企業が再エネを調達する方法とは?
初期費用不要な手法と合わせて紹介!

SDGsや環境経営の観点から、再生可能エネルギーを調達する企業も増えてきました。社会的責任を果たすために、これから再エネを活用しようと考えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、企業が再エネを調達する方法について解説します。初期費用不要な方法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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【目次】
・再エネ調達に企業が取り組むべき背景
・企業が再エネを調達するメリット
・企業の再エネ調達・活用方法
・再エネ価値の市場動向
・企業におすすめな再エネ調達方法は初期費用がかからない太陽光発電システムの導入
・京セラの「再エネ電力供給ビジネス」なら初期投資なしで太陽光発電システムを導入可能
再生可能エネルギー(再エネ)とは

まずは再生可能エネルギー(再エネ)の定義について明確にしておきましょう。漠然とイメージしている方が多いかもしれませんが、日本では政令で次の7つが再生可能エネルギー源として定められています。
● 太陽光
● 風力
● 水力
● 地熱
● 太陽熱
● 大気中の熱、その他の自然界に存する熱
● バイオマス
太陽光発電、水力発電、風力発電など温室効果ガスを排出しない(化石燃料を使用しない)エネルギーが再エネともいえるでしょう。
地球温暖化が年々進行していますが、地球環境を守るためにはカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量・吸収量を均衡させること)を達成する必要があります。また、日本は化石燃料を自国だけで調達することが難しいため、エネルギー安全保障の観点から国内生産可能なエネルギーへ転換しなければなりません。
上記のような観点から、多くの企業で再エネ調達の機運が高まっているのです。
なお、再エネにはさまざまな種類がありますが、その中でも太陽光発電であれば大規模に電力調達することも可能ですし、初期費用をかけずに導入することもできます。そのため、企業として導入しやすいのは太陽光発電だといえるでしょう。
再エネ調達に企業が取り組むべき背景

企業が再エネ調達に取り組むべき背景について、もう少し詳細に解説します。地球温暖化や異常気象を止めるために、2050年までのカーボンニュートラル達成を目標に掲げる国・企業が世界中で増えています。これは日本も例外ではなく、政府は「2050年カーボンニュートラル」と「2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比46%削減」を目標としているのです。
このような世界的なムーブメントを背景として、各企業でも環境に配慮した経営・脱炭素経営の一環として、再エネ調達が進んでいます。
企業が再エネを活用するインセンティブとしては、RE100(事業運営に必要な使用電力を100%再エネで調達することを目指す国際ビジネスイニシアティブ)への参加や、それに伴ってESG投資の対象となることが代表例です。
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企業が再エネを調達するメリット

さて、先述したインセンティブも合わせて、企業が再エネを調達するメリットとしては、次の4つが挙げられます。
● 環境経営を実践できる
● ESG投資の対象になりうる
● 電力価格変動リスクを軽減できる
● 非常用発電システムとしても機能する
環境に配慮していることをアピールして企業イメージを高めるだけではなく、コスト削減やリスク回避にもなることが再エネ調達のポイントです。いずれか1つでも魅力に感じる場合は、ぜひ再エネを活用してみてください。
環境経営を実践できる
企業として再エネを導入することは、環境経営を実践することに繋がります。環境経営とはその名のとおり、「地球環境に配慮した経営」のことです。
環境経営を実践する企業では、再エネを活用したり事業に伴う資源・エネルギーの消費を抑えたりすることで、企業活動と環境保全を両立することを目指します。
近年ではCSR(企業の社会的責任)の観点からも環境経営が注目されており、企業イメージの向上だけではなく、 投資家の評価向上も期待できることがポイントです。
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ESG投資の対象になりうる

投資家の評価向上と関連して、再エネを調達している企業は先述したESG投資の対象になりうることも覚えておきましょう。
ESGとは「環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)」の頭文字からなる言葉です。企業が持続的に成長するためにはESGの3つの観点が必要だとされており、再エネ調達は「環境(Environment)」の要素です。
近年ではESGを重視したファンドが「ESG投資」を行っており、再エネを導入することで投資対象となりえます。
電力価格変動リスクを軽減できる
再エネの中でも太陽光発電を利用するオンサイトPPAやオフサイトPPAを導入することで、電力価格変動リスクを軽減できることもメリットです。
PPA(Power Purchase Agreement)とは、サービス事業者(PPA事業者)が太陽光発電所を設置し、各企業(電力需要家)と直接売電契約を締結するスキームです。太陽光発電システムを需要地(工場や倉庫の敷地内)に設置するモデルをオンサイトPPA、遠隔地に設置するモデルをオフサイトPPAと呼びます。
PPAスキームでは使用電力量に応じて、需要家からPPA事業者にサービス利用料が支払われます。このサービス利用料は一般的な電気料金とは異なり、原油価格の値動きに影響されないことがポイントです。
最近は世界情勢の不安定さを要因とした原油価格高騰から、電気代も値上がりしています。工場や倉庫など大量の電気を必要とする設備がある企業にとっては、電気代が上昇すればそれだけ固定費が上がることになるでしょう。太陽光発電を利用するPPAスキームであれば電力価格変動リスクを軽減するだけではなく、電気コスト削減効果も見込めるのです。
非常用発電システムとしても機能する

工場や倉庫など電力需要地内に発電設備を構えるオンサイトPPAは、非常用発電システムとしても機能します。オンサイトPPAは送電網を使わないモデルのため、災害による停電の影響を受けづらいことが特徴です。蓄電システムと併用すれば、より安定的な電力供給が期待できます。
企業の再エネ調達・活用方法

さて、企業が再エネを調達する方法としては、次の5つの方法が挙げられます。
● 再エネ電力の購入
● 自社敷地内での太陽光発電の導入
● 自社敷地外での太陽光発電の導入
● 再エネ電力証書の購入
● 部分供給制度※1の活用
それぞれの特徴を紹介するので、自社のニーズにあった方法を選んでみてください。
※1:部分供給制度とは、需要家が複数の電気事業者から電気の供給を受けるスキームです。
再エネ電力の購入
最も簡易的に再エネ電力を調達する方法としては、再エネ電力を購入することが挙げられます。現在契約している電力契約を各小売電気事業者が提供している「再エネ電力メニュー」に切り替えるだけなので、新たな設備を導入することなく再エネを調達できます。
自社で設備を用意できない小口需要家でも再エネを調達できるため、小規模事業者は検討してみてください。
自社敷地内での太陽光発電の導入
自社敷地内に太陽光発電システムを導入する方法の中にも、下記3パターンがあります。
比較項目 | 購入 | リース | オンサイトPPA |
設備所有者 | 自社(需要家) | リース会社 | PPA事業者 |
初期費用 | 必要 | 不要 | 不要 |
月額費用 | 0円 | リース料金 (一定) |
サービス料 (電気使用量に応じて変動) |
メンテナンス費用 | 定期的に必要 | 0円 | 0円 |
売電収入 | あり | あり | なし |
備考 | 初期投資の負担大 | PPAより割高 | 余剰売電収入は 事業者に充当 |
リースとオンサイトPPAは初期費用やメンテナンス費用が不要など似たモデルですが、月額費用に差異があります。
リース料金は毎月一定ですが、PPAのサービス料金は従量課金です。
自社敷地外での太陽光発電の導入
自社敷地外に太陽光発電システムを導入する方法は、次の2種類が代表的です。
比較項目 | 自己託送 | オンサイトPPA |
所有者 | 自社(需要家) | PPA事業者 |
初期費用 | 必要 | 不要 |
月額費用 | 0円 | サービス料 (電気使用量に応じて変動) |
メンテナンス費用 | 必要 | 0円 |
電気代の削減効果 | 大きい | 電気代高騰時は期待できる |
自社敷地外に太陽光発電設備を設置する場合、需要地の敷地制約がないため、規模を拡大しやすいことが特徴です。ただし、非常用電源としての使用は難しくなります。
再エネ電力証書の購入

電力とは別に、再エネ由来の環境価値だけを証書として購入する方法もあります。再エネ電力の価値(CO2排出削減効果)を電力とは別に保有するイメージです。
再エネ電力証書としては、次の3種類が挙げられます。
比較項目 | J-クレジット | グリーン電力証書 | 非化石証書 (FIT 非化石証書) |
発行者 | 国 | グリーン電力証書発行事業者 | 低炭素投資促進機構 |
購入方法 | 仲介業者を通じて相対取引 | 発行事業者から購入 | JEPXを通じてオークション |
購入可能者 | 電力需要家 | 電力需要家 | 小売電気事業者 |
自社で直接的に再エネを導入するのではなく、他の企業が削減した温室効果ガス削減量(環境価値)を、金銭で取り引きするモデルです。
設備投資を伴わずにCSRを向上できることはメリットですが、制度は単純ではなく、一般的に環境保護としてのイメージが広がっていないことは留意しておきましょう。
部分供給制度の活用

再エネを調達する方法として、部分供給制度の活用があげられます。
全量供給の場合、需要家は小売電気事業者の中から一社を選んで契約し、すべての電力を契約した小売電気事業者から供給を受けます。
それに対して、部分供給とは需要家が複数の小売電気事業者から電気の供給を受けることができる形態のことをいいます。部分供給制度を活用する際に、再エネを販売している小売電気事業者から電気の供給を受けることで再エネの調達をすることが可能です。
京セラでは、国内で初めて※2太陽光発電で部分供給制度を活用したサービスの提供をしております。部分供給制度を活用した再エネ調達をご検討の場合はお気軽にお問い合わせください。
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※2:2023年9月 京セラ調べ。
【参考】経済産業省|部分供給に関する指針 (284KB)
再エネ価値の市場動向

ここで、再エネ価値の市場動向についても解説します。
2021年11月に初回オークションが行われて以来、再エネ価値取引市場の取引は着実に増加しており、証書の最低価格が0.3円/kWhから0.4円/kWhに引き上げられたにもかかわらず、2023年度第1回オークションの約定量は過去最高の85億kWhを記録しました。
平均約定価格については、需給に合わせて大きく変動しています。高度化法義務達成市場(非FIT再エネ指定なし)の2022年度第3回および第4回オークションでは約定価格1.3円/kWhだったのに対し、2023年度第1回オークションでは約定価格0.6円/kWhとなるなど、見通しが立てづらくなっていることが特徴です。
【参考】経済産業省|非化石価値取引について (1.1MB)
企業におすすめな再エネ調達方法は初期費用がかからない太陽光発電システムの導入

ここまで紹介した各調達方法の特徴をふまえると、企業におすすめな再エネ調達方法は次の2つです。
● オンサイトPPA
● オフサイトPPA
それぞれの方法の特徴やメリット、どんな企業に向いているか解説します。
オンサイトPPAの特徴やメリット
オンサイトPPAのメリットとしては、次の5つが挙げられます。
● 初期費用負担なし
● メンテナンス費用なし
● 電気料金削減効果
● 再エネ賦課金が不要
● 非常用電源としても利用可能
オンサイトPPA最大の特徴は、初期費用0円で電力需要地に太陽光発電設備を導入できることです。電気代を削減するだけではなく、非常用電源としても活用できるため、電力需要地に敷地を確保できるのであれば積極的に検討したい方法です。
工場や倉庫の屋根に平面が広がっている場合は、ぜひオンサイトPPAを導入してみてください。
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オフサイトPPAの特徴やメリット

オフサイトPPAのメリットとしては、次の5つが挙げられます。
● 初期費用負担なし
● メンテナンス費用なし
● 電気料金削減効果
● 自社敷地の広さや条件に制約されない(拡張性が高い)
● 複数拠点に電気供給可能
オフサイトPPAならではの特徴は、拡張性に優れていることです。自社敷地内に太陽光発電システムを設置できるスペースがないとしても、オフサイトPPAであれば導入できます。自社敷地から離れた場所に太陽光発電システムを設置する特性上、複数拠点に電気供給できることもポイントです。
事業規模拡大に伴って電力需要も増えていきそうな企業は、オフサイトPPAを導入してみてください。オフサイトPPAで太陽光発電所を設置する場所としては、遊休地やため池が挙げられます。
京セラの「再エネ電力供給ビジネス」なら初期投資なしで太陽光発電を導入可能

京セラの「再エネ電力供給ビジネス」を利用すれば、初期投資なしで太陽光発電システムを導入いただけます。
京セラは電力調達・需給管理・電力販売まで一貫対応しており、太陽光パネルメーカーとして長年培った技術や知見を活かしたサービス提案も可能です。
部分供給制度を活用して太陽光発電で発電した電力を供給するサービスや、オンサイトPPA・オフサイトPPAの双方に対応してますので、再エネの調達をご検討の際は、お気軽にご相談ください。それぞれの企業にマッチしたベストな選択肢を提案いたします。
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