

住宅向け 発電シミュレーションはこちら

太陽光発電の発電量は?目安や発電量を高めるポイントを解説!

 

太陽光パネルの品質

太陽光パネルの設置条件も重要ですが、太陽光パネルそのものの品質もポイントです。
パネルの変換効率が高ければ、それだけ効率的に発電できます。また、経年劣化しづらく品質が長持ちするパネルの方が、長く発電量を確保できるためオススメです。

京セラの太陽光パネルの長期信頼性については、下記の「太陽光パネルの寿命予測技術」をご覧ください。

太陽光パネルの寿命予測技術

太陽光パネルの寿命はどのくらい?耐久性能や劣化原因を解説

 

太陽光発電の発電効率のまとめ

太陽光発電の発電効率は、他の再生可能エネルギーと比べると一般的な数値です。

発電方法 発電効率(目安)
地熱発電 約10%
バイオマス発電 約15~30%
風力発電 約20~40%
水力発電 約80%
太陽光発電 約20%
火力発電(参考) 約40~50%

他の再生可能エネルギーよりも低いということはなく、同水準と捉えておくのが良いでしょう。 再生可能エネルギーとしての太陽光発電の強みは、日本国内のどんな地域でも設置しやすいことです。日射量や設置角度などの差はありますが、ほとんどの建物の屋根に設置できることは再生可能エネルギーとして大きな価値を秘めているでしょう。

太陽光発電の発電効率には天候や地域差以外にも、太陽光パネルの性能・品質が大きく影響します。太陽光発電設備を導入する際は、パネルの発電効率とともに、どれくらい品質が持続するかも確認してみてください。

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(更新日:2024年4月26日)

 

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