太陽光発電・蓄電池

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燃料費調整額(燃料調整費)とは?
仕組みや算定方法、負担を抑えるポイントを解説!【住宅・法人】

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電力料金の明細を見ると「燃料費調整額」という項目がありますが、これがどのような費用なのか疑問に感じている方もおられるのではないでしょうか。

燃料費調整額はプラスになることもあれば、マイナスになることもあるため、少し複雑な明細といえます。

そこで、この記事では燃料費調整額(燃料調整費)の仕組みや算定方法について、詳しく解説します。燃料費調整額の負担を抑えるポイントも解説しますので、ぜひご参考になさってください。

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【目次】

 

燃料費調整額(燃料調整費)とは

 
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燃料費調整額とは、火力発電の燃料価格の変動に合わせて、毎月の電力料金にプラスされたり、マイナスされたりするものです。

大手電力会社が提供する「規制料金」においては、燃料費調整額の設定が義務づけられています。

電気料金 = 基本料金 + 電力量料金 + 再エネ賦課金

上記の設定であるため、電気使用量が多ければ、燃料費調整額の影響も大きくなることがポイントです。燃料費調整単価については、後ほど詳しく説明します。

電気料金の内訳や構成が気になる方は、こちらの記事もご覧ください。

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燃料費調整制度が導入された目的と背景

 
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なぜ、このように複雑な燃料費調整制度が導入されたのでしょうか。

その背景としては、日本のエネルギー事情が挙げられます。日本で発電される電力の内訳は、7割が火力発電です。そして火力発電のために必要な原油・LNG・石炭は、そのほとんどを輸入に頼っています。そのため、不可抗力的な要因、たとえば世界情勢や円安などにより、電力事業者の経営負担が増加してしまうケースも珍しくありません。

このような電力事業者の効率化努力の及ばない「燃料価格」「為替レート」といった影響を外部化することで経営環境の安定を図り、なおかつ為替差益を消費者に還元することを目的に、1996年に燃料費調整制度が導入されました。

その後、「燃料価格の大幅かつ急激な変動」や「電気事業を取り巻く各種状況の変化」を踏まえ、燃料価格の変動を迅速に電気料金に反映させ、なおかつ料金変動を平準化するために、約2か月で燃料費調整額が電気料金に反映される現在の制度に整備されました。

2016年4月には電気小売業が全面自由化されましたが、みなし小売電気事業者(旧一般電気事業者の小売部門)の電気料金(規制料金)はもちろん、新電力各社が提示する料金メニューにも、燃料費調整額が反映されています。

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参考:資源エネルギー庁|燃料費調整制度について電力調査統計表 2024年度(令和6年度) 結果概要(897KB)
電力・ガス取引監視等委員会|電気の小売供給契約における燃料費調整条項について

 

燃料費調整制度の仕組み

それでは燃料費調整制度の仕組みについて、順を追って見ていきましょう。

 

燃料費調整額と燃料費調整単価の違い

「燃料費調整額」と「燃料費調整単価」という、似た単語に混乱してしまう方もいるかもしれません。

燃料費調整単価は「1kWhあたりの調整レート(円/kWh)」のことを指します。
そして、燃料費調整単価に電気使用量をかけ、実際の請求で「加算・減算される合計金額」が、燃料費調整額です。

 

燃料費調整単価の算定方法

燃料費調整単価は、次の式で算定されます。

燃料費調整単価[銭/kWh]=
(実績燃料価格[円/kl]ー 基準燃料価格[円/kl])×基準単価[円/kWh]/1,000

基準燃料価格とは、料金改定申請の直近3か月における原油・LNG・石炭それぞれの貿易統計価格にもとづき算定される、各電力会社の電気料金設定の前提要件となる燃料価格のことです。

実績燃料価格は、原油・LNG・石炭の貿易統計価格の加重平均値で、各月の3〜5か月前の貿易統計価格に基づいて算定されます。

基準単価は、「平均燃料価格が1,000 円/kl変動した場合の1kWhあたりの変動額」のことで、各電力事業者の火力発電における燃料消費量(原油換算値)を販売電力量で除して算出します。

参考:資源エネルギー庁|燃料費調整制度について

 

燃料費調整の仕組みとプラス・マイナス調整

燃料費調整制度におけるプラス・マイナス調整は、次のステップで実施されます。

  1. 料金改定申請の直近3か月における原油・LNG・石炭それぞれの貿易統計価格にもとづき、「基準燃料価格」を算定
  2. 各月の3~5か月前の貿易統計価格に基づき、「実績燃料価格」を算定
  3. 「基準燃料価格」と「実績燃料価格」の差をもとに、「燃料費調整単価」を算定
  4. 月々の電気料金へ反映

実績燃料価格が、基準燃料価格よりも低ければマイナス調整(減算)、高ければプラス調整(加算)が入ります。

なお、マイナス調整に下限はありませんが、プラス調整については、基準燃料価格×1.5倍が上限とされていることも知っておきましょう(ただし上限は規制料金のみに適用され、自由料金には上限設定がありません)。

参考:資源エネルギー庁|燃料費調整制度について電気料金の改定について

 

電気料金への反映時期

たとえば6月の電気料金を決める際は、3〜5か月前(1月〜3月)の実績燃料価格を算出し、プラス調整・マイナス調整が実施されます。

つまり、燃料費調整額が反映されるまでの期間は2か月ということです(3月末までの実績燃料価格が、6月はじめからの電気料金に反映されます)。

 

再エネ賦課金との違い

 
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電気料金の明細を見ると、「再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)」という項目も加算されています。

再エネ賦課金とは、電力会社が再エネ由来の電気を買い取るために要した費用を、電力需要家も負担するよう、毎月の電気料金の一部として請求されるものです。
燃料費調整額は火力燃料の価格変動を毎月の電気料金に反映させるためのものであるため、プラス調整されることもあれば、マイナス調整されることもあります。

一方、再エネ賦課金は、火力発電よりもコストの高い再エネの普及を支えるため、電力需要家が広く負担を分け合うものです。そのため、電気料金にプラスされることはあっても、マイナスされることはありません。

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燃料費調整額の推移

 
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最近は世界情勢が緊迫しており、円安傾向にあります。そのため、燃料価格が高騰し燃料費調整額も上昇しているイメージがあるかもしれませんが、実際はどうなのでしょうか。東京電力の関東エリアにおける従量制燃料費調整単価の実績値を見てみましょう。

適用年月 燃料費調整単価(税込 円/kWh)
※「▲」はマイナスを意味します
2025年 11月分 ▲7.65
10月分 ▲9.65
9月分 ▲9.90
8月分 ▲9.25
7月分 ▲6.88
6月分 ▲6.39
5月分 ▲6.19
4月分 ▲7.38
3月分 ▲8.83
2月分 ▲9.00
1月分 ▲6.51
2024年 12月分 ▲6.33
11月分 ▲8.67
10月分 ▲10.19
9月分 ▲10.37
8月分 ▲6.31
7月分 ▲6.09
6月分 ▲7.60
5月分 ▲9.14
4月分 ▲9.21
3月分 ▲9.28
2月分 ▲9.56
1月分 ▲9.65
2023年 12月分 ▲9.67

参考:東京電力|燃料費調整単価等一覧

実は国の緩和措置により、燃料費調整額はマイナス調整されている期間が多いのです。ただし、エリア・契約種別により金額は異なります。

 

燃料費調整額の今後

 
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最近は国の緩和措置により、マイナス調整が続く傾向にある燃料費調整額ですが、今後はどうなるのでしょうか。未来を予測することはできませんが、日本の置かれた状況について、詳しく探っていきましょう。

 

国際情勢やエネルギー資源の影響

記事前半で触れたとおり、日本は化石燃料の大部分を輸入に依存しています。

そして、今のように不安定な世界情勢が続き、エネルギー需給がひっ迫すると、燃料費調整額も高騰していく可能性があるのです。

再エネ・原子力比率が上昇すれば、つまり火力依存を減らせば、たとえ化石燃料価格が上昇しても、燃料費調整額の変動は微少に抑えられるかもしれません。
また、燃料価格が上がったとしても、政府が補助を打ち出すことで、これまでのように家計・企業への影響が限定されることも考えられます。

しかし、日本として火力依存を減らせるか、もしくは補助制度を打ち出せるかは、不透明です。
そのため、燃料費調整額が今後上昇する可能性を見越して、金銭的負担を最小限に抑えるための対策を取っていくことも検討したほうが安心でしょう。

 

燃料費調整額の負担を抑えるためのポイント

 
fuelcostadjustment08.png 燃料費調整額がプラス調整されたとしても、負担を最小限に抑えるポイントとしては、次の3つが挙げられます。
  • 電力会社・料金プランを見直す
  • 電気の需要を減らす
  • 太陽光発電を導入する

それぞれ詳しく解説します。

 

電力会社・料金プランを見直す

実は電力契約には、「規制料金プラン」と「自由料金プラン」の2種類があります。

先述したとおり、規制料金の場合は、燃料価格の上昇分として電気料金に反映できる額が、基準燃料価格×1.5倍までに制限されています。

一方、自由料金には上限がなく、燃料価格が上昇すると、想定以上に電力料金が高くなってしまう可能性があるのです。
そのため、燃料費調整額が上昇していくと考えられる際は、どの電力会社・料金プランを選べば負担を最小限にできるか、定期的に見直すことを意識していきましょう。

 

電気の需要を減らす

燃料費調整単価×電気使用量=燃料費調整額であるため、使う電気の量を減らせば、燃料費調整額を含むトータルの電力料金を削減できます。

電化製品の使い方を見直したり、省エネ製品に置き換えたり、できることから節電に取り組むこともご検討ください。

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太陽光発電を導入する

 
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電気の需要を減らすといっても、節電できることにも限界があるでしょう。

そのため、抜本的に電力料金負担を減らすためには太陽光発電を導入し、電力会社から購入する電力量を減らすこともご検討ください。

太陽光発電を導入すれば、化石燃料由来の電気への依存度を、家庭・企業レベルで下げていくことが可能です。燃料費調整額の影響を気にすることなく電気を使用でき、さらに災害対策の効果も期待できる点は、大きなメリットといえるでしょう。

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また、太陽光発電と蓄電池を併用し、日中発電した電気を貯めておくことで、夜間や荒天時の電力購入量を削減できます。 たとえば住宅に太陽光発電・蓄電池を導入した場合の電力利用イメージは次のとおりです。

1日の電力利用イメージ

法人が産業用蓄電池を導入すれば、電力購入量を減らせる(燃料費調整額の負担を軽減できる)だけではなく、ピークカット・ピークシフトによる電気代削減効果も期待できます。また、災害時の非常用電源にもなるため、BCP対策としてもおすすめです。

太陽光発電と蓄電池の両方を設置するメリット・デメリットとは?仕組みや特徴と合わせて解説

 

燃料費調整額の上昇リスクには太陽光発電で備えるのがおすすめ!

 
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2023年~2025年については、政府の補助があったこともあり、燃料費調整額がマイナスとなる状況が続いていました。しかし、燃料価格自体は上昇傾向にあるため、今後の情勢によっては、プラス調整に転じる可能性もあります。

とくに「自由料金」の場合、上限なくプラス調整される可能性もあるため、太陽光発電を導入して家庭・企業レベルで火力発電への依存度を下げるなど、何らかの対策を進めておくと安心でしょう。

太陽光発電を設置するとなると多額の初期費用がかかると思っている方もいるかもしれませんが、実はPPA(電力販売契約|Power Purchase Agreement)という仕組みを活用すれば、初期費用0円で導入することも可能です。

京セラは家庭向けPPAとしてエネルギーシステム定額サービス 「ハウスマイルe」 を、企業向けPPAとして 「産業用電力サービス事業(PPA)」 を提供しているため、太陽光発電の導入を検討したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちら

  • 「HOUSmile(ロゴ)」は京セラ株式会社の登録商標です。

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