電気代が高い理由とは?原因の調べ方や節約術を解説!【住宅】

昨今さまざまな場面で「電気代の高さ」が話題になることが増えています。世界情勢が不安定になったことでエネルギー資源の価格が高騰し、それに伴い電気代が高くなっているともいわれていますが、必ずしもそれだけが原因ではありません。
そこで、この記事では、電気代が高い理由についてさまざまな観点から検証していきます。電気代が高い原因を調べる方法や、家庭でもできる節約術についても紹介するので、ぜひ参考になさってください。
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【目次】
・家庭の平均的な電気料金はいくら?
・電気代が高くなる家電とその消費量の目安
・高い電気代の原因をチェックする方法
・電気代が高い理由をさらに深掘り!燃料費・為替・世界情勢の影響
・今すぐできる!電気代節約の9つのコツ
・電気代対策に!PPAモデルで始める太陽光発電と蓄電池
電気料金の仕組みと計算方法をわかりやすく解説
電気代が高い原因を探るためには、そもそも電気代がどのように計算されているのかを知らなければなりません。
家庭の電気代は、次のように3つの要素で決まります。
このうち電力量料金は、さらに次のように細分化されます。
電気代の仕組みについて、さらに詳しく見ていきましょう。
基本料金・電力量料金・再エネ賦課金とは
電気代を決める3要素「基本料金」「電力量料金」「再エネ賦課金」の特徴は、それぞれ次のとおりです。
基本料金 |
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電力量料金 |
|
再エネ賦課金 |
|
基本料金のみは定額ですが、電力量料金・再エネ賦課金は電気を使えば使うほど料金が増えることがポイントです。
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燃料費等調整額の変動が電気代に与える影響

さて、電力量料金は「電力量料金単価×使用電力量」で求められる額に、さらに「燃料費等調整額」を加えた額が請求されます。
これは火力発電の燃料価格の変動に合わせて電気代を調整するための仕組みで、燃料価格が上がれば電気代も上がり、燃料価格が下がれば電気代も下がるようになっています。燃料費調整額の変動が、電気代の増減に直結するということです。
なお、燃料費等調整額は「燃料費調整単価×使用電力量」で求めます。単価が上がっているタイミングで電気を多く使うと、思った以上に電気代が高くなってしまうこともあるため注意しなければなりません。
参考:資源エネルギー庁|燃料費調整制度について
家庭の平均的な電気料金はいくら?
さて、自宅の電気代が本当に高いのかどうか判断するために、平均額についても知っておきましょう。
1か月間の電気代平均を世帯人員別に比べたのが次の表です。
世帯人員 | 1か月間の電気代 |
1人 | 5,810円 |
2人 | 10,067円 |
3人 | 11,635円 |
4人 | 11,880円 |
5人 | 13,683円 |
6人以上 | 15,301円 |
平均 | 11,678円 |
参考:政府統計の総合窓口(e-Stat)|家計調査 / 家計収支編 単身世帯(表番号2)、二人以上の世帯(表番号3-1)
- ●単身世帯(表番号2):単身世帯のうち勤労者世帯、二人以上の世帯(表番号3-1):二人以上の世帯のうち勤労者世帯(うち世帯主が60歳未満)
世帯人数が増えれば使用電力量も増えるため、電気代も高くなる傾向があります。
なお、電気代は季節によっても変動することが特徴です。二人以上の世帯の電気代を、四半期ごとに比較してみましょう。一般的に、暖房器具などを使う冬期の電気代は高くなりやすいです。
1~3月期 | 4~6月期 | 7~9月期 | 10~12月期 |
13,265円 | 11,125円 | 11,984円 | 11,657円 |
参考:政府統計の総合窓口(e-Stat)|家計調査 / 家計収支編 二人以上の世帯(表番号6-1)
自宅の電気代がここまで紹介した平均額より高い場合、何か原因があるかもしれません。
電気代が高くなる家電とその消費量の目安

さて、家庭ではさまざまな電化製品を使っていますが、それらにどのくらいの電気代がかかっているのかご存知でしょうか。
電化製品ごとの電気代は、「消費電力(W)× 使用時間(h) ÷ 1,000 × 電力量料金単価(円/kWh)」で概算値を求められます。
この式をふまえて、電気代を押し上げる電化製品の代表例についていくつか見ていきましょう(電力量料金単価は電力会社・料金プランによって異なりますが、公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価である税込31円/kWhとして計算します)。
エアコン・ヒーターなどの冷暖房器具
家庭内でもっとも電力消費が多い電化製品は、「冷暖房器具」であるケースが多いです。
機種や設定温度によって異なりますが、冷暖房器具は600W〜2,500W程度の電力を消費します。たとえば1,000Wのエアコンを1日あたり8時間・30日間使うとしたら、1,000W×8h×30日÷ 1,000×31円= 7,440円/月もの電気代がかかります。
また、電気ヒーターやホットカーペットなどの暖房器具の消費電力も1,000Wを超えるケースが多く、電気代が高くなりやすいため注意しなければなりません。
冷蔵庫・洗濯機・炊飯器などの日常家電
冷蔵庫・洗濯機・炊飯器は生活必需品として毎日使われる家電ですが、年間を通して見ると相応の電気代がかかっています。
たとえば一般的な冷蔵庫の消費電力は年間で約200〜400kWh程度(1日あたり0.5〜1.0kWh)です。間をとって300kWhとすると、年間で9,300円(約775円/月)の電気代がかかります。
洗濯機の消費電力は、洗濯だけなら1回72Wh程度ですが、洗濯・乾燥まで行う場合は1回1,000Wh以上かかるケースが多いです。1,000Whのときの電気代は31円であるため、毎日使うとしたら年間で31円×365日=11,315円もの電気代がかかります。
炊飯器は”炊飯時”と”保温時”で消費電力が変わります。ジャー炊飯器の場合、炊飯時は120Wh、保温時は15Wh程度の製品が主流です。保温時間が長くなるほど電気代が高くなることは覚えておきましょう。
テレビ・照明・パソコンなどの電子機器
テレビ・照明・パソコンなど、普段何気なく使っている電子機器にかかる電気代も侮れません。
たとえば150Wのテレビを毎日3時間視聴した場合の1日あたりの消費電力は450Whです。1か月あたりの電気代は「450Wh×30日÷1,000×31円=418.5円」です。
また、照明は蛍光灯を使っているのかLEDを使っているのかにもよって異なりますが、一般的な蛍光灯(60W程度)を1日5時間つけている場合、 1日あたりの消費電力は300Whです。1か月の電気代は1個あたり「300Wh× 30日 ÷ 1,000 × 31円=279円」と計算できます。蛍光灯を5か所で同様に使っているとしたら、合計で1,395円です。
パソコンの消費電力はスペックによって異なりますが、40Wのパソコンを8時間使うと仮定して計算してみましょう。この場合、 1日あたりの消費電力は320Whです。在宅ワークの方が1か月に20日使うとしたら、電気代は「320Wh× 20日 ÷ 1,000 × 31円=198.4円」です。デュアルディスプレイなどを使っている場合、さらに電気代が高くなる可能性もあります。
オール電化住宅で注意するポイント

オール電化住宅の場合、IHクッキングヒーターやエコキュートなどが電気代を押し上げていることもあります。
IHクッキングヒーターの電気代は火力や調理時間にもよりますが、1,000Wを超える強火で調理し続けると、電気代は1時間あたり31円かかります(1か月に換算すると930円です)。
また、エコキュートの1日あたりの消費電力は約4kWh(4,000Wh)といわれており、1か月あたりの電気代は「4kWh×31円×30日=3,720円」程度になります。
オール電化住宅はガス併用住宅と比べて電気の使用量が多くなるため、より電気の使い方に気を付けなければなりません。
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高い電気代の原因をチェックする方法

もし電気代が高いと感じたら、次の順番で原因を探る方法がございます。
- 契約している料金プランが適切か
- 使用電力量が増えていないか
- 待機電力を見落としていないか
- 古い電化製品による無駄な電力消費がないか
それぞれ詳しく解説します。
契約している料金プランが適切か
電力自由化に伴い、現在ではさまざまな料金プランが存在しています。まずは契約している電気の料金プランがいまのライフスタイルにマッチしているかどうかをご確認ください。
たとえば「夜間の電力量料金単価が安い」プランを契約していたが、ライフスタイルが変わって昼間洗濯乾燥するようになった場合、電気を使う量は増えていないのに電気代が高くなることがあります。
使用電力量が増えていないか
電気を使う量が増えれば、それだけ電気代も高くなります。そのため季節やライフスタイルの変化によって電気代が増加することも珍しくはありません。
たとえば冬になって暖房器具を使う場面が増えたり、子どもが一人部屋を持つようになったり、一緒に住む家族が増えたりした場合、単純に電気の使用量が増え、電気代が高くなっていることもあるのです。
待機電力を見落としていないか

リモコン操作やタイマー機能、常時接続が必要な電化製品は、待機状態でも電力を消費します。これが待機電力です。
現代社会ではさまざまなデバイスが常に電力を消費し続けているため、それらを合計すると無視できないほどの電力が消費されていることもあります。とくにIoT家電を多く取り入れている場合、待機電力が電気代増加の原因となっている可能性もあるでしょう。
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古い電化製品による無駄な電力消費がないか
家電が古くなり、消費電力が増えてしまっている可能性もあります。経年劣化によって稼働効率が低下することはもちろん、古い電化製品は省エネ性能に配慮されていないこともあるためです。
購入から10年以上経過している電化製品があれば、最新の省エネ家電に買い換えてもいいかもしれません。
電気代が高い理由をさらに深掘り!燃料費・為替・世界情勢の影響

電気代が高い理由をさらに深掘りすると、やはり燃料費・円安・世界情勢の影響が大きいといえます。
たとえば燃料費調整額は原油や天然ガスなどの国際価格が高騰すると上がり、円安が進めば輸入コストが増えるため、個人宅の電気代にも「燃料費調整額の増額」として影響します。また、再エネ賦課金の増額・電力会社の料金改定・政府からの補助金有無なども電気代が高くなる要因の一部です。
電気代は市場動向によって変化するため、自分でできる範囲のことから節約に取り組んでみてはいかがでしょうか。
今すぐできる!電気代節約の9つのコツ

- 契約アンペア数を見直す
- 料金プランを見直す
- 電力会社を見直す
- 最新の省エネ家電に買い換える
- 電化製品の設定・使い方を見直す
- 断熱性能・気密性能を高める
- 家族全員で節電に取り組む
- 太陽光発電を活用する
- 蓄電池を活用する
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
契約アンペア数を見直す
契約アンペア数を見直せば、毎月の基本料を安くできます。たとえば子どもが独立して世帯人数が減った場合、同時に必要な電力量も減っているため、契約アンペア数を下げてみてもいいでしょう。
料金プランを見直す
料金プランを見直すことで、電気を使う量を変えずに電気代を節約することも可能です。
たとえば「夜間割引型プラン」に加入して、洗濯乾燥機・食洗機は夜間に稼働させるようにすれば、これまで通り電化製品を使っても電気代を安くできます。
電力会社を見直す
現在契約している電力会社に好みの料金プランがない場合、電力会社を見直してもいいでしょう。
また、ECサイトで使えるポイントが貯まる電力会社などに切り替えれば、家計全体で見たときの負担を抑えることも可能です。
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最新の省エネ家電に買い換える
古い家電は消費電力が大きく、最新の省エネ家電に比べて電気代が高くなりがちです。
そのため、とくに消費電力の多いエアコン・洗濯乾燥機・食洗機・冷蔵庫などを10年以上使っている場合は、省エネ性能の高い最新製品へ買い換えをご検討ください。
電化製品の設定・使い方を見直す
電化製品の設定・使い方を見直すことも、電気代節約には有効です。
たとえば「夜間割引型プラン」に加入しているオール電化住宅の場合、エコキュートでお湯を沸かす時間を夜間に設定したほうが電気代を節約できます。
また、エアコンの設定温度を夏28℃・冬20℃に設定すると、電気代を抑えつつ快適な温度を保つことが可能です。
断熱性能・気密性能を高める
お家の断熱性能・気密性能を高めると冷暖房効率が上がり、結果として少ない電力量で室温を維持できます。
窓に断熱シートを貼ったり、冷暖房を使っている部屋のドアは開け放さないようにしたりして、室温をコントロールしやすい環境を整えてみてください。
家族全員で節電に取り組む
効率的に電気代を節約するためには、家族全員で協力することも重要です。
部屋を離れるときは照明を消すといった基本的なことはもちろん、テレビやゲーム機をつけっぱなしにしないようにする、使用後はコンセントを抜く、なるべく家族が一部屋で過ごすなど、ストレスのかからない範囲で節電に取り組んでみてください。
太陽光発電を活用する

太陽光発電を活用し、家庭で使う電気を自家発電するようにすれば、使う電力量を減らさずに電気代を削減できます。
システムの容量にもよりますが、太陽光発電を導入すれば、自家発電で日中の消費電力をまかなうことが期待できます。
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蓄電池を活用する
蓄電池も電気代の節約に活用できます。たとえば「夜間割引型プラン」に加入し、夜間に電気を貯めておけば、低単価な電力を日中使うことも可能です。
また、太陽光発電と一緒に設置することで、日中に余った太陽光発電由来の電気を貯めておけば、夜間や荒天時にも電力会社から電気を購入する必要がありません。
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電気代対策に!PPAモデルで始める太陽光発電と蓄電池
電気代が高いと感じたら、適切に対処するためにも、まずは原因を探しましょう。そして必要に応じて、ストレスにならない範囲で節電に取り組んでみてください。
しかし使用する電力量を減らすとなると、ストレスに感じる方もいるかもしれません。そのような場合は太陽光発電・蓄電池を導入し、自宅で使う電気の大部分を自家発電できるようにするといいでしょう。初期費用0円で太陽光発電を導入できるPPAサービス(Power Purchase Agreement|電力購入契約)を利用すれば、使用した電力分、もしくは定額のサービス利用料を毎月負担するだけで、既存住宅にも太陽光発電を導入できます。
京セラの家庭向けのエネルギーシステム定額サービス 「ハウスマイルe」 では、太陽光発電だけではなく蓄電池を同時に設置することも可能です。初期費用だけではなく、契約期間中のメンテナンス費用も京セラが負担するため、家計管理しやすいこともメリットといえるでしょう。 電気代が高いと感じている方は、ぜひPPAを活用して太陽光発電・蓄電池の導入をご検討ください。

●「エコキュート」の名称は、電力会社・販売メーカーが推奨する自然冷媒ヒートポンプ給湯機の愛称です。
●「エコキュート」は、関西電力株式会社の登録商標です。
●「HOUSmile(ロゴ)」は京セラ株式会社の登録商標です。
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