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改正省エネ法とは?
変更点・企業が対応すべきことを解説!【法人】

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世界的に環境対策が求められている中、日本でも「省エネ法」が施行されており、一定規模以上の事業者にはいくつかの義務が課されています。そして2023年には「改正省エネ法」が施行され、事業者がなすべきことが今まで以上に増えました。

しかし、改正後の情報を追えておらず、具体的にどのような行動が必要なのか調べている方もいるのではないでしょうか。

そこで、この記事では改正省エネ法について詳しく解説します。改正後の変更点や、企業として今後対応すべきことを紹介するので、ぜひご参考になさってください。

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【目次】

 

省エネ法とは

まずは前提知識として、「省エネ法」について見ていきましょう。

省エネ法は、正式名称を「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」といい、一定規模以上の事業者に対し、『エネルギーの使用状況等についての定期的な報告』や『省エネ取組の見直し・計画策定』を義務付けた法律です。

参考:資源エネルギー庁|省エネ法の概要

なお、規制の対象は「直接規制」と「間接規制」に分類されています。

 

直接規制の対象

直接規制の対象は、⼯場・事業場・運輸分野のエネルギー使用者です。 次の規模に該当する事業者は、報告義務等対象者とされています。

工場・事業場 運輸
特定事業者
(エネルギー使用量1,500kL/年以上)
  • エネルギー管理者等の選任義務
  • 中長期計画の提出義務
  • エネルギー使用状況等の定期報告義務
特定貨物/旅客輸送事業者
(保有車両トラック200台以上等)
  • 計画の提出義務
  • エネルギー使用状況等の定期報告義務
特定荷主
(年間輸送量3,000万トンキロ以上)
  • 計画の提出義務
  • 委託輸送に係るエネルギー使用状況等の定期報告義務

なお、上記基準に満たない各分野の事業者にも、努力義務は課せられています。

 

間接規制の対象

一定規模以上の機械器具等製造・輸⼊事業者は、間接規制の対象とされています。

⾃動⾞・家電製品・建材など32品目については、エネルギー効率の高い製品(トップランナー)をもとに目標が設定されており、事業者はその目標達成を目指さなければなりません(効率向上が不十分な場合は勧告などの措置が取られます)。

また、家電などの小売事業者や、電気などのエネルギー小売事業者に対しては、消費者へ『エネルギー効率』や『環境への影響度』を情報提供する努力義務が課せられています。

 

改正省エネ法とは

 
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さて、2030年の野心的な温室効果ガス削減目標の達成や、2050年のカーボンニュートラル達成に向け、今まで以上に踏み込んだ内容が盛り込まれたのが2023年4月施行の「改正省エネ法」です。

そもそも、従来の省エネ法で主に求められていたのは、化石エネルギーの使用の合理化でした。

しかし、改正省エネ法では、非化石エネルギーも含めたすべてのエネルギーの使用の合理化や、使用エネルギーの非化石エネルギー転換、さらに電気の需要最適化を促す法律に変わったことがポイントです。

主な変更点について、さらに詳しく見ていきましょう。

参考:資源エネルギー庁|省エネ法の改正

 

エネルギーの使用の合理化

改正前の省エネ法では、化石エネルギーの使用の合理化のみが求められていたため、主な対象は次のようなエネルギーでした。

  • 石油
  • 揮発油
  • 可燃性天然ガス
  • 石炭 等

一方、改正省エネ法では、非化石エネルギーを含む全てのエネルギーの合理化が求められることになりました。 これに伴い、次のようなエネルギーも合理化の対象となります。

  • 黒液(木材パルプ廃液)
  • 木材
  • 廃タイヤ
  • 廃プラスチック
  • 水素
  • アンモニア
  • 非化石熱 等(例 太陽熱)
  • 非化石電気 等(例 太陽光発電の電気)
 

非化石エネルギーへの転換

 
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特定事業者等はエネルギーの使用の合理化をしつつ、非化石エネルギーへの転換に関する中長期計画を作成し、さらに非化石エネルギーの使用状況などの定期報告も求められるようになりました。

そのため、各事業所で太陽光発電などの非化石エネルギーを導入する必要性も生じています。

 

電気の需要の最適化

これまでの省エネ法でも電気の需要の平準化を目的に、特定事業者は昼間・夜間・平準化時間帯(夏期・冬期の昼間)に分けて電気使用量を報告していました。

しかし、改正省エネ法では「電力の需要シフト」や「電力需給ひっ迫時の需要抑制」を促すため、『上げDR(再生可能エネルギー(再エネ)余剰時等に電力需要を増加させる)』『下げDR(電力需給ひっ迫時に電力需要を抑制する)』の実績報告も求められるようになったことがポイントです。

Demand Response|ディマンド・リスポンス(DR) 消費者が電気使用量を調整することで、電力需給バランスを安定させるための仕組み

参考:経済産業省|ディマンド・リスポンスってなに?

具体的には、月別(1か月単位)または時間帯別(30分または60分単位)で電気使用量を報告し、さらにDRを実施した日数も報告しなければなりません。

電気の需要の平準化ではなく、最適化が求められるようになったことは、大きな転換だといえるでしょう。

 

改正の背景:カーボンニュートラルとエネルギー政策

なぜ省エネ法が改正されるに至ったのか、もう少し背景を探ってみましょう。

多くの方がご存知のとおり、地球温暖化の進行、それに伴う異常気象の頻発を背景に、温室効果ガスの排出削減が世界的な課題となっています。

2020年には日本でも「2050年のカーボンニュートラル実現を目指す」と宣言され、国のエネルギー政策は再エネを含む非化石エネルギーを活用する方向に舵をきりました。

カーボンニュートラルの取り組みと太陽光発電の活用について

ただし、太陽光発電などの非化石エネルギーは、天候などによって発電量が変動します。しかし電気を安定供給するためには、発電量(供給)と消費量(需要)が「同じ時間」に「同じ量」になっていなければなりません(需給バランスが崩れると大規模停電などが生じます)。

そのため、カーボンニュートラルを達成するためには、供給側の変動に応じて電気の需要を最適化すること(DR)が欠かせません。

これらエネルギー政策をふまえ、『すべてのエネルギーの使用を合理化』『使用エネルギーの非化石エネルギー転換』『電気の需要最適化』を盛り込んだ内容に省エネ法が改正されたのです。

 

改正省エネ法への対応で得られるメリット

 
shoenehoukaisei05.png さて、企業が改正省エネ法への対応で得られるメリットとしては、次の2点が挙げられます。
  • コスト削減効果と企業イメージ向上
  • 違反リスクの低減と罰則の回避

それぞれのメリットについて解説します。

 

コスト削減効果と企業イメージ向上

改正省エネ法に対応するためにエネルギー使用量を把握したり、削減施策を実行したりすれば、光熱費や燃料費の削減効果が期待できます。

また、積極的に省エネ活動・再エネ利用に取り組む姿勢は、環境に配慮した企業として評価されるでしょう。昨今はESG投資への関心も高まっており、企業価値を向上させるためにも改正省エネ法対策は欠かせません。

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違反リスクの低減と罰則の回避

省エネ法に基づく、エネルギー使用状況届出書や定期報告書、中長期計画書を提出しなかった場合、罰金が課されることがあります。また、省エネ法に違反した事実そのものが、企業イメージを毀損させかねません。

罰則はもちろん、企業イメージを損ねないためにも、改正省エネ法の規制対象に該当している場合は、確実に対応していくことが望ましいでしょう。

 

改正省エネ法に対応するために企業ができること

 
shoenehoukaisei06.png さて、改正省エネ法に対応するために企業ができることとしては、次の7つが挙げられます。
  • 非化石エネルギーに対する中長期計画の策定
  • 再エネ発電設備の導入
  • 蓄電池の導入
  • エネルギー使用方法・時間の見直し
  • 省エネ機器・設備の導入
  • DRの取り組み
  • 非化石証書の活用

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

非化石エネルギーへの転換目標に関する中長期計画の作成

改正省エネ法の対象企業は、『各種再エネ』『水素』『アンモニア』といった非化石エネルギーへの移行を見据えた中長期的な計画を立てなければなりません。

とくに、セメント製造業・自動車製造業・鉄鋼業・化学工業(石油化学・ソーダ)・製紙業の5業種については、国が2030年度の定量目標を定めており、早急な対応が求められます。

参考:資源エネルギー庁|目安設定5業種の非化石エネルギーへの転換に関する計画及び報告について(1.26MB)

 

再エネ発電設備の導入

 
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非化石エネルギーにはさまざまな種類がありますが、中でも「太陽光発電」の導入を検討している企業が多いのではないでしょうか。

太陽光発電の設備は工場やオフィスの屋根、近隣の遊休地に設置することはもちろん、遠方に設置することも可能です。

また、PPAというスキームを活用すれば、初期費用0円で太陽光発電を導入できます。京セラもPPAサービスを提供していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

PPA(Power Purchase Agreement)|電力購入契約 サービス事業者(PPA事業者)が太陽光発電を設置し、各企業(電力需要家)と直接売電契約を締結するスキームのこと。
電力需要地(工場や倉庫の敷地内)に太陽光発電を設置するモデルはオンサイトPPA、遠隔地に設置するモデルはオフサイトPPAと呼ばれる。

関連記事:【法人向け】太陽光発電PPAスキーム(モデル)とは?仕組みやメリット、デメリット

太陽光発電は電気コスト削減・非常用発電としての効果も期待できるため、ぜひご検討ください。

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蓄電池の導入

蓄電池は太陽光発電で生み出した電気を効率的に活用する際にも役立ちます。たとえば、日中に発電した電気を貯めておけば、夜間や荒天時にも太陽光発電由来の電気を使えるためです。

また、蓄電池を導入することで最大需要電力を低下させ、電気需要を最適化する効果も期待できます。たとえば、電力使用量が多くなる時間帯は蓄電池から電力を供給するピークカット、ピーク時以外の夜間などに電気を購入して貯めておくピークシフトなども、蓄電池があるからこそできることです。

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エネルギー使用方法・時間の見直し

改正省エネ法ではすべてのエネルギーが使用合理化の対象となったため、単に再エネを使うだけではなく、そのエネルギーの使用方法・使用時間などを見直す必要もあります。

エネルギーマネジメントシステム(EMS)によって時間帯ごとのエネルギー使用量を可視化し、ピークカット・ピークシフトに取り組むことはもちろん、そもそも無駄なエネルギーを使わないよう節電も意識してみてください。使わない照明は消す、空調負荷を減らすために断熱対策をするといった活動も有効です。

 

省エネ機器・設備の導入

 
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オフィスの空調・照明や、工場の各種設備などは、老朽化すると消費電力が増えてしまいます。

これら機器を高効率な省エネ設備に更新すれば、使用時間を変えずにエネルギー使用量を大幅に削減することも可能です。

 

DRの取り組み

記事内で何度か触れたDR(ディマンド・リスポンス)に取り組むことも、改正省エネ法対策にも欠かせません。DR導入に必要な条件は次の2つです。

  • 電力需要の変動に対応できる設備を保有している
  • 電力会社とDR契約を結ぶ

電力需要の変動に対応できる設備とは、稼働を停止できる設備や蓄電池・電気自動車などのことです。

たとえば、電力需要の抑制要請が来たら、設備を停止するか、蓄電池を放電して自己利用(電力会社からの購入を停止)します。反対に電力需要の創出要請が来たら、蓄電池や電気自動車に充電するなどして電気を購入します。

このようなDRに参加するためには、あらかじめDRを実施している小売電気事業者・アグリゲーターなどと契約しておかなければなりません。DRに協力するとインセンティブを受け取れるケースもあるため、自社の希望にマッチする契約先をご検討ください。

 

非化石証書の活用

非化石エネルギーの利用割合を増やしたい場合、「非化石証書」も活用できます。

非化石証書とは、「非化石電源からつくられた電気であることに起因する価値」を証書化したものです。この非化石証書は取引市場でオークションにかけられており、小売電気事業者などが購入しています。

非化石証書とは?仕組みや特徴、種類・価格と活用メリットを解説!【法人】

そして電気を購入する企業は、非化石証書を活用する小売電気事業者から「CO₂排出量が実質ゼロの電力」を調達することで、非化石エネルギーへの転換を進められるのです。

少し複雑な制度ですが、自社に設置した太陽光発電だけで非化石エネルギーへの転換目標を達成できない場合は、ぜひ非化石証書の活用をご検討ください。

参考:資源エネルギー庁|改正省エネ法への対応について(856KB)

 

改正省エネ法への対応に太陽光発電を活用

改正省エネ法で企業に求められる3要素は次のとおりです。

  • 非化石エネルギーも含めたすべてのエネルギーの使用の合理化
  • 使用エネルギーの非化石エネルギー転換
  • 電気の需要の最適化(DR)

これらを達成する方法はいくつか存在しますが、まず検討したいのが太陽光発電の導入です。太陽光発電を導入すれば非化石エネルギーへの転換を進められますし、蓄電池を併用すればエネルギーの使用の合理化やDRを進めることも可能です。

京セラの産業用PPAを活用すれば、初期費用0円で太陽光発電を導入できます。条件によっては、蓄電池を契約に組み込むことも可能です。改正省エネ法対策として太陽光発電の導入を検討している企業は、ぜひ一度ご相談ください。

法人向け:産業用電力サービス事業(PPA)

 

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