電気代の基本料金とは?仕組みや節約方法を解説!【住宅・法人】

一口に「電気代」といっても、その内訳はいくつかの要素に分けられます。
そして電気代の内訳のなかで、固定費としてかかってくるのが「基本料金」です。電気代を節約するために、この基本料金を安くしたいと考えている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、電気代の基本料金が決まる仕組みや、基本料金を削減するためにできることについて解説します。住宅・法人それぞれができることを紹介いたので、ぜひ参考になさってください。
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【目次】
電気代の基本料金とは

電気代の「基本料金」とは、電気の使用量にかかわらずに発生する固定料金です。
電力会社が契約プランごとに設定しており、たとえまったく電気を使わなかったとしても支払わなければなりません(電気使用量がゼロの場合、減額される場合もあります)。
なお、電力会社によっては毎月の固定費を「最低料金」と呼んでいることもありますが、その性質は基本料金と同じです。
電気料金の内訳
電気代は基本料金を含め、次のような要素で構成されています。
このうち「基本料金」のみが毎月固定で、「電力量料金」と「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」は使用した電力量に応じて請求される従量課金制です。
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電気料金の決まり方

- 住宅の場合:「アンペア制」「最低料金制」のいずれか
- 法人の場合:「契約電力」
住宅の基本料金は「アンペア制」「最低料金制」のいずれかで計算
住宅の基本料金は「アンペア制」と「最低料金制」のいずれかで計算されます。
「アンペア制」は、各家庭の契約アンペア数に応じて基本料金単価が設定されるプランです。契約アンペア数が増えれば、それだけ家庭内で同時に使える電化製品も増えますが、基本料金は高くなります。
一方、契約アンペア数に関わらず、契約プランごとに最低料金が設定されているのが「最低料金制」です。一定の電力量までは定額の最低料金が請求されますが、基準を超えた分は電力量料金として請求されます。最低料金が、実質的な基本料金として機能しているといえるでしょう。
アンペア制 |
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最低料金制 |
|
法人の基本料金は「契約電力」によって決定
法人の基本料金は次の式で算出されます。
基本料金単価(円/kW)については、電力供給会社ごとに設定されています。
契約電力は、毎月の使用電力の上限(電力使用規模)のことです。契約電力が多ければ、それだけ基本料金が高くなります。
また、力率とは、電力供給会社から送られた電力をどれだけ有効に使用できたかを表す指標です。法人の基本料金にはこの効率性が反映され、「力率割引」 「力率割増し」などと呼ばれています。「(185-力率)/100」という計算式を採用している電力会社の場合、力率が85%を上回る場合には割引、85%を下回る場合には割増しされるということです。力率は8時〜22時にメーター測定された”有効電力量”と”無効電力量”により、各月ごとに決定されます。
少し計算が複雑ですが、法人の基本料金は原則として「契約電力」によって大きく左右されることがポイントです。
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基本料金の水準
それでは基本料金はどのくらいの水準なのか、東京電力を例に見てみましょう。
住宅の基本料金の水準
住宅の基本料金は次のとおりです。
プラン名 | 概要 | 基本料金(最低料金)|税込 |
プレミアム | 一定の使用量までは定額、それ以上は従量料金のプラン |
|
スタンダード | 標準的なプラン |
|
夜トクプラン | 夜間の電気使用量の割合が高くなるほどお得なプラン |
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スマートライフ | オール電化住宅向けのプラン |
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くらし上手 | 太陽光発電でつくった電気を活用したい方向けのプラン |
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アクアエナジー100 | 再生可能エネルギー由来の電気を希望する方向けのプラン |
|
参考:東京電力エナジーパートナー|電気の料金プラン一覧(2025年3月18日時点)
電力自由化に伴いさまざまなプランが登場し、基本料金がいくらなのか一概にはいえませんが、300円〜3,000円の間に収まる家庭が多いでしょう。
法人の基本料金の水準
つづいて法人の基本料金について、同様に東京電力を例に紹介します。
対象 | プラン名 | 契約電力1kWあたりの基本料金 |税込 |
ビル・商店・百貨店・スーパーなど | 高圧業務用電力(契約電力500kW未満) | 1,890円00銭 |
高圧業務用電力(契約電力500kW以上) | 1,890円00銭 | |
特別高圧電力A | 1,770円00銭(20kV供給) 1,715円00銭(60kV供給) | |
工場など | 高圧電力A(契約電力500kW未満) | 1,466円50銭
|
高圧電力(契約電力500kW以上) | 1,989円00銭 | |
特別高圧電力B | 1,770円00銭(20kV供給) 1,715円00銭(60kV供給) 1,660円00銭(140kV供給) |
参考:東京電力エナジーパートナー|電気料金プラン一覧 高圧・特別高圧(2025年3月18日時点|契約内容によって異なる可能性あり)
法人の場合、基本料金が数十万円になることも珍しくはありません。これだけの費用がかかるとなると、どうにか節約したいと思う方も多いでしょう。
現在の基本料金を確認する方法

- 検針票を確認する
- 電力会社のWebサイトから確認する
検針票を確認する
毎月届く「検針票(電気使用量のお知らせ)」を見れば、基本料金がいくらなのか確認できます。
ただし最近はペーパーレスが進み、検針票を郵送していない電力会社も少なくありません。もし検針票が見当たらない場合は、Webサイトから確認する必要があります。
電力会社のWebサイトから確認する
電力会社のWebサイトで「マイページ」などにログインすれば、契約プラン・契約電力などとあわせて、基本料金についてもチェックできます。
電力自由化以降に新規参入した小売事業者と契約している場合、紙の検針票が発行されていない(もしくは有料)のケースが多いため、基本的にはWebサイトから確認するといいでしょう。
基本料金を削減するためにできること

- 省エネ対策を行う【住宅・法人】
- 契約プランを見直す【住宅】
- デマンド値を抑える(契約電力を下げる)【法人】
- 電力会社を切り替える【住宅・法人】
省エネ対策を行う【住宅・法人】
まず前提として、基本料金を削減するためには、住宅・法人ともに「節電をすること」と「消費電力の少ない電化製品を使うこと」が重要です。
住宅の基本料金を決める「アンペア」も、法人の基本料金を決める「契約電力」も、”一度に使う電気の量”によってその大きさが決まります。そのため節電をし、さらに消費電力の少ない電化製品を使ったほうが、基本料金が安いプランで契約しやすいのです。
簡単にできることとしては、LED照明に切り替えたり、冷暖房設備の温度設定に配慮したり、使用しない電化製品の電源を切ったりすることが挙げられます。
短期的に見ると費用がかかりますが、古い電化製品を使っている場合は、消費電力の少ない最新の電化製品へ買い替えることもおすすめです。
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契約プランを見直す【住宅】
「アンペア制」で契約している住宅の基本料金は、家庭で一度に使用できる電力の最大量(契約アンペア)によって決まります。
そのため消費電力が大きな家電を一度に使わないよう工夫し、契約アンペア数を下げれば、基本料金を減らすことも可能です。
しかし快適に暮らすことを考えると、電化製品の使用頻度を少なくすることは難しいかもしれません。そのような場合は先述したとおり、消費電力の少ない電化製品に買い替えるといいでしょう。1台あたりの消費電力が少なければ、これまでどおり電化製品を使ったとしても、契約アンペアを下げられるかもしれません。
(ただし現実的に考えると、住宅で基本料金の削減幅には限界があります。)
デマンド値を抑える(契約電力を下げる)【法人】
法人の契約電力の決まり方には、「実量制」と「協議制」の2種類が存在します。
契約電力が500kW未満の事業者の場合、「実量制」が採用されるケースが多いです。この場合、過去一年間にメーター測定された30分ごとの平均使用電力(最大需要電力|1年間のデマンド値)に基づいて契約電力(最大需要電力)が決まります。
一方、大規模事業者(契約電力500kW以上)や特別高圧が必要となる事業者の場合は「協議制」、つまり需要家と電力会社が話し合って契約電力を決めることが特徴です。「使用する負荷設備(モーター容量)」「受電設備(キュービクル)の内容」「同一業種の負荷率」などを基準として協議することになりますが、もし月ごとのデマンド値が契約値を超えると、通常より割増の違約金を支払わなければなりません。基本料金を抑えるためには契約電力を低水準にする必要がありますが、電気代全体を安くするためには、電力需要ピーク時のデマンド値を見極める必要もあるのです。
いずれにしても、法人が契約電力を下げるためにはデマンド値を抑える必要があります。そして、デマンド値は「30分単位」の使用電力量によって決まることがポイントです。つまりトータルの使用電力量(購入電力量)が同じだとしても、大量の電力を短期間で購入するより、少量の電力を長時間にわたって購入するケースのほうが契約電力を抑えられます。
デマンド値を抑える方法としては、「ピークカット」と「ピークシフト」が代表的です。
太陽光パネルで自家発電した電気を使うことでピーク時の購入量を減らすのがピークカット、あらかじめ電気を購入して蓄電池に貯めておき、それを需要ピーク時に使用するのがピークシフトです。
太陽光発電や蓄電池を活用すれば、法人の基本料金を下げられる可能性があることは覚えておきましょう。
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電力会社を切り替える【住宅・法人】
基本料金の安い電力会社に切り替えるのも選択肢の一つです。
とくに電気の使用量が少ない場合は、たとえ従量課金単価が高いとしても、基本料金がなるべく安いプランを選んだほうが有利な可能性があります。
また、契約容量が大きい事業者は基本料金が高額になりやすいため、基本料金単価が安いプランにすると電気代を大きく削減できるかもしれません。
ただし基本料金が安いからといって、必ずしも電気代全体が安くなるとは限らないため、切り替え前に必ずシミュレーションしてみてください。
電気代を節約するなら太陽光発電・蓄電池の活用もおすすめ

ここまで基本料金について解説してきましたが、実は電気代を構成する各種要素の中で、基本料金が占める割合はそれほど多くありません。そのため電気代負担を減らしたい場合、基本料金のみにフォーカスしても、得られる節約効果は限られます。
トータルの電気代を削減するためには「使用する電力量を減らす」「購入する電力量を減らす」ことが重要であるため、ぜひ太陽光発電・蓄電池の活用もご検討ください。
自家消費できる太陽光発電を積極的に活用すれば、電力会社からの購入量を減らせるため、結果として電気代を大幅に節約することも可能です。また、蓄電池もあわせて活用すれば、より効率的に自家消費できます(法人の場合、太陽光発電・蓄電池を活用すればデマンド値を下げる効果も期待できるため、基本料金も電力量料金も節約できます)。
太陽光発電・蓄電池を導入するとなると高額な費用が必要というイメージを持っている方もいるかもしれません。しかしPPA(Power Purchase Agreement|電力販売契約)を利用すれば、初期費用0円で太陽光発電・蓄電池を導入できます。
PPAサービスを契約する場合、PPA事業者の負担で需要家の敷地内(屋根や空地など)に太陽光発電システムを設置します。需要家が支払うのは定額または使用した電力量に応じたサービス利用料のみで、契約期間中のメンテナンス費用もPPA事業者が負担することが特徴です。
京セラは住宅向けPPAとしてエネルギーシステム定額サービス 「ハウスマイルe」 を提供しており、こちらは太陽光発電・蓄電池の双方を導入できます。 企業向けPPA 「産業用電力サービス事業(PPA)」 は太陽光発電のみが前提のサービスですが、蓄電池を契約に組み込めることもあるため、ぜひお気軽にお問い合わせください。
●「HOUSmile(ロゴ)」は京セラ株式会社の登録商標です。
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