太陽光発電と蓄電池の価格相場は?
オトクな設置方法とあわせて解説!【住宅・法人】

電気代の節約、環境への配慮などのために太陽光発電と蓄電池を導入する家庭や企業が増えています。
太陽光発電も蓄電池も設置するためには相応の費用が必要となる、というイメージを持っている方は多いでしょうが、おおよそいくらくらいが相場なのでしょうか。
この記事では、太陽光発電と蓄電池の導入・維持にかかる費用相場について紹介します。オトクに設置する方法もあわせて解説するので、ぜひご参考になさってください。
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【目次】
・蓄電池の導入価格の相場
・太陽光発電と蓄電池の価格を左右する要素
・太陽光発電と蓄電池をオトクに導入する方法
・導入後のメンテナンス費用について
・太陽光発電と蓄電池の導入メリット
・太陽光発電と蓄電池は「PPA」と「補助金」の活用がカギ
太陽光発電の導入価格の相場
まずは太陽光発電の導入費用相場について、経済産業省が公表している資料 「令和6年度以降の調達価格等に関する意見」(7.38MB) を参考に見ていきましょう。
住宅用太陽光発電の場合

住宅用太陽光発電の新築案件については、2023年の平均値は28.8 万円/kW(中央値28.8万円/kW)となっています。2022年と比べると1.9万円/kW(6.9%)、2021年と比べると1.7万円/kW(6.1%)増加したことが特徴です。
値上がりしているように思えるかもしれませんが、実は住宅用太陽光発電の設置費用を長期的にみると、年々安くなっている傾向にあります。そのため経済産業省としては、2025年度の住宅用太陽光のシステム費用想定値を、2024年度の想定値である「25.5万円/kW」に据え置いています。
住宅用太陽光発電は4kw~5kw程度の容量で設置することが多いですが、この想定値で考えると、102万円~127.5万円程度が相場といえるでしょう。
事業用(法人用)太陽光発電の場合

事業用(法人用)の太陽光発電設置費用は、すべての規模で低下傾向にあります。2023年に設置された10kW以上の平均値は23.9万円/kW(中央値22.2万円/kW)と、前年より0.8万円/kW(3.3%)低減したことが特徴です。(平均値計算は単純平均) ただしコスト水準上位25%に着目し、経済産業省の想定値は次のように定められています。
地上設置 | 屋根設置 |
11.3 万円/kW(50kW以上) 17.8 万円/kW(10~50kW) |
15.0 万円/kW(10kW以上) |
蓄電池の導入価格の相場
つづいて、経済産業省が主催する 「2024年度 第4回 定置用蓄電システム普及拡大検討会」 で示された見解を参考に、蓄電池の導入費用相場について見ていきましょう。
住宅用蓄電池の場合

2023年時点における住宅用(家庭用)蓄電システムの価格水準は、11.1万円/kWhでした。
参考:経産省|2024年度 第4回 定置用蓄電システム普及拡大検討会 資料5-1「家庭用及び業務・産業用蓄電システムに関する課題整理」(613KB)
2022年度の11.7万円/kWhと比較して、住宅用蓄電システムの価格水準は低下しているといえます。
参考:経産省|第4回 定置用蓄電システム普及拡大検討会 資料4「家庭用及び業務・産業用蓄電システムに関する課題整理」(5.59MB)
埼玉県|知って安心 住宅用蓄電池導入ガイド(2.00MB)
住宅用蓄電システムの価格水準が低減傾向にあることは、消費者にとっては好ましい状況だといえるでしょう。ただし蓄電池は現状、補助金の基で導入されるケースが多いという背景があります。そして家庭用蓄電池の価格は、補助金上限価格に張り付いており、期待するほど低下していないように見える課題があることも事実です。
参考:経産省|2024年度 第4回 定置用蓄電システム普及拡大検討会 議事要旨 (1.03MB)
事業用(法人用)蓄電池の場合

業務・産業用蓄電システムの価格は、補助金を活用しているかどうかによって差があります。
補助事業のデータを基に蓄電システムコストを推計すると、9.2万円/kWhが平均値です。一方で補助事業以外の場合、工事費を除いて20万円/kWh程度が実勢価格水準と想定されます。このような背景を鑑みると、事業用(法人用)の蓄電池を導入する場合、基本的には補助金を活用していくといいでしょう。
参考:経産省|第4回 定置用蓄電システム普及拡大検討会 資料4「家庭用及び業務・産業用蓄電システムに関する課題整理」(5.59MB)
太陽光発電と蓄電池の価格を左右する要素

さて、太陽光発電と蓄電池の導入価格は、どのくらいの容量を選ぶのか、どこのメーカーの製品を使うのかによって左右されます。高性能な太陽光発電・蓄電池のほうが、導入価格が高い傾向にあることは否めません。
相応の初期投資額が必要となるため、なるべく導入価格を下げたいと思うかもしれません。しかし、導入容量を増やせばトータル費用は上昇するものの、kWh辺りの単価を下げられる可能性もあります。また、長期的に見てコストパフォーマンスが高いのは、長寿命な製品であることも事実です。
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まずは必要な容量を確保することを重視し、補助金も活用しながら、長寿命な製品を導入するといいでしょう。また、PPAを活用すれば、初期費用・メンテナンス費用を0円にすることも可能です(PPAについては後ほど詳しく解説します)。
太陽光発電と蓄電池をオトクに導入する方法

- 太陽光発電と蓄電池を同時に設置する
- 補助金を活用する
- PPAを活用する
太陽光発電と蓄電池を同時に設置する
太陽光発電システム・蓄電池は、どちらかを設置してから、もう片方の設備を後付けすることも可能です。
しかし、太陽光発電と蓄電池の両方を同時に設置すれば、工事が一度きりで済み、結果として工事費用を削減できます。 太陽光発電と蓄電池の両方を導入するのであれば、別々のタイミングではなく、同時に設置するようにしてみてください。
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補助金を活用する
住宅・法人それぞれに対して、太陽光発電・蓄電池の導入に活用できる補助金が多数用意されています。導入費用の全額が補助されることはありませんが、自治体によっては、国や自治体の補助金を組み合わせることで、導入費用を大幅に削減できるケースもあります。
補助事業は年度ごとに設定されており、下半期には公募期間が終わっているケースもあるため、上半期に導入を実施できるよう準備を進めてみてください。
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PPAを活用する
補助金を活用したとしても、導入にかかる費用の一部は自己負担する必要があります。たとえ導入費用が減ったとしても、経済的に負担を感じる場合もあるでしょう。
初期費用0円で太陽光発電を導入したい場合は、PPAを活用するのがおすすめです。PPAとは「電力購入契約(Power Purchase Agreement)」のことで、太陽光発電設備をサービス事業者の負担で設置するサービスです。利用者側は初期費用・契約期間中のメンテナンス費用0円で設備を導入でき、利用した分の電気料金またはサービス利用料を毎月負担することになります。
京セラもPPAサービスを提供しており、家庭向け エネルギーシステム定額サービス「ハウスマイルe」 では、太陽光発電・蓄電池の双方を導入できます。
企業向けの 「産業用電力サービス事業」 は太陽光発電のみの導入が前提となっていますが、蓄電池を契約に組み込める場合もあるため、一度ご相談ください。
導入後のメンテナンス費用について

さて、太陽光発電や蓄電池は導入して終わりではなく、長期にわたって維持管理していかなければなりません。
ここからは導入後のメンテナンス費用について見ていきましょう。
太陽光発電のメンテナンス費用について
「令和6年度以降の調達価格等に関する意見」(7.38MB)によると、2025年度の住宅用太陽光発電の年間運転維持費については「3,000 円/kW/年」とされています(一般的な5kWの設備を想定した場合)。
理解を深めるために、維持費を細かくピックアップしてみましょう。まず、定期点検1回あたりの費用相場は、約4.7万円程度(2025年度の想定値)とされています。そして、パワーコンディショナの交換費用は、34.5万円程度が相場です。これら点検費用・パワコン交換費用をkW当たりの年間運転維持費に単純換算すると、メンテナンスに必要な費用は5,800 円/kW/年となります。
しかし実務的には、モジュールの出力保証が25年無償とされていたり、定期点検は1回のみしか実施しなかったりすることも珍しくありません。また、パワコン費用のサンプル数が少なく、上記で挙げた相場より安いケースも散見されます。そのため経済産業省としては、住宅用太陽光発電の年間運転維持費については「3,000 円/kW/年」と想定しているのです。
事業用太陽光発電の維持費用についても見ていきましょう。2023年設置案件の定期報告データを分析すると、運転維持費の相場は、地上設置が平均値5,200円/kW/年(中央値4,100円/kW/年)、屋根設置も平均値は5,200円/kW/年(中央値3,700円/kW/年)となります。
しかし過去の動向などもふまえ、経済産業省が想定する運転維持費の相場は「5,000円/kW/年」です。たとえば100kwの太陽光発電であれば、年間維持費50万円程度を見込んでおくといいでしょう。
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蓄電池のメンテナンス費用について
蓄電池を太陽光発電と併設している場合、太陽光発電のメンテナンスとあわせて、蓄電池の保守・点検も実施されるケースが多いです。この場合の費用は、先述した太陽光発電のメンテナンス費用相場と大きく乖離することはありません。
また、蓄電池には「サイクル数」と「使用期間」に応じた寿命が存在します。
サイクル数 | 使用期間 |
残量0%から満タンまで充電し、すべて使い終わるまでが1サイクル。 | 設置してから使い続けられる期間。10~15年程度が一般的。 |
そして、蓄電池の種類によっても、上記の寿命には差があります。
種類 | サイクル数 | 使用期間 |
鉛蓄電池 | 500~3,000回 | 3~15年 |
ナトリウム硫黄電池 | 4,500回 | 15年 |
ニッケル水素電池 | 2,000回 | 5年 |
リチウムイオン電池(液体) | 6,000~12,000回 | 10~15年 |
リチウムイオン電池(半固体) | 12,000回~20,000回 |
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もっとも一般的かつ長寿命なリチウムイオン電池であっても、太陽光パネルの寿命よりは短いため、蓄電池のメンテナンス費用については「設備の交換費用」となるケースがあることも覚えておきましょう。
太陽光発電と蓄電池の導入メリット

- 電気代削減効果
- 災害時利用
- 環境貢献
電気代削減効果
太陽光発電した電気を自家消費すれば、電力会社からの電力購入を削減できます。日中の太陽光発電で余った電力を蓄電池に溜めておき、それを夜間に消費すれば、さらに電気代を削減することも可能です。
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法人の場合、自家消費量を増やしてピークカット・ピークシフトすることで、より電気代削減効果を高めることもできます。
災害時利用
太陽光発電と蓄電池があれば、災害に伴う停電時でも電気を使えます。 住宅の場合は「在宅避難」に役立ちますし、法人の場合は「BCP対策」になることがポイントです。

環境貢献

太陽光発電は、電気を生み出すときに温室効果ガスを排出しないクリーンな発電方法です。たとえば太陽光発電を活用し、年間の一次エネルギー消費量正味ゼロを目指す「ZEH住宅」を実現すれば、家庭からの二酸化炭素排出量を実質的に0にできます。
企業の場合、必要となる電力のすべてを太陽光発電だけで賄うことは難しいかもしれません。しかし蓄電池を活用して太陽光発電を最大限に活用すれば、火力発電由来の電力購入量を大きく削減することも可能です。このような取り組みは「環境経営」を実践していることにもなるため、企業価値を高める効果も期待できます。
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太陽光発電と蓄電池は「PPA」と「補助金」の活用がカギ

太陽光発電と蓄電池は、どちらも導入するためには相応の費用がかかります。
しかし補助金を活用すれば、自己負担を大きく減らすことも可能です。 また、PPAを活用すれば、初期費用0円・契約期間中のメンテナンス費用0円で設備を導入することもできます(PPAで太陽光発電・蓄電池を導入する場合に利用できる補助金もあります)。
太陽光発電と蓄電池を導入する際は、「PPA」と「補助金」を上手にご活用ください。
京セラでは家庭向けとして エネルギーシステム定額サービス「ハウスマイルe」 、企業向けとして 「産業用電力サービス事業」 を提供しており、どちらも契約期間中のメンテナンス費用はもちろん、初期費用も0円で太陽光発電を導入できます。
初期費用の心配をせずに太陽光発電を導入したい方は、ぜひ京セラのPPAサービスをご検討ください。
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