日本の発電割合の内訳はどうなっている?
再エネの活用状況とあわせて紹介!
日本国内の発電割合は、その大部分を化石燃料が占めています。しかしカーボンニュートラルを達成し、環境を守るためにも、非化石燃料(再生可能エネルギー)による発電割合を増やしていかなければなりません。
この記事では現状での日本の発電割合の内訳と、再エネの活用状況を紹介します。
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太陽光発電の普及率はどれくらい進んだ?太陽光発電の現在とは?
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【目次】
日本における発電割合
資源エネルギー庁が発表した 「令和4年度(2022年度)エネルギー需給実績(確報)」(2.89MB) によると、日本における発電割合は次のようになっています。
令和4年度(2022年度)の発電電力 電源構成
エネルギー源 | シェア率 |
石炭 | 30.8% |
石油等 | 8.2% |
天然ガス | 33.8% |
原子力 | 5.5% |
水力 | 7.6% |
太陽光 | 9.2% |
風力 | 0.9% |
地熱 | 0.3% |
バイオマス | 3.7% |
参考:資源エネルギー庁|令和4年度(2022年度)エネルギー需給実績(確報)(2.89MB)
化石燃料の割合が大きい
上記の表から分かるとおり、日本の発電割合は石油・石炭・天然ガス(LNG)などの「化石燃料」が大部分を占めていることが特徴です。電源構成でみると、化石燃料が占める割合は約72%にもなります。
なお、エネルギー源への依存度がわかる「一次エネルギー供給構成」で見ると、2022年度の化石燃料への依存度は”83.5%”です。
参考:資源エネルギー庁|エネルギー自給率の推移
第一次石油ショックが発生した1973年度の化石燃料依存度は94%でしたが、2010年度には依存度が81.2%にまで低下しました。化石燃料への依存度を下げた大きな要因は「原子力」です(2010年度の原子力が占める割合は11.2%)。
再エネの導入も進んでいる
2011年の東日本大震災発生以降、原子力発電所が停止した影響などを受け、2022年度の一次エネルギー供給構成に占める原子力の割合は2.6%に留まっています。
しかし化石燃料への依存度は2010年度が81.2%、2022年度が83.5%と、原子力発電の割合が下がったわりには変化がありません。これは「再生可能エネルギー(再エネ) 」の導入が進んでいるためだといえます。
再エネとは「自然界に常に存在する、枯渇しないエネルギー」のことです。一度利用したあとも持続的に利用できる「太陽光」「水力」「風力」「地熱」「バイオマス」などのエネルギーが該当します。
再生可能エネルギー(再エネ)とは?種類や特徴、メリット・デメリットを解説!
2010年度の一次エネルギー供給構成を見ると、水力が3.3%、再エネ等(水力除く地熱、風力、太陽光など、及び未活用エネルギー)は4.4%でした。一方、2022年度の構成を見ると、水力は3.6%とほぼ横ばいですが、再エネ等は10.3%と大きく伸びています。
参考:資源エネルギー庁|エネルギー自給率の推移
先述した 「令和4年度(2022年度)エネルギー需給実績(確報)」(2.89MB) の表を見ても、水力7.6%、太陽光9.2%、風力0.9%、地熱0.3%、バイオマス3.7%、合計21.7%と、再エネ電力比率は5分の1を占めるほどになっています。
日本の再エネ電力比率は2020年度で約19.8%、2021年度で約20.3%であるため、年々上昇していることがポイントです。
そして、とくに重要な役割を果たしているのが「太陽光発電」だといえます。2021年における主要国の発電状況を比較すると、発電電力に占める太陽光の割合は、日本が世界第3位です。
実は国土面積あたりの太陽光導入容量は、主要国の中でも日本が最大級であることは知っておくべきでしょう。
参考:資源エネルギー庁|再エネの導入|日本のエネルギー 2023年度版 日本のエネルギー 2022年度版
太陽光発電の普及率はどれくらい進んだ?太陽光発電の現在とは?
日本における主要な再エネ
日本の発電割合において、再エネが少なからず重要な役割を果たしていることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
ここからは主要な再エネである「太陽光」「水力」「風力」「地熱」「バイオマス」について、それぞれの特徴・課題などを紹介します。
太陽光
「N型半導体」と「P型半導体」を重ねて光を当てると、N型側(表面)に電子(-)、P型側(裏面)に正孔(+)が集まる性質があります。この性質を利用したものが「太陽光発電」です。
半導体を重ね合わせた「太陽光パネル」に日光が当たると、直接電力に変換できるのです。
太陽光発電は日光が当たりさえすれば発電できるため、他の再エネと比べると発電所を設置しやすいといえます。住宅の屋根に設置して一家族の電力需要をまかなうことも可能ですし、大規模に設置して工場・オフィスで利用する電力の大部分を供給することも不可能ではありません。
実際、太陽光発電を導入する住宅・企業は年々増加しています。
たとえば住宅が建てられた時期別に太陽光発電の使用率を見ると、2006〜2010年は21.2%、2011年〜2015年は30.5%、2016年以降は22.2%となっています。
参考:環境省|家庭のエネルギー事情を知る
また、太陽光発電の設備導入量を、FIT制度(固定価格買取制度)導入前後で比較したのが次の表です。
太陽光発電の設備導入量
FIT制度導入前 (2012年6月までの累積) |
FIT制度導入後 (2012年7月~2024年12月) |
|
住宅 | 約470万kW | 1,048.1万kW (2,132,481件) |
非住宅 | 約90万kW | 6,372.3万kW (732,130件) |
参考:資源エネルギー庁|再生可能エネルギーの導入状況(1.25MB)
FIT制度(固定価格買取制度)とは?売電時の仕組みやメリット・注意点を解説!
再エネ全体としてみても、2023年12月末時点におけるFIT/FIP認定容量約9,900万kWのうち、太陽光発電が占める割合は約75%にもなります。このように太陽光発電は、再エネの中でもっとも活用されていることが特徴です。
FIP制度とは?FIT制度との違いやメリット・デメリットを比較
一方、太陽光発電にもいくつか難点も存在します。他の再エネと比べれば利用しやすいものの、日照時間が少ないエリアでは期待するほど発電できないことも少なくありません。
また、太陽光パネルには「鉛」「カドミウム」といった有害物質も含まれている場合があるため、太陽光パネルの廃棄に対応した専門業者に依頼し、産業廃棄物として処理しなければなりません。今後寿命を迎えたパネルを適切に処理しきれるのか、最終処分場が逼迫してしまうのではないか、といった課題も存在します。
このような課題に対処するため、京セラは太陽光パネルの長期信頼性設計・予測技術「SoRelia®」を開発し、その独自技術の特許も取得※しました(※特許第6811974、6818307、6837649号)。太陽光パネルの”製品寿命”や、すでに稼働中のパネルの”残存寿命”も予測できるため、太陽光パネルのリユース・リサイクルに役立つことが期待されています。
太陽光パネルの寿命はどのくらい?耐久性能や劣化原因を解説!
水力
水力発電は、水の流れ・高低差に伴うエネルギーを利用して発電します。発電効率は約80%と、再エネの中でもっとも高いことが特徴です。
他のエネルギーと比べて安定供給性に優れるため古くから利用されており、現在でも電力の8%程度は水力発電に由来しています。
水力発電といえば「ダム」を利用する大規模水力発電が思い浮かぶかもしれませんが、昨今は「河川の流水」「農業用水」「上下水道」などを利用する中小水力発電の開発も進められています。中小水力発電の開発地点は上流・山間部にあるため建設コストが高くなりやすいことはデメリットですが、再エネ需要の増加に伴い、さらなる活用が期待されています。
参考:資源エネルギー庁|水力発電は安定供給性にすぐれた再生可能エネルギー
風力
風力発電はその名のとおり、「風の運動エネルギー」で風車を回して発電します。大きな風車を回すだけの風が必要となるため、発電所を設置できるエリアが限られることが難点です。
日本での導入数は欧米と比べると遅れているものの、2016年度末で2,203基の風車が導入されており、累積設備容量は335.7万kWにまで増加しています。これまでは陸上風力の設置がメインでしたが、やはり風力発電に適した地域が限られるため、今後は「洋上風力発電」を増やしていくことが検討されています。
日本は海洋国家であり、風力であれば夜間も発電できることから、大きなポテンシャルがある再エネだといえるでしょう。
参考:資源エネルギー庁|風力発電
地熱
地球内部に存在するマグマなどの熱エネルギーを利用するのが地熱発電です。発電方法そのものは火力発電・原子力発電と同じで、水を蒸気にしてタービンを回します。
日本は火山大国でもあるため、他国と比べると地熱が利用しやすいことがポイントです。東北や九州を中心に地熱発電所が設置されています(ただし、他の再エネと比べると、建設場所は限られます)。
参考:資源エネルギー庁|地熱発電
バイオマス
生物資源を総称して「バイオマス」と呼びます。生物資源を燃焼したりガス化したりすることで発電するのがバイオマス発電です。
バイオマス発電では燃焼工程があるため二酸化炭素(CO₂)などを排出します。しかし光合成によってCO₂を吸収しながら成長したバイオマス資源を燃料とした発電については、「京都議定書」における取扱上はCO₂を排出しないものとされているのです。技術が進歩し、現在ではさまざまな生物資源で発電できるようになっています。しかし資源そのものが広範囲に分散しているため、コストがかかりやすい小規模分散型の設備になりやすいことがデメリットです。
参考:資源エネルギー庁|バイオマス発電
再エネのメリットと課題
この章では、再エネのメリットと再エネが抱えている課題を説明します。
再エネのメリット
- エネルギー源が枯渇しない
- 環境にやさしい(気候変動対策)
- エネルギーを自給できる
- 非常用電源としても利用できる
また、再エネは二酸化炭素などの温室効果ガスを排出しなかったり、正味ゼロ(ネットゼロ)にしたりする方法で発電できるため、気候変動の主要な原因である温室効果ガスの排出削減に寄与でき、さらに大気汚染物質の排出も少ないため、環境にやさしいエネルギー源と言えます。
さらには、再エネは地域・国に根ざして生み出せるため、エネルギーを自給自足できます。 国単位で見ると外国からのエネルギー輸入に依存せずに済むため、エネルギー安全保障上のメリットも大きいといえるでしょう。
加えて、太陽光発電システムや小規模な風力発電などは非常用電源としても機能します。火力発電を使った大規模な電力供給システムが災害などで機能しない場合でも、再エネを導入していれば地域や個別の建物で電力を供給することが可能です。
とくに太陽光発電と蓄電池を組み合わせれば、発電した電気を蓄電池に充電させて繰り返し使用できるため、長期停電の場合などに持続的な非常用電源として役立てることができます。
再エネの課題
- 安定供給が難しい
- エネルギー変換効率が低い
- 発電にかかるコストが高い
また、再エネの多くは火力発電や原子力発電と比べるとエネルギー変換効率が低いことも課題です。
水力発電は発電効率が高いため、現在でも日本国内の発電量の約8%を占めています。しかし、日本国内でさらに水力発電ダムを増やしていくことは、地形的にもコスト的にも現実的ではありません。
一方、太陽光発電の発電効率(モジュール変換効率)は技術革新が進み、今後の進展が期待できます。日本における再エネ普及は、太陽光パネルの品質向上にかかっているともいえるでしょう。
発電方法と発電効率(目安)
発電方法 | 発電効率(目安) |
火力発電 | 約40~50% |
原子力発電 | 約30% |
水力発電 | 約80% |
太陽光発電 | 約20% |
地熱発電 | 約10% |
バイオマス発電 | 約15~30% |
風力発電 | 約20~40% |
参考:複数の情報を参考に京セラにて作成
経済産業省|⽕⼒発電の⾼効率化に向けた発電効率の基準等について(800KB)
内閣府原子力委員会|「原子力のすべて」第1章 原子力エネルギー(358KB)
J-STAGE|国内の木質バイオマス発電の動向と今後
能代市|自然エネルギーの発電効率を比較してみた
また、再エネの多くは、現状では火力発電など従来型の発電方法と比べるとコストが高いことも課題です。 発電コストが高ければそれだけ電気代(リテール価格)も上昇してしまいます。
発電コストを2020年数値と2030年数値で一覧にしていますので、各エネルギーの発電コストの現状と予測値をご確認ください。
電源 | 2020年 発電コスト | 2030年 発電コスト |
陸上風力 | 19.8 | 9.8~17.2 |
洋上風力 | 30.0 | 25.9 |
太陽光(事業用) | 12.9 | 8.2~11.8 |
太陽光(住宅) | 17.7 | 8.7~14.9 |
小水力 | 25.3 | 25.2 |
中水力 | 10.9 | 10.9 |
地熱 | 16.7 | 16.7 |
バイオマス(混焼、5%) | 13.2 | 14.1~22.6 |
バイオマス(専焼) | 29.8 | 29.8 |
LNG火力 | 10.7 | 10.7~14.3 |
原子力 | 11.5 | 11.7 |
石油火力 | 26.7 | 24.9~27.6 |
参考:資源エネルギー庁|電気をつくるには、どんなコストがかかる?
風力発電と太陽光発電は今後技術進歩が進み、より発電コストが軽減する見込みです。
とくに企業や家庭が再エネを導入するのであれば、発電システムの導入ハードル・発電コストともに低い太陽光発電は、バランスが良くおすすめといえるでしょう。
再エネの発電割合(再エネ比率)を増やすためにできること
エネルギー自給率を高めるためにも、2050年までのカーボンニュートラルを達成するためにも、再エネの発電割合をさらに増やしていくことが求められています。
そして太陽光発電については、他の再エネ手法と比べると企業・住宅への導入ハードルが低いため、太陽光発電が再エネ電力比率を向上させる鍵となります。また、太陽光発電の効果を最大限発揮するためには、蓄電池を併用することもおすすめです。
「太陽光発電」と「蓄電池」を導入することで、家庭・企業は少なからず「環境配慮以外のメリット」も得られます。それぞれの特徴について見ていきましょう。
太陽光発電を導入する
太陽光発電を導入し、それを自家消費することで、電力会社からの電気購入量を減らせます。太陽光発電を活用すれば、家庭も企業も電気代を削減できるのです。
太陽光発電を導入する初期費用の負担を懸念する方もいるかもしれませんが、補助金を活用できれば自己負担を減らせます。
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また、PPAサービスを活用すれば、初期費用0円・メンテナンス費用0円で太陽光発電を導入することも可能です。PPAとは「Power Purchase Agreement」の略で、電力販売契約のことを指します。太陽光発電設備そのものはサービス事業者の負担で設置し、電力需要家(家庭・企業)は電気使用量に応じたサービス料金のみを支払うモデルです。
京セラは家庭向けPPAとして 「ハウスマイルe」 、企業向けPPAとして 「産業用電力サービス事業」 を展開しています。初期費用を抑えて太陽光発電を導入したい方は、ぜひご利用ください。
蓄電池を導入する
太陽光発電と蓄電池を併用することで、再エネをさらに活用できます。日中の余剰電力をためておけば夜間にも太陽光由来の電力を使えるため、消費電力の100%を再エネで賄うことも可能です。
太陽光発電と蓄電池の両方を設置するメリット・デメリットとは?仕組みや特徴と合わせて解説
家庭であれば、ZEH(net Zero Energy House)を実現しやすく、補助金の対象にもなりやすいでしょう。
法人であれば、太陽光発電と蓄電池を組み合わせ「ピークカット」「ピークシフト」を実践することで、電気代削減効果が期待できます。補助金を活用できるケースもありますので、導入を検討する場合は最新の補助金情報を確認しましょう。
太陽光をより効率的に活用するためにも、ぜひ蓄電池の導入も検討してみてください。
家庭向けPPA 「ハウスマイルe」 は蓄電池もサービスに含まれています。企業向けPPA 「産業用電力サービス事業」 は太陽光発電のみのサービスですが、蓄電池を組み込めることもあるため、ぜひ京セラにお問い合わせください。
日本の発電割合における再エネ比率を高めるために太陽光発電を活用!
令和4年度(2022年度)の電源構成を見ると、石油・石炭・天然ガス(LNG)などの「化石燃料」が占める割合が合計約72%、水力・太陽光・風力・地熱・バイオマスなどの「再エネ」が占める割合が合計21.7%となっています。
エネルギー自給率の向上、カーボンニュートラルの達成のためにも、再エネの重要性はますます高まっています。そして再エネの中でも、「太陽光」は日本全国の家庭・企業が独自に導入できることもあり、今後ますます拡がっていくでしょう。
太陽光発電の導入方法には、自己負担で太陽光発電システムを設置する方法とPPAなど初期費用がかからないスキームを利用するがありますので、ぜひ自社の状況や家庭のライフスタイルに合わせた導入方法をご検討ください。
京セラでは、法人向けと住宅向けにそれぞれPPAのサービスを展開しています。 メーカーが直接提供していますので、製品の品質はもちろんのこと、契約期間中のメンテナンスなどを安心して任せることができます。お気軽にお問合せください。
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●「SoRelia」は京セラ株式会社の登録商標です。