CO₂削減のために企業が取り組めることとは?
基礎知識や対応策を紹介!【法人】

環境への配慮のため、CO₂の削減目標を掲げる企業も増えてきています。
しかし、企業がCO₂削減に取り組むことにはメリットがあるのか、また、企業として取り組めるCO₂削減に実効性のある活動はあるのかなど、疑問を抱えている方もいるでしょう。
そこで、この記事では企業がCO₂削減のために取り組めることに関連する、基本的な知識や対応策について紹介します。CO₂削減・脱炭素の活動に興味のある方は、ぜひご参考になさってください。
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【目次】
・企業がCO₂削減に取り組むメリット
・CO₂削減への取り組み方
・CO₂削減のために企業が取り組めること
・CO₂削減活動を企業がアピールする方法
・CO₂削減のためには太陽光発電・蓄電池の活用がおすすめ
企業がCO₂削減に取り組む必要性と背景
まずは企業がCO₂削減に取り組む必要性や、その背景について見ていきましょう。
気候変動と温室効果ガスの関連性

CO₂削減・脱炭素は地球温暖化対策のため、と思っている方も多いのではないでしょうか。これは正しい認識です。
CO₂を含む温室効果ガスは、地球温暖化の主要な原因とされています。地球の平均気温が上昇すると、異常気象・海面上昇など人類にとって深刻な問題を引き起こします。
そして、企業はその事業活動において相当量のCO₂を排出するため、社会の一員として、地球温暖化対策についても責任ある行動が求められているのです。
パリ協定やカーボンニュートラルの目標達成

世界的に地球温暖化対策への機運が高まったことをうけ、1997年に「京都議定書」が定められました。京都議定書では、先進国が温室効果ガスの排出量を削減することが求められています。
そして京都議定書の後継となるものが、2015年に合意された「パリ協定」です。
パリ協定は2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組みで、世界共通の長期目標を掲げています。
- 世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする
- そのため、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる
日本もパリ協定を批准しているため、これらの目標達成を目指さなければなりません。この目標達成のために重要となるのが、「カーボンニュートラル」です。
カーボンニュートラルとは、温室効果ガス排出量を、森林によるCO₂吸収量・二酸化炭素回収技術などで相殺することで、排出量を差し引きゼロにすることを指します。
カーボンニュートラルが達成されればパリ協定で掲げられた長期目標を達成できると期待されており、日本も2050年カーボンニュートラルが法定化されています。 法定化を受け、経済産業省を中心に「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が策定されたり、主要企業がカーボンニュートラル目標を掲げたり、CO2削減・脱炭素の機運が高まっているのです。
- 温室効果ガス排出量(Scope1,2※)排出削減目標(1.5℃水準):2030年度46%削減(2019年度比) 【SBT認定】
- 温室効果ガス排出量(Scope1,2,3※)排出削減目標(1.5℃水準):2030年度46%削減(2019年度比)【SBT認定】
- 再生可能エネルギー導入量:2030年度20倍 (2013年度比)
- 2050年度 カーボンニュートラル
- ※Scope1:燃料使用に伴う直接排出
- ※Scope2:外部から購入する電力や熱の使用に伴う間接排出
- ※Scope3:Scope1、2以外の間接排出(原料調達、輸送、使用、廃棄の他、従業員の通勤、出張など)
このようなCO₂削減・脱炭素への取り組みは徐々に広がりを見せ、中小企業や個人として目標を掲げるケースも増えています。
参考:資源エネルギー庁|今さら聞けない「パリ協定」 ~何が決まったのか?私たちは何をすべきか?~
企業がCO₂削減に取り組むメリット

- CSRを果たすことになる
- SDGsの取り組みになる
- 企業イメージが向上する
- ESG投資の対象になりうる
- ビジネス機会の創出につながる可能性がある
- エネルギーコストを削減できる
CSRを果たすことになる
CSRとは企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility)のことで、「企業活動は社会に対して少なからず影響を及ぼしているのだから、その影響に対して責任を負うべき」という考え方を指します。
先述のとおり、企業はその事業活動において相当量のCO₂を排出しており、地球温暖化の原因の一つであることは否めません。その企業がCO₂を削減する、つまり地球温暖化を対策しようとしているということは、CSRを果たすことにつながります。
SDGsの取り組みになる

SDGsは「17のゴール」「169のターゲット」から構成されています。17のゴールの一覧は次のとおりです。
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなに そしてクリーンに
- 働きがいも 経済成長も
- 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任 つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさも守ろう
- 平和と公正をすべての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
企業がCO₂削減に取り組むことは、SDGsの13番目の「気候変動に具体的な対策を」に直接的に貢献することになります。
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企業イメージが向上する
企業がCO₂削減に取り組むことは、SDGsに貢献し、CSRを果たすことはもちろん、環境経営・脱炭素経営を実践していることにもなるため、企業イメージの向上にも寄与します。
顧客からのイメージはもちろん、求職者や取引先からのイメージ向上にもつながるため、包括的にプラスの影響があるといえるでしょう。
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ESG投資の対象になりうる

CO₂削減に取り組むことで、ESG投資の対象になりうることもメリットの一つです。
ESG投資とは、財務情報だけでなく「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」に対する企業姿勢を加味して投資先を選定する手法です。
ESG投資の市場規模は日本だけでも約310兆円(2020年時点)に達し、世界的な投資規模は2025年までに53兆ドル(約8,300兆円)を超える見込みとなっているなど、急成長しています。
投資を呼び込むための一つの選択肢として、CO₂削減に取り組んでみてもいいでしょう。
ESG投資とは?企業がESG投資を意識した経営をするメリットをご紹介!
参考:金融庁|サステナブルファイナンス市場の整備等(1.59 MB)
ビジネス機会の創出につながる可能性がある
環境への問題意識を抱えた消費者は年々増えており、環境に配慮した製品・サービスの市場も拡大しています。また、SDGsに配慮するため、環境へ配慮した企業のみでサプライチェーンを構築するビジネスも今後増えていくでしょう。
そのためCO₂削減に取り組む、すなわち環境へ配慮して活動することは、ビジネス機会の創出につながる可能性もあるのです。
エネルギーコストを削減できる

ここまでは間接的なメリットを紹介してきましたが、より直接的なメリットとしては、エネルギーコストを削減できることが挙げられます。
企業活動に伴って排出されるCO₂の大部分は、発電に伴うものです。そのためCO₂排出量を削減しようとする場合、再生可能エネルギーを導入するケースが少なくありません。
このような場合、火力発電から太陽光発電由来の電力に切り替えるケースが多いです。そして、太陽光発電を導入すれば電気購入量を減らせるため、結果として電気代を削減できるのです。
再生可能エネルギー(再エネ)とは?種類や特徴、メリット・デメリットを解説!
CO₂削減への取り組み方

CO₂削減の取り組みは、次の3ステップを意識することが重要です。
- 情報収集と方針策定(知る)
- 温室効果ガス排出量の現状分析・削減ターゲットの洗い出し(測る)
- 削減計画の策定・実行・見直し(減らす)
まず、CO₂削減のためにできることを調べます。この記事を読んでいることこそが、まさらに第1ステップであるともいえるでしょう。ある程度の情報を集めたら、CO₂削減のために取り組むことの方向性を定めます。先述したとおり、太陽光発電を導入することも代表的な削減手段です。
つづいて、現状はどのくらい温室効果ガス(CO₂)を排出しているのか計測します。排出量については、「活動量(電気・燃料の使用量)」に「係数」をかけることで算出可能です。活動量は電気・ガスの使用明細で、係数については環境省のホームページをご確認ください(参考:環境省|算定方法・排出係数一覧 )。
事務所や工場ごとに温室効果ガス排出量を比較し、他と比べて温室効果ガスの排出量が多い施設がある場合、その施設には削減対象になりうる無駄があるかもしれません。 また、いきなりCO₂排出量を減らそうとすると、事業に悪影響が及ぶ可能性もあります。事業とCO₂削減活動を両立させるためには、次の3つの視点から計画を立てることが重要です。
- 時系列(季節・繁忙期・閑散期などを考慮)
- 事業所・設備間(生産効率・設備の劣化状況を考慮)
- 適正値(照明や冷暖房の適正稼働量を考慮)
これらの視点から実施できることを洗い出し、一つひとつ対処していきましょう。
CO₂削減のために企業が取り組めること

- 省エネルギー活動
- 太陽光発電・蓄電池の導入
- 非化石証書の活用
省エネルギー活動
企業全体で省エネ活動に取り組めば、企業活動に由来するCO₂の一部を削減できます。
たとえば営業車を「ハイブリッド車」や「電気自動車(EV)」に置き換えてみてもいいでしょう。社内の照明を「LED」にしたり、各種設備を省エネ性能の高いものに買い換えたりすることも効果的です。
太陽光発電・蓄電池の導入
すでに記事内で触れたとおり、太陽光発電・蓄電池を導入し、電力会社からの電力購入量を減らすことも、CO₂削減に効果的です。
電力会社から供給される電気は、その大部分がCO₂を排出する「火力発電」に由来します。そこで企業側が「自家消費型太陽光発電」を導入し、事業用電力を自家発電するようにすれば、企業活動に由来するCO₂排出量を大きく削減できるでしょう。
太陽光発電とあわせて蓄電池を導入すれば、CO₂削減効果はより高まります。蓄電池に余剰電力を溜めておけば、夜間や悪天候時にも太陽光由来の電気を使えるためです。
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補助金や助成金を活用できる
CO₂排出量を減らすために太陽光発電を導入するとなると、多額の投資が必要になると思う方もいるでしょう。
しかし既にふれたとおり、政府としても2050年カーボンニュートラルを目指しているため、企業が太陽光発電を導入するときに活用できる補助金・助成金が数多く用意されています。
自己負担額を0円にすることはできませんが、導入費用の大部分を補助金で賄うこともできるため、ぜひ時流を活かして太陽光発電を導入してみてください。
すでに令和6年度の補助事業は公募期間が終了しているものも多いですが、令和7年度に向けて早めに準備しておくといいでしょう。京セラは補助金の相談にも対応しているため、ぜひお気軽にお問い合わせください。
令和6年度の法人向け太陽光発電補助金情報を紹介!【2024年5月】
令和6年度の法人向け蓄電池の導入に使える補助金情報を紹介!【2024年5月】
また、初期費用の自己負担額を0円にする方法として、後の章で紹介するPPAサービスもあります。京セラも企業向けのPPAサービス 「産業用電力サービス事業」 を提供しているため、初期費用が導入のネックになっている場合は、お気軽にお問い合わせください。

非化石証書の活用
カーボンニュートラル達成のための手段としては、『非化石証書』を活用するのも選択肢の一つです。
太陽光発電などCO₂排出量が少ない電気には、環境を配慮する企業・家庭から選ばれやすい価値、すなわち「環境価値」があるとされています。この環境価値の一種が、「非化石電源からつくられた電気であることに起因する価値」である『非化石価値』です。そして「非化石価値」を証書にし、取引できるようにしたものが『非化石証書』と呼ばれています。
『非化石証書』は、取引市場でオークションにかけられています。そして小売電気事業者が『非化石証書』を購入すると、その購入分だけ「販売する電気のCO₂排出量が少なくなった」とみなされることがポイントです。この『非化石証書』を入手した小売電気事業者から「CO₂排出量が実質ゼロの電力」を調達することで、企業としても「事業由来のCO₂排出量を削減した」とみなせます。
太陽光発電・蓄電池を活用しても、事業に必要な電気をすべて自家発電することは難しいでしょう。しかし購入分の電力については『非化石証書』を活用すれば、すべての電力を自家発電で調達しないとしても、カーボンニュートラルの達成を目指すことができるのです。
非化石証書とは?仕組みや特徴、種類・価格と活用メリットを解説!【法人】
参考:資源エネルギー庁|「非化石証書」を利用して、自社のCO2削減に役立てる先進企業
CO₂削減活動を企業がアピールする方法

さて、企業としてCO₂削減活動に取り組んでいる場合、それをアピールすることでビジネスチャンスにつながる可能性もあります。
CO₂削減活動をアピールする方法はさまざまですが、とくに「RE100」もしくは「再エネ100宣言 RE Action」への参加を検討してみてください。それぞれ詳しく解説します。
RE100
RE100(Renewable Energy 100%)とは、事業で使う電力を100%再エネで賄うことを目指す国際的なイニシアティブのことです。RE100に参加する場合、遅くとも2050年までに100%再エネ化を達成する必要があるとされています。また、2030年までに60%、2040年までに90%達成という中間目標の設定が推奨されていることも特徴です。
RE100はグローバルな枠組みであるため、国内外に向けたアピールとして活用できるでしょう。
しかし、RE100はどのような企業でも加盟できる枠組みではありません。第一条件として、年間消費電力量が100GWh以上(日本企業は特例として50GWh以上に緩和)であることが求められます。
ただし、かりに年間消費電力量が100GWh未満(日本企業は50GWh未満)の場合、以下条件のいずれか1つ以上満たしていれば加盟できる可能性があります。
- RE100事務局が重視する地域・業種における主要事業者である
- RE100事務局が重視する地域の政策提言に参加する意思がある
- グローバルまたは国内において認知度・信頼度が高い
- 主要な多国籍企業(フォーチュン1000またはそれに相当)である
- その他、RE100の目的に利する国際的・地域的な影響力を持つ
他にも業種業態によってさまざまな条件が設けられており、多くの日本企業にとってRE100へ参加するハードルは決して低くありません。
RE100とは?定義や条件、再エネ100%の達成方法を紹介!【法人】
再エネ100宣言 RE Action
RE100への加盟が難しい企業であっても、中小企業向けの「再エネ100宣言 RE Action」には加盟できます。
「再エネ100宣言 RE Action」は、企業などの電力需要家が使用電力を再エネに100%転換する意思・行動を示し、市場や政策を動かしていこうとする枠組みです。
「再エネ100宣言 RE Action」に参加する場合も、遅くとも2050年までに使用電力を100%再エネ転換する目標を設定・公表することが参加要件とされています。しかし、企業規模の要件はありません。
社内外に向けて100%再エネ転換、すなわちCO₂を排出しない電気のみで事業を推進していくことをアピールしたい場合は、ぜひ「再エネ100宣言 RE Action」に参加してみてください。
参考:一般社団法人再エネ100宣言 RE Action協議会|再エネ100宣言 RE Actionについて
CO₂削減のためには太陽光発電・蓄電池の活用がおすすめ
記事内で触れてきたとおり、CO₂削減のためには太陽光発電・蓄電池の活用がおすすめです。
太陽光発電・蓄電池を活用すればCO₂削減に貢献できることはもちろん、電気代削減・停電時対策としての効果も期待できます。補助金を活用すれば自己負担を抑えて導入できるため、ぜひご活用ください。
また、初期費用0円で太陽光発電を導入したい場合は、PPAを活用するのもおすすめです。PPAとは「電力購入契約(Power Purchase Agreement)」のことで、サービス事業者の負担で太陽光発電設備を設置し、利用者側(企業側)は初期費用0円で設備を導入できることが特徴です。ランニングコストは「利用した分の電気料金またはサービス利用料」のみで、メンテナンス費用もサービス事業者が負担します。
京セラは、企業向けのPPAサービス 「産業用電力サービス事業」 を提供していますので、ぜひ一度ご相談ください。 太陽光発電のみの導入が前提となっていますが、蓄電池を契約に組み込める場合もあります。

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