太陽光発電設備に固定資産税はかかる?条件や事例を紹介!
【住宅・法人】

太陽光発電を導入すると固定資産税がかかるのか、気にしている方もいるのではないでしょうか。
太陽光発電に固定資産税が課税されるのかどうかは、その所有者・設定方法・発電容量などによって異なります。
この記事では太陽光発電設備に固定資産税がかかる条件について、住宅・法人それぞれの視点から解説するので、ぜひご参考なさってください。
- ●固定資産税は、お客様の条件によって異なります。詳しくは、税理士またはお近くの税務署にご相談ください。
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【目次】
固定資産税とは

まず初めに、そもそも固定資産税とはどのような税金なのでしょうか。
固定資産税は地方税の一種で、固定資産の所有者が、その資産の価値に応じて算定された税額を、固定資産の所在する市町村に納めるものです。
参考:総務省|固定資産税
どのようなときに固定資産税が課税されるのか、条件や仕組みについて解説します。
固定資産の種類
固定資産とは、次のいずれかに該当する資産のことです。
種類 | 例 |
土地 | 宅地・田畑・山林・原野など土地全般 |
家屋 | 住宅・店舗・工場(発電所や変電所を含む)・倉庫などの建物全般 |
償却資産 | 事業者が所有する構築物(広告塔やフェンスなど)・自動車・備品(パソコンや工具など)・飛行機・船など |
固定資産税の課税条件
固定資産税が課税される主な要件は、次の2つです。
- 土地・家屋・償却資産に該当する
- 市町村の区域内における同一名義人が所有する資産の評価額が免税点以上
まず、課税対象の財産が上述の「固定資産」に該当していることが前提です。
そして、市町村の区域内における同一名義人が所有する固定資産の評価額が、資産の種類ごとに定められている免税点以上の場合、固定資産税が課されます。なお、免税点は次のとおりです。
- 土地:30万円
- 家屋:20万円
- 償却資産:150万円
たとえばA市の中で、同じ名義人が「評価額20万円の土地X」と「評価額15万円の土地Y」を所有していた場合、評価額合計が35万円となるため固定資産税が課されます。
固定資産税の仕組み
固定資産税の仕組みは、少し複雑です。
まずは先述したとおり、固定資産税の「評価額」が求められます。土地・家屋については3年ごとに評価替えが実施され、それ以外の年度は原則据置きです。宅地については地価公示価格等の7割を目途に評価され、家屋は同様の建物を新築した場合にかかる費用を基礎として評価されます。一方、償却資産は毎年評価され、取得価額と耐用年数を基礎として評価されることが特徴です。
次に評価額から、「課税標準額」が求められます。原則としては評価額=課税標準額ですが、政策的な特例措置が設けられている固定資産も存在するためです(たとえば小規模住宅用地の課税標準額は、評価額の6分の1)。
そして「課税標準額」に「標準税率1.4%」をかけたものが、固定資産税額です。この税額も、政策的な特例で軽減されることがあります。
参考:総務省|固定資産税の概要
固定資産税の申告と手続き
土地や建物の場合、固定資産税の申告は必要ありません。各自治体が固定資産税額を決定したら、1月1日現在の所有者に納税通知書が送られます。
一方、償却資産については申告が必要です。毎年1月31日までに、その年の1月1日時点で所有する償却資産を「償却資産申告書」によって申告します。
太陽光発電が固定資産となる要件

- 事業用の設備である
- 出力が10kW以上で余剰売電・全量売電する
- 屋根と一体型である
それぞれの要件について、詳しく見ていきましょう。
参考:水戸市|太陽光発電設備に係る固定資産税(償却資産)の課税について
東広島市|太陽光発電設備を設置した場合、固定資産税はどうなりますか?
事業用の設備である
事業収入に結びつく形で太陽光発電設備を使っている場合、その出力に関わらず償却資産として固定資産税の課税対象とされます。
法人が所有者の場合、太陽光発電設備は必ず償却資産とされることは知っておきましょう。
個人が所有者の場合も、それを事業用として使っている場合には、出力量の多寡、もしくは全量売電しているのか余剰売電しているのかにかかわらず、償却資産として課税されます。
出力が10kW以上で余剰売電・全量売電する
個人で太陽光発電を所有しており、個人事業主でもなければ、固定資産税は課税されないと思った方もおられるかもしれません。
しかし、たとえ個人が所有しているとしても、出力が10kW以上でなおかつ余剰売電・全量売電している場合には事業用(電気業)の償却資産とみなされ、固定資産税が課税されます。
屋根と一体型である
屋根と一体型の太陽光発電設備の場合、家屋の一部として評価されます。つまり償却資産ではなく、建物として課税されるということです。
この場合、たとえ個人が10kW未満の太陽光発電を自家用に導入するとしても、固定資産税を支払わなければなりません。
太陽光発電にかかる固定資産税を軽減する方法

- 屋根に架台をつけて太陽光発電を設置する【住宅】
- 所有する償却資産を免税点以下に抑える【法人】
- 再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置を活用する【法人】
- リースを活用する【住宅・法人】
- PPAを活用する【住宅・法人】
それぞれ詳しく解説します。
屋根に架台をつけて太陽光発電を設置する【住宅】
屋根に架台をつけて太陽光発電を設置する場合、建物と太陽光発電が別々のものとみなされます。つまり太陽光発電が固定資産税評価に組み込まれないため、屋根材一体型の太陽光発電より固定資産税を軽減できるのです。
新築時に太陽光発電を設置する場合、基本的には屋根材一体型の太陽光パネルを選ぶことが多いですが、もし固定資産税が気になる場合には架台を活用してもいいでしょう。
なお、既築住宅に太陽光発電を後付けする場合には、架台を設置して太陽光パネルを取り付けるケースが多いです。
太陽光発電は既築住宅に後付けできる?メリット・デメリットや注意点を解説!【住宅】
所有する償却資産を免税点以下に抑える【法人】
現実的には難しいかもしれませんが、法人が太陽光発電を所有する場合、所有する償却資産を免税点(150万円)以下に抑えれば、固定資産税が課税されることはありません。
もし各種備品もリース契約しており、会社として資産計上しているものが少なければ、顧問税理士と相談のうえご検討ください。
再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置を活用する【法人】
より現実的に固定資産税を軽減する方法としては、「再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置」の活用が挙げられます。
これはその名のとおり、太陽光発電を含む再エネ発電設備に対して、固定資産税を軽減する措置です。条件を満たした場合、固定資産税が課せられることとなった年度から3年間にわたって軽減されます。
軽減幅は次のとおりです(括弧内は各自治体が一定の幅で独自に設定できる「わがまち特例」を適用した場合の軽減幅)。
発電出力 | 課税標準 |
1,000kW以上 | 3/4(7/12~11/12) |
1,000kW未満 | 2/3(1/2~5/6) |
なお、軽減措置を受けるためには、太陽光発電設備が次の条件を満たしている必要もあります。
グリーンイノベーション基金補助金を受けて取得した1,000kW未満の設備で、ペロブスカイト太陽電池を使用した設備 |
認定地域脱炭素化促進事業計画に従って取得した設備のうち、次のいずれかの補助金などを受けて取得した50kW以上の設備
|
参考︓資源エネルギー庁|各種支援制度>税制
リースを活用する【住宅・法人】
太陽光発電をリースで導入する場合、設備の所有者はリース事業者であるため、固定資産税もリース事業者に課されます。そのため需要家(住宅・法人)としては固定資産税の負担はありません。
ただし法人の場合、期間終了後に無償譲渡されるなど「所有権留保付売買」と考えられるリースについては、使用者が償却資産として申告しなければならないとされています。
リースだからといって固定資産税が課されないとは限らないため注意してください。
PPAを活用する【住宅・法人】
固定資産税の負担をなくしたい場合、PPAの活用もおすすめです。PPAとは「Power Purchase Agreement」の略称で、第三者所有モデル・電力購入契約モデルとも呼ばれています。
PPAではサービス事業者の負担で電力需要家(住宅・法人)の敷地内に太陽光発電設備を設置し、需要家は使用した電力量に応じてサービス利用料を支払うことが特徴です。
固定資産税は太陽光発電設備の所有者であるPPA事業者に課税されるため、需要家としては太陽光発電の設置費用・契約期間中のメンテナンス費用、さらに固定資産税の負担もなく太陽光発電を導入できます。
京セラは家庭向けPPAとしてエネルギーシステム定額サービス 「ハウスマイルe」 を提供しており、こちらは太陽光発電・蓄電池の双方を導入可能です。太陽光発電の導入を検討しているご家庭は、ぜひご活用ください。

また、法人にとってもPPAはメリットのある手法です。リース契約と異なりPPAは完全従量課金制であるため、将来的な支払い額が確定していません。そのため法人が契約する場合も、資産計上が不要となる可能性が高いスキームなのです。
【法人向け】初期投資ゼロで設置できるPPAスキーム(モデル)とは?リースや自己投資との違いを解説!
京セラは企業向けPPAとして 「産業用電力サービス事業(PPA)」 を提供しているため、太陽光発電の導入を検討している企業はぜひお気軽にご相談ください。太陽光発電のみのプランが前提ですが、蓄電池を契約に組み込めることもあります。

固定資産税の負担を減らして太陽光発電を導入したい場合はPPAがおすすめ

法人が太陽光発電を導入する場合、ほとんどのケースで固定資産税が課税されます。一般家庭の場合も、屋根材一体型の太陽光発電設備は建物と一部とみなされるため、固定資産税の課税対象です。
太陽光発電にかかる固定資産税負担を減らす方法はさまざまありますが、他の経済的メリットも鑑みると、「PPAモデル」がもっともおすすめだといえます。
固定資産税負担を減らしつつ上手に太陽光発電を活用したい方は、ぜひPPAの利用をご検討ください。
- ●固定資産税は、お客様の条件によって異なります。詳しくは、税理士またはお近くの税務署にご相談ください。
- ●PPAサービスで設備が無償譲渡された後、設置したお客様はその設備の所有者となります。そのため、固定資産税の支払い対象にあてはまる場合は無償譲渡後に固定資産税の支払いが必要です。詳しくは、税理士またはお近くの税務署にご相談ください。
- ●「HOUSmile(ロゴ)」は京セラ株式会社の登録商標です。
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