太陽光発電の発電量は?
目安や方角・設置角度など発電量を高めるポイントを解説!
【住宅・法人】
環境に配慮した発電方法として「太陽光発電」が注目されています。自宅や企業へ導入を検討しているもの、どのくらいの規模の太陽光パネルを設置したら電力需要がまかなえるのか知りたい方も多いのではないでしょうか。
この記事では太陽光発電の発電量目安や、発電量を高めるポイントについて解説します。太陽光発電を最大限活用したい方は、ぜひ参考にしてください。
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太陽光発電の発電効率や変換効率とは?
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【目次】
・太陽光発電の発電量目安
・太陽光発電の発電量を左右する要因
・太陽光発電の発電量を下げてしまう要因
・太陽光発電の発電量のシミュレーション
・太陽光発電の発電量を最大限高める方法
・実際の太陽光発電導入事例
・太陽光発電の発電量を増やしたいなら京セラの太陽光パネルがおすすめ
太陽光発電とは?
まずは太陽光発電にまつわる基礎知識として、仕組みやシステム構成について紹介します。
太陽光発電の基本的な仕組み
シリコン半導体に太陽光があたると、電気が発生します。この仕組みを利用したのが太陽光パネル(太陽電池モジュール)です。
太陽光パネルには、電気的な性質が異なるN型半導体(表面)とP型半導体(裏面)が使われています。 N型半導体(表面)とP型半導体(裏面)を重ね合わせて光を当てると、接合面を境にN型側に電子(-)、P型側に正孔(+)が集まるという性質を活用し、それぞれの電極をつなぐことで電気が流れる仕組みを作り出します。
「光エネルギー」を「電気エネルギー」に変換していることが太陽光発電の特徴です。
太陽光発電のシステムの構成
- ※1電力会社の系統の状況により、逆潮流電力(需要者側から電力系統側に送る電力)が制限され、太陽光発電システムからの売電電力量が少なくなる可能性があります。 このような状況が頻繁に発生する場合は、電力系統側での対策が必要な場合がありますので、販売窓口にご相談ください。
- ※2蓄電池で貯めた電気を売電することはできません。
●図は、晴れの日の平常時のイメージです。 ●建築基準法施行令第86条による垂直積雪量の荷重が、太陽光発電システムの製品仕様を超える場合は設置できません。 ●PC/タブレット/スマートフォンは付属していません。また、全てのPC/タブレット/スマートフォンに対して、表示を保証するものではありません。 ●蓄電システムに必要なパワーコンディショナ、リモコン、通信モデム、関連機器・部材は図に記載しておりません。
屋根に設置された太陽光パネルに太陽光が当たると発電します。発電した電気を接続箱で一つにまとめます。 太陽光パネルで生み出される電気は「直流」なので、そのままでは使用できません。そのため、パワーコンディショナを使って家庭やオフィス・工場で使用できる「交流」に変換します。パワーコンディショナから分電盤に接続し、建物内の電気製品に太陽光発電の電気を使用することができます。 蓄電池を導入していれば、分電盤やパワーコンディショナから電気を蓄電することが可能です。
太陽光発電の発電量目安
さて、太陽光発電で生み出せる電気はどのくらいの量なのでしょうか。太陽光パネルの性能にも左右されますが、参考となる目安を紹介していきます。
太陽光発電の発電量はkWhで表す
まず、太陽光発電の発電量は「kWh」という単位で表します。
まずW(ワット)は瞬間的な「電力」のことです。k(キロ)は「1,000倍」のことで、kmやkgの使い方と変わりません。(1kW=1,000W)つまり太陽光パネル(太陽光モジュール)の最大出力数(発電能力)がkW(キロワット)です。
瞬間的な電力「kW」に時間「h」をかけることで、発電量(電力量)kWh(キロワットアワー)が表されます。1kWの電力で1時間発電すれば、発電量は1kWhです。
太陽光パネル1kWの年間発電量は約1,000kWh
太陽光発電協会のガイドラインでは、太陽光パネル1kWの年間発電量は約1,000kWhとされています。(設置角度30度・設置方向が真南の場合)
参考:太陽光発電協会|よくあるご質問「Q.太陽光発電により、家庭で使用する電気を全部まかなえますか?」
一般家庭の平均年間電力消費量は5,000kWh弱と言われていますから、仮に4kWの太陽光パネルを設置すれば消費電力の約8割を太陽光発電でカバーすることが可能です。
参考:太陽光発電協会|太陽光発電協会 表示ガイドライン(2023年度)(418KB)
太陽光パネル1平方メートルの年間発電量はメーカー・仕様による
太陽光パネルの広さで換算すると、発電量はどうなるでしょうか。太陽光パネル1平方メートルの年間発電量はメーカー・仕様・モジュール変換効率によっても変わります。
モジュール変換効率とは太陽光パネル(太陽電池モジュール)の1平方メートルあたりの変換効率です。 モジュール変換効率の求め方はこちらです。
モジュール変換効率(%) =[モジュール公称最大出力(W)×100]÷[モジュール面積(㎡)×放射照度(W/㎡)] (放射照度=1,000W/㎡)
この数値が高ければ高いほど、効率的に発電できる太陽光パネルであることが分かります。
京セラの太陽光パネルを一例として計算すると、縦1.7m×横1.1m=約1.95㎡のパネルで公称最大出力は410Wです。1平方メートル換算だと、210W/㎡となります。1,000W(1kW)の年間発電量が約1,000kWhですから、太陽光パネル(210W/㎡)1平方メートルの年間発電量は210kWhです。
ただし、1平方メートルの年間発電量は設置条件によっても左右されるので、あくまでも目安として捉えておきましょう。とくに経年劣化によって発電効率が下がっていくので、長寿命な太陽光パネルほど、1平方メートルあたりの発電量を長期間キープできます。
太陽光発電の発電量を左右する要因
- 太陽光パネルの性能
- 太陽光パネルの数
- 日照時間
- 季節
- 設置角度
- それぞれ基礎知識として知っておきましょう。
太陽光パネルの性能
先述のモジュール変換効率で紹介したとおり、太陽光パネルの性能、つまり太陽の光エネルギーを電気エネルギーに変換できる効率は、メーカーによってさまざまです。
同じ枚数の太陽光パネルを設置しても、製造メーカーが異なれば発電量や発電できる期間も異なります。
太陽光パネルの数
太陽光パネルの総数によっても、トータル発電量は変わります。 公称最大出力が大きい太陽光パネルを少数設置するか、公称最大出力は小さいものの価格が安い太陽光パネルを多く設置するかは、太陽光発電の設置可能面積や、求める発電量に左右されるため、どちらが適しているか一概には言えません。
住宅屋根に設置する場合は、家庭で消費する電力量やライフスタイルと照らし合わせて太陽光パネルの枚数を検討したほうが良いでしょう。一方、法人や自治体にて設置面積が十分な遊休地に設置するのであれば、枚数が多くても問題ありませんので、発電で得られるメリットを比較して検討されてはいかがでしょうか。
日照時間
日照時間が長ければ長いほど発電できる時間が増えるため、発電量が多くなります。
太平洋型気候である静岡県や山梨県、内陸型気候の長野県や山梨県は日照時間が長く、太陽光発電に向いている地域です。一方、北陸・東北などの日本海側の地域は日照時間が短いため、発電量を確保するためには設置角度や方角に気を遣う必要があります。
なお、設置方位については日照時間が最も長い南面がベストです。東面・西面も設置に適していますが、北面は発電量が低くなるため設置は推奨されません。
季節
太陽光発電の発電量には日照時間以外に、太陽の位置・気温も影響を与えます。 日差しが強い夏の発電量が多くなると思うかもしれません。しかし、実は気温が高すぎると、発電効率は悪化してしまいます。梅雨や秋雨の時期は当然発電量が落ちますから、日本では4月〜5月の発電量が最も多くなる場合が多いです。
設置角度
太陽光パネルを設置する角度によっても、発電量は変わります。
太陽光パネルに対して太陽光が90度(直角)にあたるのが、最も発電効率の高い角度です。太陽の南中高度(太陽が真南に来る角度)は地域(緯度)によって変わりますが、全国的に「設置角度30度」が最も効率的と言われています。
なお、搭載量を増やすことを目的として、30度未満の角度や屋根なりの設置が条件に適している場合もあります。 新築で太陽光パネルの設置を検討する場合は、設計段階から太陽光パネルを載せることを考慮しておくと良いでしょう。
太陽光発電の発電量を下げてしまう要因
- 気温
- 太陽光パネルの汚れ
- 太陽光パネルの劣化
- 太陽光発電システムによるロス
- それぞれ詳しく解説します。
気温
気温は太陽光パネルの発電量に影響を及ぼします。太陽光パネルは高温に弱く、気温が上がる度に発電効率が低下します。パネルの表面温度が25℃超で発電効率が下がりはじめ、そこから1℃上昇するごとに発電量は0.4〜0.5%程度低下することが一般的です。そのため、前述のとおり夏よりも春や秋の方が発電効率は高いのです。
太陽光パネルの汚れ
太陽光パネルは屋外に設置されますから、砂埃や黄砂、落ち葉などで表面が汚れることも少なくありません。当然汚れている部分の発電効率は下がります。
太陽光パネルには傾斜がつけられているため、多少の汚れであれば雨が洗い流してくれますが、汚れが蓄積すると徐々に発電効率が下がっていくことは覚えておきましょう。
太陽光パネルの劣化
太陽光パネルは25年以上の使用に耐えうるよう製造されていますが、経年劣化は避けられません。メーカーの発電出力保証は25年とされていることが多く、26年目以降の発電量はとくに差が出やすいです。
長期間にわたって発電効率を維持したいのであれば、30年以上の安定した長寿命品質を誇る京セラの太陽光パネルを選ぶことをおすすめします。
太陽光発電システムによるロス(パワーコンディショナなど)
太陽光発電システムの仕組みに起因して発電効率が下がることも少なくありません。
たとえば太陽光発電に不可欠な「パワーコンディショナ」は、構成する部品に電解コンデンサを含むため、システム全体の中では劣化が早いといわれています。設置から10年程度しか経っておらず、太陽光パネルに問題がないにもかかわらず発電量が下がっている場合は、パワーコンディショナを含むシステム系統内で不具合が生じている可能性が高いです。
また、太陽光発電でつくった電気を売電している場合、電圧上昇抑制という機能が働くこともあります。電力会社側(電線側)の電圧がパワーコンディショナの出力上限値を上回ると、売電がストップするのです。電圧上昇抑制が働くとパワーコンディショナーが発電を抑えるので、太陽光発電の発電量は下がってしまいます。
もし、太陽光パネルが正常にもかかわらず発電量が低下している場合は、システムを構成する太陽光パネル以外の機器や電圧上昇抑制の可能性もありますので、購入された販売店やメーカーに相談してみてください。
太陽光発電の発電量のシミュレーション
太陽光発電の発電量に影響する要因が多岐にわたることがお分かりいただけたでしょうか。
ここからは各種要因を加味して、実際の発電量をシミュレーションしてみましょう。
自分で算出する
太陽光発電の年間予想発電量は、次の計算式で算出できます。
年間予想発電量(kWh/年)=H × K × P × 365 ÷ 1
H:設置面の1日当りの年平均日射量(kWh/㎡/日)
K:損失係数。約73%とすることが多い(太陽光モジュールの種類や汚れ状況を加味)
P:システム容量(kW)
365:年間日数
1:日射強度(kW/㎡)(標準状態) これらの数値を式に当てはめれば計算できますが、多くの方にとっては難しく、現実的な求め方ではないでしょう。
参考:農林水産省|地域資源利用型産業創出緊急対策事業(1.49 MB)
シミュレーションツールで算出する
京セラは無料でシミュレーションツールを提供しておりますので、京セラのシミュレーションツールを使って、ご自身で簡単に算出することもできます。
設置条件や地域を入力すれば、予想発電電力量はもちろん、電気料金も算出できます。例として日照時間の長い静岡県の情報を住宅用発電シミュレーションに入力すると、以下のような結果となりました。
- 【シミュレーション条件】
- 静岡県静岡市
- 太陽光発電システム容量:4kW
- 設置方角:南
- 電気料金プラン:中部電力 従量電灯B
- 最近1ヶ月の電気料金:1.5万円
上記シミュレーションツールを使えば簡単に年間予想発電量を確認できますので、ぜひお試しください。
太陽光発電の発電量を最大限高める方法
- 長寿命な太陽光パネルを選ぶ
- 太陽光パネルを設置する方角・角度を調整する
- 影ができない場所に設置する
なるべく多く発電するためにも、ぜひ意識してみてください。
長寿命な太陽光パネルを選ぶ
最も重要なポイントは、長寿命な太陽光パネルを選ぶことです。一度設置した太陽光パネルは簡単に交換できませんが、発電効率の劣化は避けられません。屋外での長期使用にも耐えうる、環境ストレスに強い太陽光パネルを選びましょう。
たとえば京セラの太陽光パネルは長期信頼性を第一に開発されており、独自の封止材が使われていることが特徴です。
さらにアフターサービスも充実しており、家庭用のみならず公共・産業用太陽光発電でも長期稼働記録を更新中です。
太陽光パネルを設置する方角・角度を調整する
発電量を少しでも増やしたいなら、まず太陽光パネルを設置する方角・角度に配慮しましょう。
設置する方角は真南がベストですし、角度は先述したとおり30度前後が適しています。南北方向の屋根なら南向きに、東西方向の屋根なら東向きと西向きに設置することがおすすめです。
ただし、山や障害物があり日当たりが悪い場合は、発電量を最大にするために、実際に設置する場所によって方角・角度を調整することが重要です。
影ができない場所に設置する
太陽光パネルに日光が当たらなければ発電されませんから、影ができない場所に設置することも重要です。影を作る物体としては建物はもちろん、樹木や煙突、鉄塔などさまざま考えられます。
太陽光パネルの設置予定場所の影の影響が気になる場合は、時間を変えて現地を確認してみてください。
実際の太陽光発電導入事例
実際に太陽光発電を導入しているお客様の事例をご紹介します。現在検討中の方はぜひ参考してみてください。
住宅
住宅用の太陽光パネルとして京セラ製品を使っている方は少なくありません。
耐久性が優れていることはもちろん、天災などへの保証も充実していることから、京セラの太陽光発電システムは長年にわたって住み続ける住宅用として最適です。
蓄電池を合わせて導入すれば電気代削減効果も期待できますし、災害時の停電に対する備えにもなります。
法人・地方自治体
法人・地方自治体向けの太陽光発電所にも京セラの太陽光パネルは多く採用されています。
産業施設(工場や物流センターなど)への導入実績はとくに豊富です。数百kWhから2MW以上もの発電容量を確保しているケースまで、各企業のニーズに合った実績があります。
自治体への導入としては庁舎屋上への設置はもちろん、卸売市場や小学校・中学校・保育園など公共施設への導入事例もあります。
遊休地やため池を利用した大型の発電システムの実績も多数ありますので、確保したい発電容量に応じて最適な設置プランをご提案することが可能です。
太陽光発電の発電量を増やしたいなら京セラの太陽光パネルがおすすめ
太陽光発電の発電量を左右する要因は多々ありますが、その中でも肝心なのは太陽光パネルの品質です。 発電効率が優れていることはもちろん、長期にわたる屋外使用でも劣化が少ない太陽光パネルを選んだ方が、トータルの発電量を最大化できます。
京セラは太陽光パネルの長期信頼性設計・予測技術「SoRelia®」(ソレリア)を開発するなど、パネルの寿命にまつわる研究を日々重ねています。1975年の太陽光パネル研究開発スタート時から長寿命なパネル生産に力を入れていることが特徴です。
太陽光発電の発電量を増やしたい方は、ぜひ京セラの太陽光パネルをご利用ください。
●「SoRelia」は京セラ株式会社の登録商標です。
(更新日:2024年10月29日)
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