エコキュートとは?
太陽光発電・蓄電池との組み合わせで節約効果大!?
オール電化との関係も解説!【住宅】

オール電化住宅では、一般的に「エコキュート」を用いてお湯を作り出します。
ガスを使わないため光熱費を管理しやすいエコキュートですが、とくに寒い時期は電気代が高くなりやすく、負担に感じている方もいるのではないでしょうか。
実はエコキュートと太陽光発電・蓄電池を組み合わせると、電気代を大きく節約できます。
この記事ではエコキュートと太陽光発電・蓄電池を併用するメリットについて紹介するので、ぜひご参考になさってください。
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【目次】
エコキュートとオール電化の関係
太陽光発電・蓄電池とは
エコキュートと太陽光発電を併用するメリット
エコキュートと蓄電池を併用するメリット
エコキュートと太陽光発電・蓄電池をすべて併用するメリット
太陽光発電・蓄電池を導入したら削減できる電気代はいくら?
エコキュート・太陽光発電・蓄電池の設置費用
太陽光発電・蓄電池をオトクに導入するためのポイント
エコキュートと太陽光発電・蓄電池を併用するならPPAがおすすめ
エコキュートとは

そもそもエコキュートとはどのような機器なのでしょうか?
太陽光発電・蓄電池との相性を知るために、まずはエコキュートの仕組みや特徴、メリット・デメリットの概要について解説します。
エコキュートの特徴と仕組み
エコキュートは「家庭用ヒートポンプ給湯器」、すなわちお湯を作り出すための機器です。
エコキュートのファンから「ヒートポンプ」に空気を取り込むと、エコキュート内部にある低温の冷媒(CO₂)が空気から熱を吸収してくれます。そして、そのCO₂がコンプレッサーで圧縮されると、約110℃〜120℃もの高温になるのです。この熱を使って、エコキュートは水を温めます。
水を温めたあとのCO₂は「膨張弁」を通すことで低温・低圧に戻せるため、再び空気中の熱を吸収できることが特徴です。自然の空気中にある熱を「ヒートポンプユニット」によって集め、それを利用してお湯を作りだす工程を、長期にわたって循環できることが特徴です。
参考:環境省|ご存じですか?省エネ効果が高い家庭用ヒートポンプ給湯器『エコキュート』の仕組みと特徴について
エコキュートのメリットとデメリット

エコキュートでお湯を作るときのエネルギーのうち、約3分の2は「空気の熱」に由来しています。そのため従来型の電気温水器に比べると、一次エネルギー消費量を約30%まで削減できることはメリットだといえるでしょう。
再生可能な大気中の熱を使ってお湯を沸かせるため、環境に優しいこともポイントです。
また、夜間に電気をつかってお湯を貯めておけば、昼間は給湯のために電気を使う必要がありません。電力需要を昼間から夜間に移行させる「ピークシフト」に貢献できることも、エコキュートならではのメリットです。
しかしガス給湯と比べると、エコキュートはたくさんの電気を必要とします。このため電気代がかかりやすいことはデメリットといえるかもしれません。
エコキュートとオール電化の関係
エコキュートと聞くと、「オール電化」が思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。
この章では、オール電化とエコキュートの関係について解説します
オール電化とは、家庭内の調理に使うコンロをIHクッキングヒーターにしたり、冷暖房に使用するエアコンはもちろんのこと床暖房も電気を利用したり、給湯においてもエコキュートや電気温水器など電気を利用した機器を使用する住宅のスタイルのことを言います。
そのため、エコキュートを導入しただけではオール電化とは言えません。エコキュートは、オール電化を構成する一部と考えれば良いでしょう。
ただしエコキュートを導入することで、前章のエコキュートのメリットとして紹介した通り、オール電化の住宅と同じように、夜間に電気料金が安くなる電力プランを選択できるようになります。
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太陽光発電・蓄電池とは
つづいて、太陽光発電と蓄電池の特徴・仕組みを見ていきましょう。
太陽光発電と蓄電池の両方を設置するメリット・デメリットとは?仕組みや特徴と合わせて解説
太陽光発電の特徴と仕組み
太陽光発電は、太陽光パネルに光が当たると電気を作り出すシステムのことです。
太陽光パネルには下の図のように、電気的な性質が異なる「N型半導体」と「P型半導体」が使われています。
ここに光が当たると、電気が発生することが特徴です。ただし作られる電気は直流であるため、「パワーコンディショナー」によって家庭で使用できる交流に変換しなければなりません。
太陽光発電は日光が出てさえいれば発電できるため、クリーンなエネルギーとして注目されています。 なお、太陽光発電で作り出した電気は、蓄電池がなければ貯めておくことはできません。
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蓄電池の特徴と仕組み
蓄電池はその名のとおり、電気を貯めておくためのシステムです。そして太陽電池が物理エネルギーを電気エネルギーに変える「物理電池」であるのに対して、蓄電池は化学反応を利用した「化学電池」に分類されます。
利用する化学反応によって蓄電池はさまざまな種類に分けられますが、家庭用蓄電池としてもっともポピュラーなのは「リチウムイオン電池」です。下記の図のように正極(プラス極)・負極(マイナス極)・ 電解液・セパレータで構成されており、リチウムが電極の間を行ったり来たりすることで充電・放電を繰り返します。
蓄電池があれば、太陽光発電で生みだした余剰電力を貯めておけるため、夜間・荒天時などでも自家発電した電気を使えることがポイントです。
蓄電池とは?種類や仕組み、太陽光発電と併用した時のメリットと注意点は?
エコキュートと太陽光発電を併用するメリット

- 自家消費と売電により、電気代を削減できる
- 環境にも優しい
また、電力会社から購入する電気の多くは、発電時に温室効果ガスを排出する「化石燃料」に由来しています。一方、太陽光発電は発電時に温室効果ガスを出さず、ほぼ無限に使える「太陽光エネルギー」を利用しているため、環境に優しいこともメリットだといえるでしょう。
エコキュートと蓄電池を併用するメリット
エコキュートと蓄電池を併用するメリットの代表例は次の2つです。
- 夜間に貯めた低単価な電気を使うことができる
- 停電対策になる
昨今では多くの電気料金プランが存在していますが、とくに「夜間の電気料金が安いプラン」は家庭での人気が高いことをご存知でしょうか。このようなプランを契約して、寝ている間にエコキュートでお湯を沸かしたり、乾燥機・食洗機を回したりしている家庭も少なくありません。
そして蓄電池も電気料金の安い夜間に電気を貯めておき、昼間でもその低単価の電気を使うことができます。太陽光発電と比べると削減効果は小さいですが、蓄電池でも多少の電気代削減効果を期待できます。
また、停電時にお湯が沸かせないことはエコキュートの大きなデメリットですが、蓄電池があれば停電対策になることもメリットです。地震災害の場合、たとえ停電になったとしても当日〜数日の間に復旧するといわれています。応急送電が開始するまでの間もお湯を使いたい場合は、ぜひ蓄電池の導入をご検討ください(ただし電気使用量は、蓄電池の残量に依存します)。
エコキュートと太陽光発電・蓄電池をすべて併用するメリット

しかし「エコキュート×太陽光発電×蓄電池」のすべてを組み合わせると、相乗効果によってさらにメリットを増やせます。主なメリットは次のとおりです。
- ZEHの実現に近づけることができる
- 光熱費の節約効果が高まる
- 災害対策としての機能がより高まる
- 補助金の対象にもなりやすい
- 環境貢献(CO₂排出量削減)効果も高まる
ZEHの実現に近づけることができる
一つ目のメリットとしては、ZEHの実現性が高まることが挙げられます。ZEHとは「net Zero Energy House」の略語で、エネルギー収支をゼロ以下にする家のことです。ZEHを実現するためには、「家庭で使うエネルギー」と「太陽光発電などで作るエネルギー」のバランスをとり、消費したエネルギー量を実質ゼロ以下にしなければなりません。
ZEHに太陽光発電は欠かせませんが、蓄電池は必ずしも設置しなくてもいいとされています。しかし蓄電池があったほうが発電した電気を夜間・荒天時でも効率よく使えるため、ZEHの実現性が高まるのです。
光熱費の節約効果が高まる
太陽光で発電して自家消費で使いきれなかった余剰電力を、蓄電池に貯めて夜間・荒天時に使えるため、光熱費の節約効果が高まることもメリットといえるでしょう。
太陽が出ていない間に使う電気の購入する量を減らすことができるため、電気代を大きくカットできます。
災害対策としての機能がより高まる

太陽光発電と蓄電池を組み合わせることで、災害対策としての機能がより高まることも特徴です。
太陽光発電のみを設置している場合、リアルタイムに発電している日中でなら、基本的に一つのコンセントでのみ電気を使うことができます。ただし、停電時用のコンセントは室内にあることが多く、エコキュート用に使えないケースが多いです。
また、蓄電池がある場合は家中で電気が使えますが、使用できる電気は蓄電残量に依存します。そのため停電が数日に及ぶ場合、電気がなくなってしまう可能性も否めません。電気がなくなればエコキュートを使うことはできず、災害対策としては不安が残ります。
しかし太陽光発電と蓄電池があれば、自家発電によって蓄電池に電気を供給し続けられるため、数日以上の停電であってもエコキュートを使える可能性が高まります。
補助金の対象にもなりやすい
国・自治体はさまざまな補助金事業を用意していますが、エコキュート・太陽光発電・蓄電池のすべてを導入する場合、補助金額を増やしやすいことも特徴です。
たとえばエコキュート単体で見ると、 「給湯省エネ2025事業」 という補助事業では、1台につき6万円の補助金が支給されます。 さらに、追加要件を満たす製品の場合は、要件に応じた補助金を上乗せで受けることができます。
また、エコキュート・太陽光発電・蓄電池を導入することでZEHが実現すれば、 「ZEH補助金」(3.44MB)の対象にもなります(ZEHなら55万円/戸+α、ZEH+なら90万円/戸+α補助されます)。
参考:環境省|戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業(289KB)
さらに、太陽光発電の単体設置では補助金がおりない自治体も多いですが、太陽光発電+蓄電池を組み合わせると補助対象になることも少なくありません。また、太陽光発電とあわせて蓄電池を設置することで、補助金の上限額が増える自治体もあります。
たとえば東京都の場合、蓄電池システムの新規設置時に支給される補助金額は、太陽光発電の有無によって次のように変わります。
参考:クール・ネット東京|令和6年度 家庭における蓄電池導入促進事業 災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業
エコキュートと太陽光発電・蓄電池をすべて併用すると、補助金を効率よく活用できる点は大きなメリットだといえるでしょう。
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●補助金を検討する場合は、担当窓口に条件や募集期間など最新情報のご確認をお願いいたします。
環境貢献(CO₂排出量削減)効果も高まる

太陽光発電は単体でも環境に優しい発電システムですが、蓄電池を組み合わせることによって、発電したエネルギーを最大限に利用できるようになります。
環境貢献(CO₂排出量削減)効果が高まることも、太陽光発電と蓄電池を組み合わせるメリットだといえるでしょう。
太陽光発電・蓄電池を導入したら削減できる電気代はいくら?
それでは、太陽光発電・蓄電池を導入したら電気代はいくら削減できるのでしょうか。
京セラが提供する 「簡単シミュレーション」 を使って、電気代削減効果を調べてみましょう。
- 東京都練馬区
- 太陽光発電の容量5kW(設置方角:南)
- 東京電力 夜トク8
- 最近1ヶ月の電気料金:2万円
- 蓄電池の定格容量15kWh
- 運転モード:グリーンモード(自家消費向け)
この条件では、年間21万円以上もの電気料金を削減できると予想できます。
エコキュート・太陽光発電・蓄電池の設置費用
それではエコキュート・太陽光発電・蓄電池の設置費用はどのくらいなのでしょうか。
経済産業省の資料などを参照すると、太陽光発電システムの費用想定値は25.5万円/kWであるため、5kwの設備を導入する場合は127.5万円程度が相場だといえます(別途メンテナンス費用が3,000 円/kW/年程度かかります)。
蓄電システムの価格水準は11.1万円/kWh程度であるため、10kw~15kwの容量の蓄電池を導入する場合は100万円〜150万円以上は必要でしょう。
エコキュートの価格は容量・機能によっても異なりますが、50万円~100万円程度 が一般的です。
これらすべてを設置するとなると、合計で250万円~350万円程度がかかります。
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ただし、実際の設置時には補助金を活用できるため、自己負担額はさらに少なくなります。たとえば東京都のように蓄電システムの3/4が補助されるとしたら、自己負担額は200万円程度になるでしょう。
先述した電気代削減のシミュレーションでは年間の電気代が21万円以上削減できた点をふまえると、エコキュート・太陽光発電・蓄電池のすべてを導入することは非常に理にかなっているといえます。
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太陽光発電・蓄電池をオトクに導入するためのポイント

この設置費用を懸念している方も多いでしょう。
しかし次の2つの制度を活用すれば、太陽光発電・蓄電池をオトクに導入することも可能です。
- 補助金
- PPAサービス
補助金を活用する
すでに触れたとおり、エコキュート・太陽光発電・蓄電池はそれぞれが補助金の対象とされていますので、条件が合う場合は自己負担を減らすためにも、補助金を上手に活用していきましょう。
このうち蓄電池は、設置費用の一部~3/4程度を補助する制度を設けている自治体もあり、自己負担額を抑えて導入できることが特徴です(東京都のように補助割合が大きい自治体にお住まいなら、積極的に活用していくべきでしょう)。
PPAサービスを活用する
エコキュート+太陽光発電を組み合わせている家庭は少なくありませんが、そこに蓄電池も組み合わせるとなると、初期費用がネックになり躊躇する方もいるでしょう。
そのような方は、PPAサービスの活用をご検討ください。
PPAとは電力販売契約(Power Purchase Agreement)の略称で、PPA事業者の負担で住宅に太陽光発電システムを設置し、各家庭は使用した電力量に応じたサービス利用料を支払うサービスです。このとき設置される太陽光発電システムはあくまでもPPA事業者の所有物であるため、メンテナンス費用も事業者負担となります。つまり初期費用・契約期間中のメンテナンス費用0円で太陽光発電を導入できるのです。
京セラも家庭向けPPAとしてエネルギーシステム定額サービス 「ハウスマイルe」 を提供しており、太陽光発電だけではなく、蓄電池も初期費用0円で導入できます。
エコキュートとあわせて太陽光発電・蓄電池を導入したいと考えている方は、ぜひ 「ハウスマイルe」 をご検討ください。

0円ソーラーとは|太陽光発電と蓄電池の定額サービス!補助金情報もご紹介!
エコキュートと太陽光発電・蓄電池を併用するならPPAがおすすめ
エコキュートと太陽光発電・蓄電池を併用することには、光熱費の節約効果・災害対策・環境配慮などさまざまなメリットがあります。
しかし、それぞれの導入費用が負担になりやすいことも事実です。
少しでも自己負担を減らして導入するためには、補助金・PPAサービス( ハウスマイルe )の活用を ぜひ ご検討ください。

●「エコキュート」の名称は、電力会社・販売メーカーが推奨する自然冷媒ヒートポンプ給湯機の愛称です。
●「エコキュート」は、関西電力株式会社の登録商標です。
●「HOUSmile(ロゴ)」は京セラ株式会社の登録商標です。
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