VPP(バーチャルパワープラント)とは?
概要を分かりやすく解説【法人】
私たちの生活と経済活動に欠かせない電力。これまで、電力は火力発電所などから一方的に供給されるものでした。しかし今、この仕組みが劇的に変わりつつあります。
背景にあるのは、世界規模の取り組みであるカーボンニュートラルの実現への要請と、災害に対するBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の必要性です。
従来の火力発電所などに依存した電力システムでは対応困難な課題を解決し、企業の経営戦略にも直結する新たな電力システムとして「VPP」が注目されています。
本記事では、VPPの構成要素や仕組み、注目される背景、導入メリット、さらにはVPP実現の鍵と京セラの独自技術に至るまで詳しく紹介します。ぜひご参考になさってください。
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【目次】
・新たな電力システムとしてVPPが求められている理由
・VPPが企業経営にもたらす4つのメリット
・VPPの実現を支える京セラの特許技術と実証事業事例
・VPP普及に向けた課題と今後の展望
・VPPを活用して再エネを普及促進!
VPP(バーチャルパワープラント)とは
VPPとはバーチャルパワープラント(Virtual Power Plant:仮想発電所)の略です。
リソースアグリゲータと呼ばれる人や企業が太陽電池、蓄電池、電気自動車(EV)などのリソースをまとめ、大量の電気をためて出すことで、あたかも発電所のように機能させる仕組みです。
火力発電所などが発電量を調整するのではなく、各地域に分散しているエネルギーリソースを活用して電力の需要と供給のバランスを調整できるのがVPPのポイントです。
VPPの構成要素
VPPは、以下の構成を含みます。
●分散型エネルギーリソース(DER: Distributed Energy Resources)
各家庭やビルなどの需要家に設置されたエネルギー関連設備です。 例えば、太陽電池などの発電設備、蓄電池や電気自動車(EV)などの蓄電設備、家電などの負荷設備のことです。 特に注目すべきは、「蓄電池」です。「蓄電池」は、自由に電力をためたり出したりすることができるため、電力の需要と供給のバランスを柔軟に調整することができます。例えば、急な天候の変化によって太陽電池の発電量が減少しても、不足している電力を蓄電池から出し、電力の需要と供給のバランスを調整することができます。
●リソースアグリゲータ(RA:Resource Aggregator)
需要家と契約し、分散型エネルギーリソースをまとめて制御する事業者です。 リソースアグリゲータは、アグリゲーションコーディネータと分散型エネルギーリソースとの間に立ち、アグリゲーションコーディネータに対しては電力の需要と供給のバランスを調整可能な電力、需要家に対しては新たな収益機会をもたらし、まさに「橋渡し」といえる役割を持っています。
●アグリゲーションコーディネータ(AC:Aggregation Coordinator)
リソースアグリゲータから調整可能な電力の量を集計し、電力広域的運営推進機関(OCCTO)や一般送配電事業者と電力を取引する事業者です。
VPPの仕組み「デマンドレスポンス(DR)」
VPPが電力の需要と供給のバランスを調整可能な電力を生み出す手法の一つとして「デマンドレスポンス(DR)」があります。
DRでは、アグリゲーションコーディネータからの電力需要に関する要請に応じて、リソースアグリゲータが需要家に設置された分散型エネルギーリソースを制御して需要家の電力需要を変化させます。
DRには、電力需要を増やす「上げDR」と、電力需要を減らす「下げDR」があります。ここでの電力需要とは、需要家が電力会社などから受けとっている電力量のことです。
「上げDR」は、例えば、需要家が消費する電気を増やしたり、太陽電池が出力する電気を減らしたり、発電所が発電した電気を蓄電池や電気自動車にためることです。
「下げDR」は、例えば、需要家が消費する電気を減らしたり、太陽電池が出力する電気を増やしたり、蓄電池や電気自動車がためた電気を電線に出すことです。
このように、需要家が能動的に電力需要を変化させることで、発電所の発電量を調整することなく、電力の需要と供給のバランスを最適化できます。
参考:資源エネルギー庁|ディマンド・リスポンスってなに?
新たな電力システムとしてVPPが求められている理由
従来の電力システムは、火力発電所などの発電設備に依存していました。しかし、この仕組みは、2つの構造的な課題があります。
- 再生可能エネルギーの普及に伴う電力の不安定化
- 災害に対する脆弱性
これらの2つの課題を詳しく見ていきましょう。
各地域に分散しているエネルギーリソースを活用した柔軟で強靭な電力システムへの転換が急務となっており、その中核を担うソリューションとしてVPPが注目されています。
再生可能エネルギーの普及に伴う電力の不安定化
日本は、2050年までにカーボンニュートラルを実現することを宣言しています。
これに伴い、温室効果ガス排出量の削減や再生可能エネルギー(再エネ)の導入といった「環境貢献」が、企業を評価するうえで重要視される指標となっています。
そのため、太陽光発電などの再エネの導入が世界的に進んでいますが、再生可能エネルギーの発電量は天候など外的要因に大きく左右されるため、再生可能エネルギーの導入が進めば進むほど、電力の需要と供給のバランスをとるのが難しくなります。
電力供給が電力需要を上回れば電力系統の周波数が乱れ、電力需要が電力供給を上回れば電力不足に陥ります。
したがって、現在では、電力供給が電力需要を上回るときには、火力発電所の発電量の調整や地域間の連系線の活用により電力の需要と供給のバランスを調整した上で、それでもなお電力供給が電力需要を上回れば太陽光発電などの再生可能エネルギーの出力抑制制御が行われているという現状があります。
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災害に対する脆弱性
東日本大震災の際に、火力発電所などは稼働していても、送電網の寸断によって各地域に電力を供給できなくなり、広範囲にわたる大規模停電が発生しました。
このように、従来の電力システムには、災害時に電力の供給が完全に途絶するリスクを抱えています。
したがって、この脆弱性の克服は、BCPの観点から喫緊の経営課題といえます。
VPPが企業経営にもたらす4つのメリット
VPPは、単に電力の需要と供給のバランスの最適化に貢献するだけでなく、VPPに参加する企業の企業経営に対しても直接的なメリットがあります。ここでは主な4つのメリットをご紹介します。
- 環境貢献
- 電気料金の削減
- 新たな収益機会の創出
- 事業継続性の強化
環境貢献
VPPへの参加は、再生可能エネルギーの有効活用と電力の需要と供給のバランスの最適化に貢献する、すなわち環境に貢献する取り組みです。
こうした活動は、RE100をはじめとする環境指標の達成に貢献し、投資家や顧客からの評価を高め、企業のブランド価値の向上につながります。
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電気料金の削減
蓄電池を活用した「ピークカット」や「ピークシフト」により、電気料金を削減できます。
「ピークカット」とは、最も電力需要が増える時間帯において電力需要を減らす制御のことです。
「ピークシフト」とは、電力需要が少ない時間帯に蓄電池に電力をためておき、電力需要が多い時間帯に蓄電池から電力を出す制御のことです。
また、電気料金が安い時間帯に蓄電池に電力をためておき、電気料金が高い時間帯に蓄電池から電力を出すことで売電による収益を得ることもできます。
新たな収益機会の創出
アグリゲーションコーディネータからの電力需要に関する要請に応えることで、リソースアグリゲータ及び需要家はアグリゲーションコーディネータから対価となる報酬を得ることができます。
これにより、これまでコストでしかなかったエネルギー関連設備が、収益を生む資産へと変化します。
事業継続性の強化
VPPの核となる分散型エネルギーリソースは、BCP対策の観点から非常に重要な役割を果たします。
例えば、災害時に停電が起こっても、自社に設置した蓄電池や発電設備を非常用電源として活用できます。これにより、停電時でも事業の中断を防げるため、サプライチェーンにおける供給責任を果たすことができ、企業の信頼性を向上させることができます。
VPPの実現を支える京セラの特許技術と実証事業事例
この章では、京セラのVPPに関連する特許技術や実証事例を紹介します。
事業継続性の強化
VPPを社会に実装するためには、分散型エネルギーリソースの性能と信頼性、これらを最適に統合制御するVPP技術が必要不可欠になります。
京セラは、長年にわたり培ってきた太陽電池や蓄電池などの「デバイス技術」、それらを最適に統合制御する「VPP技術」、この両方を強みとしています。
京セラのVPP実現への情熱の証となる知財:近未来のインフラの共創
VPPにおける京セラの歩み
特に注目すべきは、VPPという概念が普及する以前からVPPの可能性に着目し、10年以上にわたってVPP技術の開発と大規模な実証に先行投資してきた点です。
こうした長年の研究開発の成果として、VPPの上流から下流まで広範にカバーする200件以上の特許を取得しており、当社の技術的優位性の礎になっています。
分散型エネルギーリソースの遠隔制御に関するデバイス技術においては100件以上の特許を取得しており、堅牢な知的財産ポートフォリオを構築しています。
京セラの実証事業事例【パートナー企業様】
日本では、経済産業省・資源エネルギー庁が中心となって「VPP・DR実証事業」を2016年度から複数年にわたって実施しています。 京セラもこの実証事業に参画し、VPPの実用化に向けた技術開発に取り組んでいます。
その事例の1つとして、パートナー企業様と実証事例についてご紹介します。
京セラのサーバーからパートナー企業様のサーバーへ調整可能な電力の量を事前に送信します。
パートナー企業様のサーバーから制御指令が来た際に、各家庭に設置されている蓄電システム「EnerezzaⓇ」の遠隔制御指示を行います。 本実証では、「EnerezzaⓇ」で需要家から電気を出すことも加味し、遠隔制御指示を行いました。
みんなで作る発電所「家庭用蓄電池Enerezza®を使用したVPPシステム」
ちなみに、電力システムという社会インフラとしての役割が求められるVPPには、高い安全性・安定性が求められます。そこで、京セラでは、高い安全性・安定性を有するクレイ型リチウムイオン蓄電システム「EnerezzaⓇ」を提供しています。
当社の「Enerezza®」と、需要家とリソースアグリゲータの経済合理性を両立させる当社のVPPを組みあわせることで、将来的に優れたソリューションを提供します。
VPP普及に向けた課題と今後の展望
この章では、技術的な課題や法制度面の問題を整理し、VPP市場の将来性を考察します。
VPP普及に向けた課題
VPPが期待される一方で、システム導入コストやデータ管理の複雑さ、法制度面の不確定要素も存在します。 これらの要素をどのようにクリアしていくかが、普及の鍵となります。
今後の展望
IoTやビッグデータ解析などの技術が進化し、コストも下がれば、VPPはさらに拡大することが見込まれます。
今後は太陽電池や蓄電池に加え、電気自動車や燃料電池などが一体となってバーチャルパワープラントの構成要素になる可能性があります。
VPPを活用して再エネを普及促進!
本記事では、新たな電力システムとして期待されるVPPについて、背景、仕組み、それが企業にもたらすメリットをご紹介しました。
VPPは、電力の需要と供給のバランスの安定化や再エネが主力電源となるカーボンニュートラル実現のための鍵となる技術です。
京セラは、従来の電力システムを代替し、より柔軟で強靭なVPPを構築し、持続可能な社会の実現に貢献し続けます。
- ●「Enerezza」「エネレッツァ」は京セラ株式会社の登録商標です。
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