再エネ賦課金とは?
推移や制度の目的、仕組みを詳しく解説!【住宅・法人】

電気代の内訳を見て、「再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)」の負担が重いと感じたことがある方もいるのではないでしょうか。電気を使うすべての方に関係のある再エネ賦課金ですが、なぜ電気代の一部として請求されているのか知っている方は少ないかもしれません。
そこで、この記事では再エネ賦課金の目的や仕組み、計算方法について詳しく解説します。再エネ賦課金の推移や今後の動向、負担を軽減する方法についても紹介するため、ぜひご参考になさってください。
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【目次】
・再エネ賦課金の仕組みと計算方法
・再エネ賦課金の特徴
・再エネ賦課金のメリット・デメリット
・再エネ賦課金の推移
・再エネ賦課金の今後について
・再エネ賦課金の負担を減らす方法
・再エネ賦課金の負担軽減にはPPAもおすすめ
再エネ賦課金とは
再エネ賦課金の正式名称は「再生可能エネルギー発電促進賦課金」です。
電力会社が再エネ由来の電気を買い取るために要した費用に充当するために、住宅・法人など電気利用者の種別に関わらず、毎月の電気料金の一部として請求されています。
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再エネ賦課金の目的

- 太陽光
- 風力
- 水力
- 地熱
- 太陽熱
- 大気中の熱その他の自然界に存する熱
- バイオマス
しかし火力発電などと比べると、再エネは発電コストが高いことも事実です。技術進歩により発電コストは低減していますが、現状のコスト水準では発電事業者・電力会社に大きな負担がかかってしまいます。そこで再エネ由来の電気を調達するための費用の一部を、電気利用者(住宅・法人)から”賦課金”という形で集めることで、再エネの普及を支えているのです。
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参考:経済産業省|制度の概要|FIT・FIP制度
再エネ賦課金の仕組みと計算方法
再エネ賦課金の概要をふまえ、その仕組みや計算方法について詳しく見ていきましょう。
再エネ賦課金の仕組み
再エネ賦課金の仕組みを理解するためには、FIT制度について知らなければなりません。
再エネを普及させるため、国内の電力会社には再エネ由来の電気を「決まった期間」「決まった価格」で買い取ることが義務付けられています。これが固定価格買取制度(通称:FIT制度)です。
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このFIT制度による電力買取費用は、先述したとおり電気利用者が”賦課金”として負担することになっています。これが再エネ賦課金の仕組みです。

画像出典:資源エネルギー庁|固定価格買取制度ガイドブック(926KB)
なお、再エネで発電された電気は日々の電気の一部として供給されているため、再エネ賦課金についても毎月の電気料金とあわせて請求されています。
再エネ賦課金の計算方法
再エネ賦課金の請求額は、次の計算式で求められます。
電気を使う量が多ければ、それだけ再エネ賦課金の請求額も増えるということです(公衆街路灯や農事用電力として契約する場合、定額制となるケースもあります)。
賦課金単価の決まり方

再エネ賦課金の請求額を左右する「賦課金単価」は、再エネ特措法で定められた算定方法に則り、経済産業大臣が毎年度、当該年度の開始前(3月頃)に設定することとされています。 算定式は次のとおりです。
2025年度の賦課金単価については、次のように算出されています。
参考:経済産業省|再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2025年度以降の買取価格等と2025年度の賦課金単価を設定します
賦課金単価の決定に多く影響するのが、「買取費用等」と「回避可能費用等」の2つです。
買取費用等とは、その名のとおり再エネ由来の電気を買い取るために要した費用を指します。 回避可能費用等は、電力会社が再エネを買い取ることで予定していた発電を取りやめ、支出を免れることになった費用のことです(回避可能費用は燃料価格の変動などによって変化します)。
参考:経済産業省|回避可能費用について(283KB)
再エネ賦課金の特徴

それでは再エネ賦課金の特徴について3つご紹介します。
まず1つめに、再エネ賦課金の最大の特徴は、電気を使うすべての人が負担しているということです。住宅も法人も漏れなく負担しています。
そして2つめが、再エネ賦課金の単価は全国一律ということです。電力会社が変わっても、再エネ単価は変わりません。
最後に3つめですが、再エネ賦課金の負担額は、電気の使用量に比例します。つまり再エネ賦課金の負担を減らしたい場合は、電気使用量を減らすしかありません(負担軽減方法については記事の最後で詳しく紹介します) 。
これら3つの特徴をしっかり押さえておきましょう。
再エネ賦課金のメリット・デメリット

続いて、再エネ賦課金の特徴を踏まえたうえで、メリット・デメリットについて解説します。
再エネ賦課金のメリット
負担にフォーカスされがちな再エネ賦課金ですが、その存在によって再生可能エネルギーの普及が促進されていることはメリットだといえるでしょう。
結果としてCO₂排出量が削減されるため、カーボンニュートラルを達成するためにも、再エネ賦課金は重要な役割を果たしているといえます。
再エネ賦課金のデメリット
マクロ的な視点で見れば環境保護のメリットが大きい再エネ賦課金ですが、家計単位・事業者単位のミクロな視点で見ると、やはり電気料金が高くなる点はデメリットといわざるをえません。
とくに昨今は世界的な物価上昇に伴い、電気料金も底上げされています。そのため、どうにか再エネ賦課金の負担を減らしたいと考えている方もいるでしょう。
再エネ賦課金の推移
さて、再エネ賦課金はここまでどのように推移してきたのでしょうか。2012年〜2025年までの推移を見てみましょう。
適用期間 | 従量制 賦課金単価(円/kWh) |
2012年8月分~2013年4月分 | 0.22 |
2013年5月分~2014年4月分 | 0.35 |
2014年5月分~2015年4月分 | 0.75 |
2015年5月分~2016年4月分 | 1.58 |
2016年5月分~2017年4月分 | 2.25 |
2017年5月分~2018年4月分 | 2.64 |
2018年5月分~2019年4月分 | 2.90 |
2019年5月分~2020年4月分 | 2.95 |
2020年5月分~2021年4月分 | 2.98 |
2021年5月分~2022年4月分 | 3.36 |
2022年5月分~2023年4月分 | 3.45 |
2023年5月分~2024年4月分 | 1.40 |
2024年5月分~2025年4月分 | 3.49 |
2025年5月分~2026年4月分 | 3.98 |
参考:東京電力|再生可能エネルギー発電促進賦課金単価
回避可能費用が増加した年度の賦課金は下落するものの、長期的に見ると年々増加していることが特徴です。
再エネ賦課金の今後について
年々上昇傾向にある再エネ賦課金ですが、今後はどうなっていくのでしょうか。
まず第一に、再エネの中でも太陽光発電がとくに普及が進んでおり、それに伴って再エネ買取総額が増加しています。
一般財団法人電力中央研究所が経済産業省の「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」において発表した2021年の資料では、2019年度の賦課金単価が2.95円/kWhであるところ、2030年度には賦課金単価が約3.5~4.1円/kWh程度になると予測されていました。
しかし現実の賦課金単価は、2025年度時点で3.98円/kWhにまで達してしまったのです。再エネ由来の電気が増えることは望ましいことですが、再エネ買取総額が予定を大きく超過していくと、再エネ賦課金の負担が増えてしまいます。その結果、政府が掲げた「再エネの最大限導入と国民負担抑制の両立」が困難になってしまうという意見が存在することも事実です。
参考:一般財団法人電力中央研究所|2030年における太陽光発電導入量・買取総額の推計と今後の制度設計のあり方(883KB)
ただし、住宅用太陽光発電のFIT期間は10年であり、2019年からは卒FITを迎える家庭が徐々に増えていくことから、2020年以降は緩やかに賦課金単価が減少するという予測も存在します。
さらに、非住宅用太陽光発電などのFIT期間は20年であるため、制度開始後20年を経過する2030年以降は、賦課金単価が急激に減少するとも考えられます。
参考:環境省|再生可能エネルギーの導入に伴う効果・影響分析(2.11MB)
固定価格買取制度(FIT)が完全に終了するまでは再エネ賦課金の徴収も続くと考えられますが、賦課金単価は緩やかに下降していく可能性が高いでしょう(ただし実際に下降していくとは限らないため、動向を注視する必要があります)。
再エネ賦課金の負担を減らす方法

そして再エネ賦課金は原則として従量制(使用電気量×賦課金単価)で請求されるため、負担を減らすためには、使用電気量(電力会社からの電気購入量)を減らさなければなりません。
住宅・法人を問わず、電力会社からの電気購入量を減らす方法としては次の3つが挙げられます。
- 節電を心がける
- 太陽光発電を導入する
- 蓄電池を導入する
節電を心がける
電気代を節約するためには、少なからず”節電”を心がけなければなりません。
たとえば住宅の場合、洗濯機・食洗器をこまめに回すよりは、まとめ洗いしたほうが節電になります。
法人の場合、オフィスを離れるときはディスプレイの電源を落としたり、社屋の照明をLEDに変えたりするといいでしょう。
しかし節電するあまり、体調や事業に不具合が生じては元も子もありません。あくまでも”無駄”な電気のみを削ることが重要です。
太陽光発電を導入する
太陽光発電システムを導入して電気を自家消費すれば、たとえ電力使用料を変えなくても、電力会社からの購入量を大きく減らすことも可能です。
どのくらい発電できるかは地域(日射量)やパネルの向きによっても異なるため、一度シミュレーションしてみてもいいでしょう。
ただし太陽光発電は夜間・荒天時は発電できません。そのため、少なからず電気を購入する必要があります。
太陽光発電の費用対効果は?計算方法や効果を高める方法を解説!【住宅】
蓄電池を導入する
太陽光発電と蓄電池を併用し、日中発電した電気を貯めておくことで、夜間や荒天時の電力購入量を削減できます。
たとえば住宅に太陽光発電・蓄電池を導入した場合の電力利用イメージは次のとおりです。

法人が産業用蓄電池を導入すれば、電力購入量を減らせる(再エネ賦課金の負担を軽減できる)だけではなく、ピークカット・ピークシフトによる電気代削減効果も期待できます。また、災害時の非常用電源にもなるため、BCP対策としてもおすすめです。
産業用蓄電池の特徴とは?太陽光発電と併用時のデメリットや補助金情報を紹介
再エネ賦課金の負担軽減にはPPAもおすすめ
再エネ賦課金は再エネ普及のために必要な制度ですが、住宅・法人などの目線から「負担を軽減したい」と思う気持ちも自然なものです。
再エネ賦課金の負担を減らすためには電力購入量を減らす必要があるため、ぜひ太陽光発電・蓄電池の活用をご検討ください。
しかし太陽光発電・蓄電池を導入するとなると、多額の初期投資が必要になってしまうと懸念している方もいるのではないでしょうか。そのような方は、PPAの活用をご検討ください。
PPAとは電力販売契約(Power Purchase Agreement)のことです。PPAではサービス事業者の負担で需要家(住宅・法人)の敷地内に太陽光発電システムを設置し、需要家は使用した電力量に応じてサービス利用料を支払います。つまり需要家としては、初期費用0円で太陽光発電を導入できるのです。
京セラは家庭向けPPAとしてエネルギーシステム定額サービス 「ハウスマイルe」 を提供しており、太陽光発電・蓄電池の双方を導入可能です。
企業向けPPAとして 「産業用電力サービス事業(PPA)」 は太陽光発電のみのプランが前提ですが、蓄電池を契約に組み込めることもあるため、ぜひ一度ご相談ください。
京セラのPPAサービス
●「HOUSmile(ロゴ)」は京セラ株式会社の登録商標です。
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