生物多様性保全
私たち人類の暮らしは、さまざまな自然の恵みによって成り立っています。しかし近年、地球から毎年日本の国土面積の1/5にも相当する森林が失われており、ここ数百年の人間活動の影響で、生物種の絶滅速度は1,000倍に加速したといわれるなど、生物多様性を取り巻く状況は、極めて深刻となっています。
事業活動は生態系に依存し大きな影響を与えていることから、生物多様性保全活動を行うことは、持続的な発展を目指す環境経営を行う上で重要です。
京セラグループでは、生物多様性の保全にかかわる取り組み方針を掲げ、積極的な活動を進めています。
- 重要な生物多様性を有する場所を回避するなど、自然環境破壊や生態系への影響を低減する
- 環境影響評価を実施し、最小化、回復、オフセットなど影響の緩和に努める
- 事業所の緑化を積極的に推進する
- 外部パートナーと協力し、社会貢献活動へ参画、支援する
また、2010年より「日本経団連生物多様性宣言」推進パートナーズへ参加し、2020年には「経団連生物多様性宣言イニシアチブ」において提言された「経団連生物多様性宣言・行動指針(改訂版)」に賛同しています。
生物多様性保全への取り組み
京セラグループは、地球温暖化防止や生物多様性保全などの環境問題への対応、地域社会への貢献、従業員の環境意識向上を目的に、森づくり、ビオトープの整備、絶滅危惧種の保護や、伝統野菜の保存栽培活動などを展開しています。
2023年度は生物多様性保全活動を29件実施することを目標に掲げ活動し、結果として30件の活動を実施し、目標を達成しました。2024年度は、47件の生物多様性保全活動の実施を目標に積極的に取り組んでまいります。
2023年度目標 |
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2023年度実績 |
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2024年度目標 |
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「京セラの森づくり」活動を推進
京セラグループは、工場敷地や地域の森林を緑豊かに再生させる活動を展開しています。活動では主に、森林組合などの外部パートナーや地元の皆様と協働で、間伐や除草や植林などを実施しています。
活動実績(2023年度)
活動場所 | 活動開始 | 活動内容 | |
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長野県岡谷市 | 湊財産区(約80,000m2) | 2011年10月 | 長野県 「森林(もり)の里親促進」 事業に賛同。 カラマツの植林:累計3,450本。間伐、下草刈り。 |
パートナー:岡谷市、湊財産区管理会 | |||
滋賀県東近江市 | 滋賀東近江工場社有林(約20,000m2) | 2008年6月 | 間伐、下草刈り。天然更新による植生回復。 |
京都府綾部市 | 京都綾部工場社有林(約24,000m2) | 2020年4月 | 丹波栗の植林:累計37本。間伐、下草刈り、遊歩道整備。 |
パートナー:綾部市 | |||
京都府京田辺市 | 甘南備山(約880,000m2) | 2012年11月 | 間伐、下草刈り。天然更新による植生回復。 |
パートナー:京都府、京田辺市、京都モデルフォレスト協会、薪甘南備山保存会 | |||
鹿児島県薩摩川内市 | 鹿児島川内工場社有林(約1,000m2) | 2011年4月 | 間伐、下草刈り。天然更新による植生回復。 |
ビオトープの整備
鹿児島国分工場、滋賀野洲工場、滋賀八日市工場では、生物の生息空間を確保するため、また従業員の環境意識向上および憩いの場としてビオトープを整備しています。
鹿児島国分工場
滋賀八日市工場
滋賀野洲工場
工場内の生態系調査
滋賀野洲工場では、工場敷地内のビオトープを含む主な緑地の生物多様性の現状を把握し、今後の保全活動の指針とすることを目的に、外部機関と共同で生態系調査を行いました。植物・昆虫・鳥類・水生生物に関して調査した結果、ビオトープや工場緑地には在来種や希少な生物、地域由来の樹種が存在しており、周辺地域において貴重な生息地となっていることが判明しました。また、ビオトープでは滋賀県「レッドデータブック」で分布上重要種、環境省「レッドリスト」で準絶滅危惧種に指定されている、希少な昆虫「エノキカイガラキジラミ」の幼虫の群生跡が発見されました。調査結果を活用し、地域の生物多様性保全に寄与する効果的な活動を今後も進めてまいります。
絶滅危惧種の保護
京セラドキュメントソリューションズ株式会社 玉城工場(三重)では、環境保護団体「清(すが)し有田佐田沖環境保全会」と里地里山の保全・再生の取組に関する協定書を締結し、ビオトープ再生活動を行っています。以前、田んぼであった土地の除草・間伐や植物の植え付け、水路の整備などの活動を行った結果、希少動植物の生息が確認されています。そして、ビオトープの再生と並行して、子どもたちが自然について学ぶことを目的とした観察会を支援しています。