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再エネ賦課金の読み方は?
目的や仕組み、計算方法とあわせて紹介!【住宅・法人】

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電力料金の明細を見ると、「再エネ賦課金」という費用が毎月請求されています。

この「再エネ賦課金」は何と読むのか、そもそもどういった費用なのか、分からず困っている方も多いのではないでしょうか。

そこで、この記事では再エネ賦課金の読み方はもちろん、制度の目的や仕組み、計算方法を紹介します。

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【目次】

 

再エネ賦課金の正式名称と正しい読み方

 
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再エネ賦課金の正式名称は、再生可能エネルギー発電促進賦課金(さいせいかのうエネルギーはつでんそくしんふかきん)といいます。

つまり再エネ賦課金の読み方は さいエネ賦課金ふかきん です。

 

再エネ賦課金とは

再エネ賦課金とは、電力会社が再エネ由来の電気を買い取るためのコストに充当するために、電力利用者に請求される費用のことです。

住宅・法人などの種別や、どの電力事業者を利用しているかに関わらず、すべての電力利用者に請求されています。
電気料金の内訳は電気料金の内訳は以下の通りです。

電気料金の内訳
基本料金 + 電力量料金(電力量料金単価×使用電力量+燃料費等調整額)+ 再エネ賦課金

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再生可能エネルギー発電促進賦課金の由来

「再生可能エネルギー発電促進賦課金」という名前が長すぎて分かりづらいという方のために、名称の由来についても見ていきましょう。

そもそも賦課金とは、特定の目的のために、関係者から徴収するお金のことです。これをふまえると、「再生可能エネルギー発電促進賦課金」とは次のような意味だと分かります。

再生可能エネルギー発電 再エネを使った発電が
促進 これまで以上に普及することを促すために
賦課金 電気利用者から徴収する金銭

 

再エネ賦課金の目的と背景

再エネ賦課金の目的は、再エネを使った発電を、これまで以上に普及させることです。

しかし、なぜ再エネを普及させるために賦課金が徴収されるのか、理由が分からないという方もいるでしょう。
この理由を知るためには、「再エネ」の特徴と、再エネ発電事業者を補助するための「FIT制度(固定価格買取制度)」について理解する必要があります。

 

再エネとは

 
saienefukakinyomikata04.png そもそも再エネとは、一度利用したあとも、持続的に利用できるエネルギーのことです。日本の政令では、次の7種類が再エネとされています。
  • 太陽光
  • 風力
  • 水力
  • 地熱
  • 太陽熱
  • 大気中の熱その他の自然界に存する熱
  • バイオマス

これらはエネルギーとして使う以上の速度で再生し、枯渇することはありません。たとえば太陽光は、1年後も100年後も変わらず降り注いでいるはずです。風力も、風車を回したからといって消えることはなく、また風が吹いてきます。

このように、永続的に利用できることが再エネの特徴です。

参考:資源エネルギー庁|再生可能エネルギーの特徴

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一方、化石燃料(石油や石炭、天然ガスなど)の場合、燃焼してエネルギーを取り出すと、再利用することはできません。また、化石燃料の埋蔵量は限られるため、いずれ枯渇してしまう可能性もあります。さらに燃焼時には、二酸化炭素や窒素酸化物など温室効果ガスが排出されることも問題です。

とくに日本は化石燃料資源に乏しいため、エネルギー安全保障の観点からも、再エネの利用促進が進められています。

 

FIT制度(固定価格買取制度)とは

再エネは枯渇することはなく永続的に使えますが、安定的に発電できないことがデメリットです。

たとえば太陽光は1年後も100年後も使えますが、向こう1週間は天気が悪くなり発電できないかもしれません。水力も永続的に発電できますが、翌年に雨が少なくなると、今年より発電量が落ちてしまう可能性もあります。

このように再エネは発電量が不安定なため、再エネは事業収益の予想を立てることが難しいのです。しかし、収益予想が立てづらいとなると、再エネ発電市場へ参入する事業者が増えず、再エネ普及の足かせとなってしまいます。

このような課題を解決するために、2012年にFIT制度(固定価格買取制度)が創設されました。その名のとおり、電力会社が「一定価格」で「一定期間」にわたって電力を買い取ることを「国」が約束し、事業収益の予見可能性を高めることで、再エネ市場への参入リスクを低減させているのです。

参考:資源エネルギー庁|固定価格買取制度の在り方

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国のエネルギー政策と再エネ賦課金の導入意図

 
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日本のエネルギー政策の基本的視点は(S + 3E)とされています。これは安全性(Safety)を大前提に、エネルギー安定供給(Energy Security)を、経済効率性の向上(Economic Efficiency)、環境への適合(Environment)を図るものです。

安全性・環境への適合の観点で考えると、再エネが最適といえます。

また、エネルギー安定供給は化石燃料のほうが優れているともいえますが、世界情勢の不安定さを鑑みると、国内で自給できる再エネを重視するべきでしょう(経済効率性の向上については再エネに改善の余地があり、今後の課題とされています)。

参考:資源エネルギー庁|エネルギー基本計画

このような総合的な判断から、政府としては再エネの普及を進めていく方向性を示しています。しかし、再エネ普及のために、FIT制度に基づき電力を買い取るのは、国ではなく電力会社です。

高コストの再エネ電力を買い取るとなると、電力会社の負担だけが増えてしまいます。そのため「再エネ賦課金」として、FIT制度による電力買取費用を、電気利用者が広く負担しているのです。

 

再エネ賦課金の仕組み・計算方法

再エネ賦課金の仕組みについて、図で見てみましょう。

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画像出典:資源エネルギー庁|固定価格買取制度ガイドブック(926KB)

再エネで発電された電気は、送電線を通じて日々供給されているため、再エネ賦課金も毎月の電力料金の一部として請求されています。

 

賦課金単価の決まり方

「賦課金単価」は、次の算定式に基づき、当該年度の開始前(3月頃)に設定されます。

賦課金単価の算定式
(買取費用等 ー 回避可能費用等 + 広域的運営推進機関事務費)÷ 販売電力量

2025年度の賦課金単価は次のとおりです。

賦課金単価3.98円/kWh
=(買取費用等 4兆8,540億円ー回避可能費用等 1兆7,906億円+広域的運営推進機関事務費 10億円)÷販売電力量7,708億kWh

賦課金単価には、とくに「買取費用等」と「回避可能費用等」が強く影響します。

たとえば新たに運転開始する再エネ発電設備が増えると、買取費用が増加し、賦課金単価も高くなりやすいです。 一方、再エネを買い取ることで火力発電量が減り、結果として化石燃料の購入額も減少すれば、賦課金単価の上昇は抑えられます。

参考:経済産業省|再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2025年度以降の買取価格等と2025年度の賦課金単価を設定します
経済産業省|回避可能費用について(283KB)

 

燃料費調整額(燃料調整費)との違い

 
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さて、電力料金の明細を見ると、再エネ賦課金とは別に、燃料費調整額(燃料調整費)という項目もあります。

これはその名のとおり、火力発電の燃料価格の変動に合わせて、毎月の電力料金にプラス・マイナスされるものです。再エネ賦課金と異なり、燃料費調整額によって電力料金が安くなることもあります。

 

再エネ賦課金の推移

それでは、再エネ賦課金単価のこれまでの推移についても見てみましょう。

適用期間 従量制 賦課金単価(円/kWh)
※消費税等相当額を含む
2012年8月分~2013年4月分 0.22
2013年5月分~2014年4月分 0.35
2014年5月分~2015年4月分 0.75
2015年5月分~2016年4月分 1.58
2016年5月分~2017年4月分 2.25
2017年5月分~2018年4月分 2.64
2018年5月分~2019年4月分 2.90
2019年5月分~2020年4月分 2.95
2020年5月分~2021年4月分 2.98
2021年5月分~2022年4月分 3.36
2022年5月分~2023年4月分 3.45
2023年5月分~2024年4月分 1.40
2024年5月分~2025年4月分 3.49
2025年5月分~2026年4月分 3.98

参考:東京電力|再生可能エネルギー発電促進賦課金単価
東京電力|2025年5月分以降の再生可能エネルギー発電促進賦課金単価について(98.4KB)

FIT制度・再エネ賦課金制度が始まった当初の賦課金単価は1円未満でしたが、いまでは4円近い水準になっています。

 

電気代高騰と激変緩和措置の影響

 
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政府は物価対策として、燃料油価格激変緩和対策事業(いわゆる激変緩和措置)に取り組んでおり、2025年については電力使用量が増加する7月~9月の3か月、電気料金に対して1kWhあたり1円〜2.4円の補助を実施しました。

しかし、物価高のなか、激変緩和措置だけでは電気代高騰による負担を抑えきれず、再エネ賦課金が家計を圧迫しているという意見があることも事実です。

参考:資源エネルギー庁|エネルギー価格の支援について

 

再エネ賦課金の今後の見通し

 
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2021年に開かれた経済産業省の「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」においては、賦課金単価は2030年度に約3.5〜4.1円/kWh程度になるという予測が示されました。現実には2025年度時点で3.98円/kWhにまで達しており、さらに高くなっていくのではないかと不安に感じる方もいるでしょう。

参考:一般財団法人電力中央研究所|2030年における太陽光発電導入量・買取総額の推計と今後の制度設計のあり方(883KB)

しかし、FIT期間は住宅用太陽光発電が10年、非住宅用太陽光発電が20年です。住宅用については、既に卒FITを迎える発電事業者が増えています。FIT制度開始から20年となる2032年以降は非住宅用も卒FITを迎えるため、賦課金単価は低減する可能性が高いでしょう。

 

再エネ賦課金の負担を抑えるポイント

2032年以降は低減していくと考えられる再エネ賦課金ですが、今後のエネルギー政策によっては、期待されるほど単価が下がらない可能性もあります。また、今すぐに再エネ賦課金の負担を抑えたいという方もいるでしょう。

ここからは再エネ賦課金を含め、電力料金の負担を抑えるポイントを紹介するので、ご参考になさってください。

 

節電によって電気の需要を減らす

 
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再エネ賦課金の請求額は「使用電気量×賦課金単価」で決まるため、節電によって電気の使用量を少なくすれば、負担額も減らせます。

照明をこまめに消したり、使わない電化製品のコンセントを抜いたり、まずは身近な節電をお試しください。

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太陽光発電を導入して電力会社からの購入量を減らす

太陽光発電を導入して自家消費することで、電力会社から購入する電力量を減らせば、再エネ賦課金の負担も少なくなります。根本的に電力料金負担を減らしたい方は、ぜひ自家消費型の太陽光発電を導入をご検討ください。

なお、太陽光発電を導入することは、再エネ賦課金の目的である「再エネ普及」にもつながります。

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電気料金プランの見直し

賦課金単価は経済産業大臣が全国一律で定めているため、電力会社や電気料金プランによって異なることはありません。

しかし、再エネ賦課金以外の要素、たとえば基本料金の水準や、電力量料金単価などは、契約先によって異なります。 再エネ賦課金ではなく、電力料金全体を最適化するために、ぜひ電気料金プランの見直しもご検討ください。

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再エネ賦課金に関するよくある質問

 
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最後に、再エネ賦課金に関するよくある質問についても紹介します。

 

再エネ賦課金は、どの法令を根拠に徴収されますか。

電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(再エネ特措法)に基づいて徴収されています。

 

再エネ賦課金の単価はどのように決まるのですか。

再エネ賦課金単価は、年間でどのくらい再エネが導入されるかを推測したうえで、経済産業大臣が毎年度決定しています。次の年度の再エネ賦課金単価は、毎年3月頃に発表されています。

 

再エネ賦課金は消費税込みですか。

再エネ賦課金は電気料金の一部として徴収されるため、消費税の課税対象です。たとえば2025年5月分〜2026年4月分の再エネ賦課金単価は3.98円ですが、このうち10%は消費税分とされています。

 

再エネ賦課金に減免制度はありますか。

法人に限りますが、電力を多く消費する事業者は、条件を満たせば再エネ賦課金の減免認定を受けることができます。 条件・申請方法については、経済産業省の減免認定手続ページをご確認ください。

参考:資源エネルギー庁|減免認定手続

 

2017年には、再エネ特措法が改正されたと聞きました。改正再エネ特措法の趣旨は何ですか。

FIT制度により再エネの導入量は増大しましたが、再エネ賦課金による国民負担が増加するなど、一定の課題も存在しました。このような課題に対応すべく、改正再エネ特措法では、将来の再エネ自立化に向けた仕組み(再エネ賦課金に頼らない仕組み)の構築を目指しています。

参考:資源エネルギー庁|再エネ特措法改正関連情報 > 令和5年度改正

 

PPAを上手に活用して再エネ賦課金の負担を軽減

 
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再エネ賦課金は、日本のエネルギー政策(再エネ普及)の推進に欠かせない制度です。

しかし、負担が大きいと感じる方もいるでしょう。そのような場合は、ぜひ再エネの普及に貢献しつつ、賦課金の負担も減らせる自家消費型の太陽光発電を導入を前向きにご検討ください。

導入時の初期費用負担を懸念する方もいるかもしれませんが、PPA(電力購入契約|Power Purchase Agreement)という仕組みを活用すれば、初期費用0円で太陽光発電を導入できます。

京セラも、家庭向けにはエネルギーシステム定額サービス 「ハウスマイルe」 、企業向けには 「産業用電力サービス事業」 というPPAサービスを展開しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら

  • 「HOUSmile(ロゴ)」は京セラ株式会社の登録商標です。

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