太陽光発電はメンテナンスが必要!
保守点検(定期点検)の方法・費用相場を解説!【住宅・法人】

環境配慮や電気代高騰対策のために、太陽光発電の導入を検討している家庭・企業が増えています。
長く使い続けるためには、メンテナンス・保守点検(定期点検)をする必要があります。そのため、太陽光発電の点検の方法や費用についても把握しておいたほうがいいでしょう。
この記事では太陽光発電の定期点検の方法や、その費用相場について解説します。これから太陽光発電を導入しようと考えているものの、ランニングコストがどのくらいかかるのか気になっているという方は、ぜひご参考になさってください。
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【目次】
・太陽光発電にメンテナンス・保守点検が必要な理由
・太陽光発電のメンテナンス・保守点検の内容
・太陽光発電のメンテナンス費用の相場
・太陽光発電のメンテナンス・保守点検の頻度
・自ら実施できる太陽光発電のメンテナンス・保守点検
・PPAサービスで太陽光発電のメンテナンス負担を軽減!
太陽光発電のメンテナンス・保守点検とは
「メンテナンス」と「保守点検」は似た意味の言葉ですが、太陽光発電に関して用いられる場合、次の意味で使われるケースが多いです。
メンテナンス | 太陽光発電システムの清掃、必要に応じた部品の交換 |
保守点検 | 故障・破損・異常の点検 |
「メンテナンス」も「保守点検」も、太陽光発電を適切に維持するためには不可欠です。そのためこの記事では、両方の視点で太陽光発電を管理する方法について紹介します。
太陽光発電にメンテナンス・保守点検が必要な理由

- 法律で保守点検が義務化されているため
- 火災・感電などのトラブルを防ぐため
- 発電量を維持するため
- 長く使い続けるため
法律で保守点検が義務化されているため
実は、太陽光発電の保守点検については、その規模によっては法律で義務化されています。
50kW未満 | 50kW以上 | |
FIT | 改正FIT法で義務あり | 改正FIT法・電気事業法の双方で義務あり |
非FIT | 義務なし | 電気事業法で義務あり |
FIT制度を利用しているのであれば、たとえ10kW未満の住宅用太陽光発電であっても、必ず保守点検を実施しなければなりません。
また、たとえ一般家庭であっても、太陽光発電システムを導入するからには、電気事業法に基づく所有者として「設備の安全性に関する責任」が発生します。
参考:一般社団法人日本電機工業会|住宅用太陽光発電システムをお使いの皆さまへ(1.01MB)
一方、事業用として太陽光発電を導入する場合、50kW以上の規模になることが多いです。この場合、FIT制度を利用しているなら「改正FIT法(再生可能エネルギー特別措置法の一部を改正する法律)」「電気事業法」の両面から保守点検義務が生じます。
また、50kW以上の規模になると、FIT制度を利用していないとしても「電気事業法」による保守点検義務が生じます。
このような各種義務が生じる太陽光発電事業者向けに、経済産業省は 「事業計画策定ガイドライン」(727KB)を公表していることをご存知でしょうか。
義務が生じる一部の太陽光発電事業者については、保守点検・維持管理に係る実施計画を策定し、適切に管理しなければならないとされています。
さらに、それ以外の太陽光発電事業者についても、本ガイドラインを参考に事業を進めることが望ましいとされているのです。
火災・感電などのトラブルを防ぐため
なぜ太陽光発電事業者に保守点検・メンテナンスが義務化されているかというと、火災・感電などのトラブルを防ぐためです。 たとえば規模の小さい住宅用太陽光発電であっても、次のような要因からトラブルが生じることがあります。
- 太陽光パネルの経年劣化による出火
- 小動物が配線をかじったことによる漏電
- 漏電によるスパークが堆積した落ち葉に引火
参考:消費者庁|住宅用太陽光発電システムに起因した住宅の火災事故に注意! (752KB)
規模の大きい事業用太陽光発電であっても、これらのリスクは同様に生じます。
太陽光発電の所有者として、これらリスクを排除するためにも、定期的なメンテナンス・保守点検は欠かせないのです。
発電量を維持するため

安全面以外に、太陽光パネルの発電量を維持するためにもメンテナンス・保守点検は重要です。
太陽光発電システムは屋外に設置される特性上、天候・塩害・飛来物などによってダメージを受けることもあります。そのため清掃などのメンテナンスをしないと、発電性能が低下してしまうのです。
また、定期的な保守点検で性能低下を早期に発見すれば、必要に応じ修理することで発電量をキープできます。
長く使い続けるため
太陽光発電システム(太陽光パネル・パワーコンディショナなど)も機械製品であるため、寿命が存在します。太陽光パネルの寿命は20年〜30年、パワーコンディショナの寿命は10年超です。
しかし保守点検・メンテナンスを適切に実施していれば、一般的な寿命より長く使いつづけることも不可能ではありません。
とくに太陽光パネルは、メンテナンスを行い、システムの状態がよければ30年以上にわたって発電を続けることも可能です。実際に、設置から36年目以降も稼働している京セラの太陽光パネルも存在します。
太陽光発電システムを長期にわたって使うためにも、メンテナンス・保守点検は重要なのです。
太陽光発電のメンテナンス・保守点検の内容

- 太陽光パネルの清掃
- 太陽光パネルの破損・ホットスポットの調査
- 太陽光パネルの発電性能確認
- 太陽光パネルと架台の取り付け状態の確認
- パワーコンディショナなど周辺機器の確認
太陽光パネルの清掃
太陽光パネルを清掃することは、もっとも基本的なメンテナンス内容です。
たとえば、落ち葉が堆積していると日光があたらず発電量が下がりますし、万が一漏電が発生したときに火元となるリスクもあります。
野立ての太陽光発電の場合は、雑草を刈り取ることも重要です。背の高い草が生えていると日光を遮ってしまいますし、枯れ草がパネルに溜まる原因にもなります。
また、砂ぼこりなどが溜まりすぎても発電効率が下がるため、定期的に拭き取るといいでしょう。ただし太陽光パネルを定期的に拭くとなると、多大な労力が必要です。汚れづらいパネルもあるため、そのような製品もご検討ください。
たとえば京セラの「防汚切り欠きパネル」は、太陽光パネルの周囲4辺を構成するアルミフレームの長辺側に切り欠き加工が施されており、パネル表面に付着したホコリを雨水とともに排出します。住宅用・産業用の両方をラインナップしているため、ぜひご活用ください。防汚切り欠きの採用型式は京セラ、販売窓口までお気軽にお問い合わせください。
太陽光パネルの破損・ホットスポットの調査
清掃とあわせて、太陽光パネルに破損がないか目視で確認していきましょう。
また、サーモグラフィなどを使って「ホットスポット」の有無も調査します。ホットスポットとは、鳥の糞・雑草の影・落ち葉など何らかの障害物があることで、太陽光パネルの一部分が長期間発電できない状態になり、そこに流れなくなった電気が熱となって放出される現象です。ホットスポットが疑われる場合、調査には専用の機器が必要なため専門業者に依頼しましょう。
参考:一般社団法人 太陽光発電協会|よくあるご質問「陰の影響はありますか?」
太陽光パネルの発電性能確認

目視で異常がないとしても、太陽光パネルの発電量が落ちている可能性もあります。反対に電気が流れすぎており、漏電の危険性が高まっているケースもゼロではありません。
このような不具合が生じていないか、太陽光パネルの発電性能を確認することも重要です。
発電量については、モニターを導入していれば自分で確認することもできます。一方で電流の流れすぎを調べるためには、「絶縁抵抗計」という機器を使用して絶縁抵抗値を調査する必要があるため、やはり専門業者に依頼しましょう。
太陽光パネルと架台の取り付け状態の確認
太陽光パネルが架台にしっかり固定されているかも重要なチェックポイントです。
取り付けが緩んでいると強風によってパネルが飛ばされてしまう可能性もあります。パネルがガタ付いているような場合には、必要に応じて専門業者にボルトを締めなおすなどの対応を依頼しましょう。
パワーコンディショナなど周辺機器の確認

太陽光発電システムには、太陽光パネルだけではなく、パワーコンディショナなど周辺機器も数多く存在します。
これら周辺機器の不具合も発電量低下・火災発生の原因となるため、しっかり点検しましょう。
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太陽光発電のメンテナンス費用の相場

さて、太陽光発電のメンテナンスにはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。
経済産業省が公表した 『令和6年度以降の調達価格等に関する意見』(7.38MB)という資料をもとに、メンテナンス費用(運転維持費用)の相場を見ていきましょう。
住宅用太陽光発電のメンテナンス費用相場
上記経済産業省の資料では、2025年度の住宅用太陽光発電の年間運転維持費について、2024年度と同じ「3,000 円/kW/年」とされています。
住宅用太陽光発電として一般的な5kWの設備を想定し、維持費をさらに細分化すると、2025年度の定期点検1回あたりの費用相場は約 4.7万円程度です。(2024年度の調査では約3.5万円程度)また、20年間に一度の交換が想定されるパワーコンディショナについては、34.5万円程度が相場とされています。
これら点検費用・パワコン交換費用をkW 当たりの年間運転維持費に単純に換算すると、住宅用太陽光発電のメンテナンス費用相場は5,800 円/kW/年となります。
しかし、経済産業省の調査によると、実際にはモジュールの出力保証が25年無償というメーカーがあったり、メーカーによっては定期点検は1回のみであったり、パワコン費用のサンプル数が少なかったりすることから、単純換算した5,800円/kW/年という水準には至らないとも考えられます。そのため従来通りの3,000 円/kW/年が妥当な水準として据え置かれました。
ただし、人件費の上昇・半導体不足などの影響から、今後はメンテナンス費用が上昇していく可能性もあります。
事業用太陽光発電のメンテナンス費用相場

事業用太陽光発電の運転維持費用については、地上設置の場合は平均値5,200円/kW/年(中央値4,100万円/kW/年)、屋根設置の場合は平均値5,200万円/kW/年(中央値3,700万円/kW/年)となっています。
100kwの太陽光発電であれば、年換算で52万円程度のランニングコストが発生するのが相場ということです。
ただし経済産業省の資料においては、 2025年度の事業用太陽光発電の年間運転維持費想定値は5,000円/kW/年に据え置かれました。
事業用太陽光発電のメンテナンス費用についても上昇傾向が続く可能性があるため、コスト動向を注視したほうがいいでしょう。
太陽光発電のメンテナンス・保守点検の頻度
太陽光発電のメンテナンス頻度は、どのくらいが一般的なのでしょうか。
一般社団法人 太陽光発電協会は、電気設備としての点検については下記の頻度を求めています。
電気工作物 | 主な設置施設 | 設置者あたりの電気容量 | 系統連系区分 | 点検頻度 | |
太陽光発電システムの出力容量 | 受電電力の容量(契約容量) | ||||
一般用 | 戸建住宅、小規模な工場、事務所など | 50kW未満 | 50kW未満 | 低圧連系 |
|
自家用 | 学校、工場など | 50kW以上 | 2000kW未満 | 高圧連系 |
|
参考:一般社団法人 太陽光発電協会|よくあるご質問「メンテナンスや点検はどうすればいいですか?」
また、野立ての太陽光発電の雑草処理などについては、季節によっては1か月に1回は必要となるケースもあるでしょう。
上記の表を目安として、通常メンテナンスについては太陽光発電設備の状況を見ながら臨機応変に対応することが重要です。
自ら実施できる太陽光発電のメンテナンス・保守点検
太陽光発電のメンテナンスは非常に重要なものですが、自ら実施することも可能なのでしょうか。自分で実施すること、専門業者に依頼すべきことの判断目安について紹介します。
日常的に確認するポイントと簡単なチェック方法
日常的には、少なくとも「発電量が通常より低下していないか」「パワコンの動作が正常かどうか」をチェックしましょう。
また、太陽光パネルを目視し、木などの障害物で影になっていないか、悪天候の後であれば飛来物による損傷がないかなどを確認します。
必要に応じた簡単な清掃であれば、自分で実施することも可能です。
しかし上記で挙げた項目以外は、専門業者でなければ対応は難しいでしょう。記事前半で紹介したホットスポットの調査などは、専門業者に依頼します。
異常を感じたときの対処法とメンテナンスを依頼するタイミング

「晴れているのに発電量が通常より低下している」「パワーコンディショナにエラーコードの表示がある」などの異常を見つけた場合は、設置業者やメーカーにご相談ください。
早期対応によって発電効率を維持できることはもちろん、システム全体の寿命を伸ばすことにもにつながります。
PPAサービスで太陽光発電のメンテナンス負担を軽減!
ここまで紹介したとおり、発電量を維持するためにも、安全を守るためにも、太陽光発電のメンテナンス・保守点検は欠かせません。
しかし太陽光発電を自己所有するからには、定期的なメンテナンス・保守点検はすべて自己責任で手配しなければならず、費用や手間が発生することも事実です。
このような負担を軽減するためには、PPAの活用も検討してみてください。PPA(Power Purchase Agreement)とは「電力購入契約」のことで、太陽光発電設備をサービス事業者の負担で設置するサービスです(利用者は利用した分の電気料金、またはサービス利用料を毎月負担します)。
PPAにおいては太陽光発電設備はサービス事業者の所有物であるため、メンテナンスをサービス事業者が負担することが特徴です。このため利用者側は、メンテナンス負担を軽減できます。
京セラでは家庭向けとして エネルギーシステム定額サービス「ハウスマイルe」 、企業向けとして 「産業用電力サービス事業」 を提供しており、どちらも契約期間中のメンテナンス費用はもちろん、初期費用も0円で太陽光発電を導入できます。PPA契約の期間終了後は利用者に太陽光発電システムが譲渡されますが、その際の保守・メンテナンスも京セラがサポートする点もメリットです(PPA終了後のメンテナンスは費用が発生します)。
メンテナンス・保守点検の心配をせずに太陽光発電を導入したい方は、ぜひ京セラのPPAサービスをご活用ください。
【関連記事リンク】
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太陽光発電の設置費用はいくら?費用を抑える方法や投資回収もご紹介
太陽光発電の費用対効果は?計算方法や効果を高める方法を解説!【住宅】
太陽光発電の設置場所はどう選ぶ?設置条件・選び方のポイントを解説!【住宅・法人】
太陽光パネルの寿命はどのくらい?耐久性能や劣化原因を解説!
●「エコノルーツ」は京セラ株式会社の登録商標です。