熱が物質の中をどれだけよく伝わるかを示すのが「熱伝導率」です。ファインセラミックスには、この伝導率が高く、熱をよく伝える素材と、熱伝導率が低く、熱を伝えにくい素材があります。窒化アルミニウム、炭化ケイ素は特に熱をよく通す素材です。窒化アルミニウムは、発熱が大きく熱がこもっては困る半導体部品のパッケージなどに使われています。反対に、ジルコニアは熱をよくさえぎり、熱伝導率はステンレス鋼の10分の1の小ささです。高温になる炉の壁などに用いられています。
物質の中の熱の流れやすさを示す物性が熱伝導率です。常温での最も高い熱伝導率をもつ物質はダイヤモンドですが、ファインセラミックスの場合、内部の気孔、粒界、不純物なども影響します。これらを制御した高い熱伝導をもつ材料もあります。
熱伝導は電子の移動や格子振動の伝達により生じます。電気抵抗が低い金属や格子振動が伝わりやすい結晶、例えば、格子点に質量の近い原子やイオンが存在する結晶や結合が強い共有結合性の結晶は高い熱伝導率を示します。
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