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デマンドとはどういう意味?
電力料金との関係性を解説!【法人】

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ビジネスシーンで「デマンド」という言葉を聞いたものの、具体的な意味が分からず調べている方もいるのではないでしょうか。

デマンドは直訳すれば「要求・需要」のことですが、実は業界・使われる場面によって具体的な意味は異なります。たとえば電力業界においては、「デマンド」が電気料金を左右するものとして重視されているのです。

そこで、この記事では、さまざまな業界における「デマンド」の意味について紹介しつつ、電力業界特有の「最大デマンド」「デマンド・リスポンス」などの用語について深掘りしていきます。

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【目次】

 

業界ごとのデマンドの意味

 
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「デマンド」とは、英語のDemand(要求・需要)のことです。

なお、要求というと、「ニーズ(Need)」「ウォンツ(Want)」などを思い浮かべる方もいるかもしれません。しかしこれらには、決定的な違いが存在します。

ニーズ(Need) 「必要不可欠なもの・なくてはならないもの」を求めること
ウォンツ(Want) 「あったらいいもの」を求めること
デマンド(Demand) ウォンツを満たすために、費用を支払う意思があること

たとえば、喉が渇いた時に水分を求めるのはニーズ、ジュースを求めるのはウォンツ、ジュースを買いたいと思うことがデマンドです。

そんなデマンドという言葉ですが、「要求・需要」という原義から派生し、さまざまな業界で独自の使われ方をしています。代表的なデマンドの用法を見ていきましょう。

 

電力業界

 
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電力業界のデマンドとは、通常「30分間(デマンド時限)の平均使用電力(kW)」を指します。瞬時値は計測上の用語として使われることもありますが、契約電力の決定には用いられません。

いずれも「どのくらいの電力を必要としているか」を表しており、契約電力や電力料金に影響を与える要素です。

また、家庭や企業などの電力需要家が、自らの電気使用量を調整することを「デマンド・リスポンス(Demand Response|DR)」といいます。デマンド・リスポンスの「デマンド」は、単に「電力需要」のことです。

 

ビジネス・マーケティング

ビジネス・マーケティングにおけるデマンドは原義に近く、消費者が製品・サービスを購入する意思のことを指します。

見込み客を集めて、実際に購買につなげるまでの過程をデマンドジェネレーション(需要創出)と呼ぶなど、売上アップのために欠かせない概念の一つです。

 

医療業界

 

医療業界におけるデマンドは、患者が「こうしてほしい」「あれが欲しい」「自宅で治療を続けたい」などと希望することを指します。

たとえば、病院での治療ではなく費用を支払ってでも自宅で治療を受けたいというのは、デマンドの原義どおりの意味だといえるでしょう。
患者の尊厳を重視する昨今は、その人らしい生活を送るためのデマンドも重視されているのです。

 

福祉業界

福祉業界(介護業界)におけるデマンドは、要介護者や家族の「もっとこうだったら助かるのに」といった希望のことを指します。

「生活に支障はないものの、あったらいいもの」「誤嚥のリスクはあるものの、あれが食べたい」など、原義に近い使われ方をしていることが特徴です。

 

IT業界

 
demand05.png IT業界のデマンドは、ユーザーの求めに応じて、サービス(音声や画像など)を即座に提供することを指します。

たとえば、「Webブラウザなどからの指示に基づき、サーバがデータを即座に配信すること」は、デマンドに応じている状態、すなわち「オンデマンド(on demand)」と呼ばれます。
  • IT業界では「デマンド」単独より、「オンデマンド配信」などの用法が多いです。

 

電力業界の「デマンド」について深掘り!

 
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ほかの業界と比べると、電力業界の「デマンド」はとくに専門的といえるかもしれません。

そこで、ここからは電力業界の「デマンド」の仕組みや計算方法、さらに「デマンド・リスポンス」の考え方について深掘りしていきましょう。

 

法人の電気代基本料金は「最大デマンド」に左右される

法人の電気代は、次のような内訳となっています。

基本料金

電力量料金 (電力量料金単価×使用電力量+燃料費等調整額)

再生可能エネルギー発電促進賦課金

このうち基本料金は、次の計算式で算出されます。

基本料金単価 × 契約電力 ×(185-力率)/ 100

契約電力は、使用電力の上限(電力使用規模)のことです。契約電力が大きければ、基本料金が高くなります。

そして契約電力は、最大デマンド(30分ごとの平均使用電力のうち、月間で最も大きい値)によって決まります。
つまりトータルの電気使用量が同じでも、最大デマンドが高い(短期間に多くの電気を使用する)ほうが、電気代が高くなるのです。

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  • 力率割引の基準値(85%以上で割引、85%未満で割増)は電力会社や契約種別により異なるため、全国一律ではありません。
 

30分デマンドの計算方法

 
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30分デマンドの計算は30分間の電力を用いて行われます。

その計算方法や、契約電力の決まり方は、文章だけでは分かりづらいかもしれません。そこで簡単な例を使って、具体的な計算方法を見ていきましょう。

たとえば、0分〜15分まで400kWの電力を使用し、15分〜30分までは200kWの電力を使用した場合、30分間の平均使用電力は300kWです。これが30分デマンドとされます。

この30分デマンドのうち、月間で最も大きい値が、当月の最大デマンドとして扱われます。そして契約電力は、「当月を含む過去1年間の最大デマンド」としている電力会社が一般的です。

これをふまえて、最大需要電力によって、契約電力がどのように決まるのか見てみましょう。

  • 表は横にスクロールできます
X年 Y年
7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月
当月の最大デマンド
(kW)
250 280 300 280 270 270 290 270 270 270 270 270 270 270 250
当月を含む過去1年間の最大デマンド
(kW)
- 280 300 300 300 300 300 300 300 300 300 300 300 300 290
当月の契約電力
(kW)
250 280 300 300 300 300 300 300 300 300 300 300 300 300 290

この表のように、1度高いデマンドの値を記録すると、その後1年間にわたって契約電力が高止まりしてしまうことが特徴です。

もう少し細かく説明すると、X年9月に最大デマンド及び当月含む過去1年間の最大デマンドが300kWの場合、X年9月の契約電力が300kWとなり、そのあとは最大デマンドが300kWを超えることが無かったため、Y年8月までその値が適用されます。
Y年9月は、当月含む過去1年間の最大デマンドがY年1月の290kWなので、契約電力は290kWが適用されます。

参考:東京電力エナジーパートナー|契約電力の決定方法(実量制)

 

デマンド・リスポンスの考え方と意義

 
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ここからは、電力需要家が電気使用量を調整する「デマンド・リスポンス(Demand Response|DR)」について見ていきましょう。ここでいうデマンドは、単純な「電力需要」のことを指します。

そもそも、電気を安定供給するためには電気をつくる量(供給)と電気の消費量(需要)が、同じ瞬間に均等になっていなければなりません。供給量と需要量が一致しないと、電気の品質(周波数)が乱れ、正常に供給できないためです。

このため、電力会社は発電計画をベースにしつつ電力需給に合わせて発電量を変え、必要なときに必要なだけ電気をつくり出すようにしています(大規模な電力系統レベルでの長期・大量蓄電は現状困難です。揚水発電や大規模蓄電池は一部で使われていますが、全国の需要全体を賄える規模ではありません)。

しかし昨今は、太陽光や風力など発電条件の変動が激しい再生可能エネルギーの利用が進んでおり、電気の需給バランスが崩れやすくなっています。このような背景から、電気を創る側ではなく、電気を使う側(需要家)でバランスを取ろうとする試みがデマンド・リスポンスです。

たとえば、過剰な電力が供給されそうなときは、機器を動かしたり蓄電池へ充電したりすることで、電力需要を増やします。(「上げDR」といいます。)一方、供給電力が足りなくなりそうなときは、機器の出力を落としたり蓄電池の電気を活用したりすることで、電力需要を減らします(「下げDR」といいます)。

このような需要家側の取り組みによって、日本全体の電力需給バランスが安定することが、DRに取り組むメリットです。さらにDRに取り組めば、再エネ由来の電力を効率的に使えるようになるため、環境保全・化石燃料調達コストの削減効果なども期待できます。

参考:資源エネルギー庁|ディマンド・リスポンスってなに?

 

契約電力の区分と電気料金への影響

 
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さて、最大デマンドによって決まる法人の契約電力ですが、先述したとおり、契約電力が500kW以上の場合は協議制、50kW以上500kW未満の場合は実量制によって決まります。

それぞれの区分において、契約電力(最大デマンド)が電気料金に及ぼす影響について見ていきましょう。

参考:東京電力エナジーパートナー|契約電力について知りたい

 

500kW以上契約の場合

契約電力が500kW以上の大規模事業者・特別高圧が必要な事業者は、需要家と電力会社の協議によって契約電力を決定します。これが協議制です。

基準となる契約電力は「使用する負荷設備(モーター容量)」「受電設備(キュービクル)の内容」「同一業種の負荷率」などによって決定しますが、もし実際のデマンドが契約値を超えた場合、割増料金が発生します。

 

50kW以上500kW未満の場合

50kW以上500kW未満の場合は、先述した30分デマンドの実測値によって契約電力が決まります。これが実量制です。

実量制の場合、ある30分間のデマンドの値が突出して大きくなってしまうと、それだけで向こう1年間の基本料金が高くなってしまうため、十分に注意しなければなりません。

 

最大デマンドを下げる方法

 
demand010.png 法人が電気代を削減するためには、最大デマンドをいかに下げるかが重要です。

まずは、自社の電力使用状況を把握しましょう。

そのうえで、デマンドをコントロールする方法を検討する必要があります。最大デマンドを下げる方法としては、次の4パターンが挙げられます。
  • 30分デマンドを予測して機器を止める
  • 30分デマンドを予測して生産計画を変更する
  • 太陽光発電でピークカットを実施する
  • 蓄電池でピークシフトを実施する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

30分デマンドを予測して機器を止める

契約電力を超えそうな場合に、あらかじめ機器を止めることができれば、契約電力の上昇を防げます。

工場や病院など、電力が事業活動に直結する場合は難しいかもしれませんが、30分デマンドを予測して空調や照明を消したり、生産設備を一時的に止めたりすることも選択肢の一つです。

 

30分デマンドを予測して生産計画を変更する

工場の場合、契約電力を超えそうな時間帯ではなく、夜間など電力需要の少ない時間帯に生産計画をずらしておくことも、最大デマンドの抑制には有効です。
ただ機器を止めるだけではなく、機器を動かす時間をずらすだけであるため、生産量を維持できる点はメリットといえるでしょう。

ただし、夜勤などが発生する場合は、従業員との調整も必要ですし、夜勤手当などのコストが増える点も考慮しなければなりません。

 

太陽光発電でピークカットを実施する

 
demand011.png機器を止めずに日中の30分デマンドを下げる方法としては、太陽光発電によるピークカットが挙げられます。

契約電力を超えそうな時間帯が日中の場合、太陽光発電で自家発電した電気を使えば、電力購入量を減らせる(最大デマンドを減らせる)ことがポイントです。

この方法なら基本料金の高止まりを防ぐだけではなく、電力量料金を削減する効果も期待できます。

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  • ただし、雨天時や夜間は発電できないため、注意が必要です。

 

蓄電池でピークシフトを実施する

太陽光発電によるピークカットだけでは30分デマンドの抑制が難しい場合、蓄電池によるピークシフトもご検討ください。

電力使用量が少ない夜間や早朝に蓄電池に電気を貯めておき、昼間の需要ピーク時に蓄電池から放電すれば、デマンドがピークになる時間帯の電力購入量を減らすことができます。
生産計画を変えずに、電力需要だけをシフトさせられることがポイントです。

 

電力デマンドの抑制には太陽光発電・蓄電池を活用!

 
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「デマンド」という言葉にはさまざまな意味がありますが、電力業界においては、広義には「電力需要」のこと、狭義では「30分間の平均使用電力」や「最大需要電力」として使われます。
とくに最大デマンドは法人の電気代を左右する重要な要素であるため、太陽光発電を活用して、上手に抑制していくことが重要です。

太陽光発電を導入するとなると、多額の初期投資が発生すると思っている方もいるかもしれません。しかしPPA(Power Purchase Agreement|電力購入契約)というモデルを活用すれば、初期投資ゼロで太陽光発電を設置できます。

【法人向け】 太陽光発電PPAスキーム(モデル)とは? 仕組みやメリット、デメリット

京セラでも法人向けに 産業用電力サービス事業(PPA) を提供しておりますので、電力デマンドを抑制したい場合はぜひご活用ください。太陽光発電のみのプランですが、条件によっては蓄電池を組み込めるケースもございます。

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