太陽光発電の設置場所はどう選ぶ?選び方のポイントを解説!【住宅・法人】
太陽光発電を設置する場所というと「屋根」を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし屋根の形状によっては、思うように太陽光パネルを載せられないこともあるでしょう。
この記事では屋根以外に太陽光パネルを設置できる場所や、設置場所を選ぶポイントを解説します。個人・企業を問わず、太陽光発電の導入を検討している方は、ぜひご参考になさってください。
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【目次】
太陽光発電の仕組み
理想的な設置場所の選び方を理解するために、まずは太陽光発電の仕組みとシステム構成について知っておきましょう。
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太陽光パネルが発電する仕組み
太陽光パネルは電気的な性質が異なる2種類のシリコン半導体(N型半導体とP型半導体)で作られています。ここに光が当たると発電する仕組みを利用しているのが、太陽光発電です。
太陽光パネルで作られる電気は「直流」であるため、そのままではオフィスや家庭で使用できません。そのため後述のパワーコンディショナで「交流」へと変換しています。
太陽光発電のシステム構成
太陽光発電のシステム構成としては、太陽光パネル、パワーコンディショナ、接続箱、その他部材(ケーブル・架台)があります。また周辺機器として、出力制御ユニットや、太陽光発電と組合せても使用することが可能な蓄電システムがあります。
太陽光パネル以外の各機器にも設置場所の条件があります。
例えばパワーコンディショナの設置場所について、住宅用の場合は、製品によって屋内に設置するタイプと屋外に設置するタイプがあります。また、壁に設置する際にパワーコンディショナの上下・左右・前面の離隔距離も製品ごとに条件がありますので、設計・施工の前に設置場所に問題ないかチェックする必要があります。
産業用のシステムの場合は、太陽光発電の容量に合わせてパワーコンディショナも大型のものを使用するケースが多いので、配線の条件であったり、パワーコンディショナを設置するスペースが十分か確認する必要があります。
太陽光発電の導入を検討する際は、太陽光パネルの設置場所とあわせて、パワーコンディショナをはじめとする関連部材の設置場所についてもメーカーや設置業者に確認すると安心です。
太陽光発電を設置する場所の条件
- 日光があたる
- 自然災害リスクが少ない
- 設置角度の条件を満たしている
日光があたる
太陽光パネルに「日光」があたることで電力が生成されるわけですから、当然ながら日光があたる場所、可能であれば日照量が多い場所に設置することが望ましいです。
たとえば、南向きの場所はもっとも長く日光が当たる場所であるため、発電量を増やす観点から最適な設置場所だといえます。
なお、南向きに太陽光パネルを設置できるとしても、東側や西側を含め、周囲に障害物がないか確認しましょう。周辺に建物・樹木があると影ができてしまうため、発電効率が低下してしまいます。
自然災害リスクが少ない
太陽光発電設備は安くはないため、災害によって被害を受けると復旧のために多大なコストが発生します。
たとえ日照時間が長い場所だとしても、土砂災害リスクが高い傾斜地への地上設置は避けたほうがいいでしょう。さらに洪水・津波のハザードマップも確認し、できるだけ災害リスクの低いエリアに設置することをおすすめします。
また、太陽光パネルは野ざらしで設置する特性上、風による飛来物で損傷する可能性もあります。台風など自然災害の影響を受けやすい地域では、メーカー保証や保険の内容も事前に確認しましょう。
設置角度の条件を満たしている
太陽光発電の発電量は、「パネル」と「日光」が直角にあたるときに最大化します。地域や季節によって異なるものの、傾斜角10度〜30度で設置するケースが多いです(30度が理想的とされています)。
この設置角度の条件を満たしているかどうかも、太陽光パネルを設置するときはご留意いただきますようお願いいたします。
たとえば屋根に設置する場合、屋根の角度が10度〜30度の範囲内であることが望ましいです。日本の住宅の屋根は4寸勾配(約21.8度)、5寸勾配(約26.6度)、6寸勾配(約31度)になっていることが多いので、基本的には太陽光発電に適した角度になっています。
屋根以外の場所に設置する場合は架台によって角度をつけるため、基礎を安定させられる土地形状が望ましいです。
太陽光発電の設置場所
- 屋根
- 屋上
- 外壁
- 駐車場・カーポート(ソーラーカーポート)
- 農地(ソーラーシェアリング)
- ため池
- その他空地
屋根
屋根への太陽光パネル設置は、住宅や商業施設などほとんどすべての建物で実現できる方法です。
南面の屋根に太陽光パネルを設置するケースがもっとも効率的に発電できる方法ですが、東面や西面への設置も可能です。ただし、屋根材によって太陽光パネルを固定する金具などの部材を取り付けられない場合もありますので、メーカーや設置業者に確認すると安心でしょう。
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屋上
陸屋根の住宅は、屋上へ太陽光パネルを設置します。また、産業用の太陽光発電の場合も屋上に設置するケースが多いです。
面積の広い工場・商業施設などの屋上に太陽光パネルを設置すれば、相当量の発電が期待できます。
外壁
昨今では外壁へ太陽光パネルを設置する「垂直設置」を採り入れるケースもあります。
屋根・地面以外の場所で発電でき、建物の形状にあわせて柔軟に設置できるため、これまで太陽光パネルの設置が難しかった施設でも導入できる可能性があることが垂直設置のメリットです。
ただし垂直に設置する特性上、30度前後で設置する一般的な太陽光発電設備と比べると、発電量が下がる可能性があることは覚えておきましょう。
また、垂直に設置することで、太陽光パネルに反射した日光が周辺に広がってしまうこともデメリットです。いわゆる「光害」のリスクがあることには留意してください。
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駐車場・カーポート(ソーラーカーポート)
駐車場にカーポートを設置し、そこに太陽光パネルを載せる方法もあります。いわゆる「ソーラーカーポート」です。駐車スペースと太陽光発電スペースを共有できるため、敷地を効率的に使えます。
京セラは、ソーラーカーポートシステムRoofill(ルーフィル)をご提案することができます。ソーラーカーポートの導入をご検討の場合は是非お問い合わせください。
農地(ソーラーシェアリング)
農地に太陽光パネルを設置し、その下で農業を行う方法もあります。いわゆる「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)」です。
農地を農業以外の用途で使う場合、本来は農地法に基づき「農地転用」手続きをしなければなりません。この場合、地目は農地から宅地・雑種地などへ変更されてしまいます。
ソーラーシェアリングも転用手続きは必要ですが、それは「一時転用」であるため、地目を農地としたまま太陽光発電設備の設置部分(支柱の基礎部分)だけが転用されます。これにより作物を販売しながら売電・自家消費できるようになることがポイントです。
参考:農林水産省|営農型太陽光発電について
ため池
農業用ため池や貯水池などに太陽光発電を設置することも可能です。灌漑(かんがい)や雨水貯水など本来の用途を保ったまま、空いているスペースを有効活用する発電方法として注目されています。
太陽光発電設備を設置することで、ため池の水の蒸発や藻類の成長を抑制する効果が期待できることもメリットです。 京セラは水上太陽光発電の実績も多数ありますので、ため池の活用をご検討の場合は是非お問い合わせください。
その他空地
工場・オフィス・自治体の庁舎などの電力需要場所から離れた場所(オフサイト)に太陽光発電を設置し、そこから小売電気事業者を経て送電することも可能です。
ここまで紹介した場所以外の使われていない空地、たとえば「工場を建てる予定で取得したものの計画が進んでいない未開発地」「スペースが余っている資材置き場」などがあれば、そこに太陽光パネルを設置してみてもいいでしょう。
オフサイトを活用する手法は、初期費用0円で太陽光発電を導入できるPPAモデルでも採用されています。
また、電力需要場所の敷地内にスペースがあれば、自己所有モデルやオンサイトPPAモデルで太陽光発電を設置することも可能です。この場合は蓄電池と組み合わせることで、非常用電源としても活用できます。
オフサイトPPAとは?企業・自治体へのメリットやオンサイトPPAとの違いを解説
【法人向け】太陽光発電PPAスキーム(モデル)とは?仕組みやメリット、デメリット
太陽光発電の導入事例
実際に太陽光発電を導入しているお客様の事例をご紹介します。現在検討中の方はぜひ設置場所の参考にしてみてください。
法人および個人のお客さまのインタビュー記事を掲載していますので、気になる方はこちらもご覧ください。
ユーザーズボイス|導入事例|法人および個人のお客さまのインタビュー
住宅向け太陽光発電の導入事例
住宅向け太陽光発電の導入事例です。
工法 | 片流れ屋根 立平葺き板金屋根 |
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モジュール枚数 | 24枚 (8.76kWシステム) |
製品 | エコノルーツ |
工法 | 複合寄棟屋根 スレート瓦 |
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モジュール枚数 | 14枚 (5.18kWシステム) |
製品 | エコノルーツ |
工法 | 切妻屋根 平板瓦 |
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モジュール枚数 | 24枚 (6.06kWシステム) |
製品 | ルーフレックス |
法人向け太陽光発電の導入事例
オフィスや工場などに太陽光発電が導入された事例です。
株式会社明治様 大阪工場新1号館
発電システム | 200kW |
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場所 / 年 | 大阪府 / 2011年 |
株式会社エフピコ様 関西配送センター
発電システム | 518kW |
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場所 / 年 | 兵庫県 / 2015年 |
株式会社ベネッセコーポレーション様
発電システム | 720kW |
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場所 / 年 | 岡山県 / 2010年 |
大規模太陽光発電所
発電施設として太陽光発電が導入された事例です。
鹿児島七ツ島メガソーラー発電所
発電システム | 70MW |
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場所 / 年 | 鹿児島 / 2013年 |
高岡西水上メガソーラー発電所
発電システム | 約1.7MW |
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場所 / 年 | 兵庫県 / 2015年 |
滋賀・矢橋帰帆島メガソーラー発電所
発電システム | 約8.5MW |
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場所 / 年 | 滋賀県 / 2015年 |
太陽光発電の設置場所を選ぶポイント
太陽光発電の設置場所を選ぶときは、日射量や設置角度などの条件とあわせ、次のポイントも意識してみてください。
- 規制、法律、建築法規を確認する【住宅・法人】
- 発電量をシミュレーションする【住宅・法人】
- メンテナンスのしやすさも考える【住宅・法人】
- 補助金の条件も確認する【住宅・法人】
- 敷地外への設置も検討する【法人】
それぞれ詳しく解説します。
規制、法律、建築法規を確認する【住宅・法人】
太陽光発電はどこにでも設置していいわけではなく、建築基準法・電気事業法・景観法などの法令規制に基づいて設置しなければなりません。
これは法人・一般家庭に関わらず確認しなければならない事項なので、あらかじめメーカー・設置業者と相談することをおすすめします。
発電量をシミュレーションする【法人・住宅】
設置場所の候補が決まったら、その場所での発電量を事前にシミュレーションしておきましょう。
京セラが提供する「簡単シミュレーション」を使えば、年間の発電量はもちろん、節約できる電気料金まで計算できます。
例として、まずは住宅版 「簡単シミュレーション」 を試してみましょう。条件は次のとおりです。
- 設置場所:愛知県豊田
- 太陽光発電システムの容量:4kW
- 設置方角:南
- 電気料金プラン:中部電力 従量電灯B
- 最近1ヶ月の電気料金:15,000円
シミュレーション結果は次のとおりです。
産業用の 「簡単シミュレーション」 についても、会社名などを入力すれば利用できるため、ぜひご参考になさってください。
メンテナンスのしやすさも考える【住宅・法人】
発電量を維持するためには、太陽光パネルを定期的にメンテナンスする必要があります。そのため設置場所を選ぶときは、メンテナンスのしやすさも考慮しましょう。
たとえば住宅の傾斜屋根に設置する場合、作業用の足場を確保できるかどうかも加味しながら、設置面を決めてみてください。
補助金の条件も確認する【住宅・法人】
太陽光発電を導入する場合、条件に合致すれば国や自治体から補助を受けられます。経済的負担を最小限に減らすためにも、設置前に補助金の情報を調べてみてください。
たとえば法人向けであれば、ソーラーカーポートやソーラーシェアリング、ため池への太陽光発電導入に伴って補助金が支給されます(民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業>新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業)。
また、太陽光発電とあわせて蓄電池も導入することで、自社敷地内への設置も補助対象となりえます(新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業>ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業)。
令和6年度の補助事業はすでに公募期間を終えているものもありますが、来年度に向けて今から情報収集いただくこともおすすめいたします。
令和6年度の法人向け太陽光発電補助金情報を紹介!【2024年5月】
住宅の場合、太陽光発電の単体設置時に利用できる国からの補助金はありません。しかし各自治体からの補助金であれば、太陽光発電の単体設置でも使えることが多いです。
太陽光発電を設置するときは、まずはお住まいの都道府県・市町村のホームページで補助金情報をお探しください。蓄電池と同時設置することでより補助対象が広がることもポイントです。
令和6年度の住宅用太陽光発電導入に使える補助金を紹介!【2024年10月】
敷地外への設置も検討する【法人】
法令規制・屋根の形状・その他の要素から、自社敷地内(電力需要地内)に太陽光パネルを設置できないこともあります。
このような場合は敷地外への設置、すなわちオフサイトPPAを利用することも検討してみてください。
オフサイトPPAであれば、太陽光発電に適した地域に太陽光パネルを設置することも可能なので、発電量を最大化できることも特徴です。
オフサイトPPAとは?企業・自治体へのメリットやオンサイトPPAとの違いを解説
設置場所の相談も京セラへ
太陽光発電の設置に適しているのは、次の3つを兼ね備えた場所です。
- 日光があたる
- 自然災害リスクが少ない
- 設置角度の条件を満たしている
しかし現実的には、これらすべてを満たした場所ばかりではありません。住宅・企業などそれぞれの場所の制約に応じ、ケースバイケースで最適な設置場所を検討する必要があります。
どのような場所に設置すれば発電量を最大化できるか悩んでいる方は、住宅・オフィスなどへの設置はもちろん、ソーラーカーポートやため池への設置実績もある京セラへご相談ください。
また、設置場所はあるものの初期費用の負担がネックとなり、太陽光発電の導入を諦めている方もいるかもしれません。
そのような方には、PPAサービスの活用をおすすめします。PPAとは「Power Purchase Agreement(電力購入契約)」のことで、簡単にいうと初期費用0円で太陽光発電を導入できるサービスです。太陽光発電システムはPPA事業者の負担で設置し、需要家(住宅・法人など)は電力使用量に応じたサービス料金をPPA事業者へ支払います。
PPAであれば初期費用の負担なく太陽光発電を導入できるため、ぜひ検討してみてください。京セラでも住宅用・法人用それぞれにPPAサービスを提供しています。
(更新日:2024年10月3日)
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