サーキュラーエコノミー構築への貢献/廃棄物削減の取り組み

京セラグループは、「社会・世界・自然との共生」を経営思想の基本とし、地球環境保全と持続可能な社会の実現を目指しています。
資源消費に依存しない循環型システムの確立に向け、廃棄物削減と再生資源の活用を推進しています。

サーキュラーエコノミー構築への貢献

サーキュラーエコノミーに対する考え方

世界的にサーキュラーエコノミーへの移行が進む中、EUでは「サーキュラーエコノミーアクションプラン」により廃棄物削減の目標が設定されています。京セラグループは、専任部門を新設し、自社から排出される廃棄物を再生原料として活用することで、廃棄物ゼロを目指して活動を進めています。

サーキュラーエコノミーの取り組み

包装材の環境負荷低減

包装材の設計・開発を通じて、資材使用量の削減と再生資源の活用を推進します。

省資源化設計

新方式の折箱を採用して資材使用量を削減するなど、機能性を維持しながら環境負荷低減に貢献しています。

廃棄PETフィルムの再利用

京セラで排出される廃棄PETを製品用トレーの原料として再利用することを目指して取り組みを進めています。トレーのPET材料の50%以上を再生原料とすることを目標に、廃棄物の発生および新品原料の使用を最小化していきます。

画像:PETフィルム(イメージ)
PETフィルム(イメージ)

複合機・プリンターの循環型システム

京セラドキュメントソリューションズ株式会社は、製品設計から回収・再生まで一貫した循環型システムを構築しています。

環境配慮設計

長寿命設計、3R(リデュース・リユース・リサイクル)設計、低消費電力設計を採用しています。 「環境配慮設計基準」に基づき、開発初期から環境負荷低減を追求しています。

再生プラスチック(PCR)の活用

製品本体およびトナーコンテナに再生プラスチック(PCR)を導入しています。2023年に1%以上、2024年に5%以上を基準とし、複合機全体の50%をリサイクル材料とする目標を設定しています。

PCR:消費後に廃棄されたプラスチックがリサイクルされたプラスチック原料

製品の回収から再利用

使用済みの複合機・プリンターを回収し、材料・製品レベル(一部地域)の再利用を実施しています。再生容易化設計を強化し、再利用の拡大を目指します。

使用済み携帯電話のリサイクル

携帯電話に含まれる貴重な資源を有効活用し、環境負荷の低減に貢献しています。

モバイル・リサイクル・ネットワーク(MRN)

CIAJを通じて他社と共同で回収・再資源化を推進。全国の回収センターで携帯電話をリサイクルし、採掘による環境破壊を防止します。

機械工具のリサイクル

切削工具の使用済みチップおよびケースのリサイクルを通じて、工場のゼロエミッションを支援しています。

チップ・ケースのリサイクルプログラム

使用済み超硬素材品やチップケースを回収・再資源化しています。生産性向上とサステナビリティ活動を両立し、環境負荷低減に貢献しています。

燃料電池からのレアアース回収

燃料電池のリサイクル技術を開発し、資源循環を推進します。

レアアースの抽出・再利用

使用済み燃料電池のセルスタックからレアアースを回収・再資源化する取り組みを進めています。リサイクル技術の革新を通じて、資源の有効活用を目指します。

画像:燃料電池
燃料電池
画像:セルスタック
セルスタック
画像:レアアース
レアアース

廃棄物削減の取り組み

再資源化率

京セラでは、2023年度までサーマルリサイクルしている廃棄物は再資源化廃棄物としていました。2024年度からは、プラスチック等の資源循環を促進するため、サーマルリサイクルしている廃棄物を非再資源化廃棄物として定義し、これらの削減に取り組んでいます。2024年度は非再資源化廃棄物が多い5拠点で削減目標を掲げて取り組んでいましたが、2025年度より対象を京セラの日本生産拠点、京セラドキュメントソリューションズの生産拠点、KYOCERA Thailand、 KYOCERA Vietnamへと対象を拡大し、絶対量目標へと移行します。今後も引き続き持続可能な社会の実現を目指していきます。

図:【2023年度までの定義】【2024年度以降の定義】​
2024年度目標
  • 非再資源化産業廃棄物150t(京セラの非再資源化廃棄物の1.1%相当)の削減対策を実施。
2024年度実績
  • 非再資源化産業廃棄物 561tの削減対策を実施。
2025年度目標
  • 非再資源化産業廃棄物排出量 11,280t以下
    (対象:京セラ 日本生産拠点、京セラドキュメントソリューションズ 生産拠点、KYOCERA Thailand、KYOCERA Vietnam)

なお、従来の定義(再資源化廃棄物にサーマルリサイクルを含む)では、2024年度の京セラグループ(日本生産拠点)の再資源化率は、99.5%でした。

グラフ:再資源化率​

再資源化率(%)の定義は「1-最終処分量/排出量」×100としています。
2024年度の電機・電子業界4団体の再資源化率は公表されていないため、記載していません。

廃棄物排出量

京セラグループでは、資源循環の観点から、廃棄物の排出量を管理しています。生産拠点に対し、廃棄物排出量占有率、廃棄物処理費用占有率を評価して、廃棄物リスクの高い拠点を選定しています。
2025年度廃棄物リスク評価の結果、廃棄物リスクの高い拠点は11拠点となり、その廃棄物排出量の合計は28,923tで、2024年度の廃棄物排出量の67%を占めています。

2024年度目標
  • 廃棄物排出量659tの削減対策を実施。
    (この目標は、廃棄物リスク評価を行った結果、廃棄物リスクの高い生産拠点に適用)
  • 全生産拠点(日本国内)でのゼロエミッション(産業廃棄物の再資源化率99.5%以上)を継続。
2024年度実績
  • 廃棄物排出量1,157tの削減対策を実施。
  • 全生産拠点(日本国内)でのゼロエミッション(産業廃棄物の再資源化率99.7%)を達成。
2025年度目標
  • 廃棄物排出量1,323tの削減対策を実施。
    (この目標は、廃棄物リスク評価を行った結果、廃棄物リスクの高い生産拠点に適用)
  • 全生産拠点(日本国内)でのゼロエミッション(産業廃棄物の再資源化率99.5%以上)を継続。
図:【2023年度までの定義】【2024年度以降の定義】

廃棄物対象範囲
2020~2022年度:[日本]産業廃棄物+特別管理産業廃棄物 [海外]有害廃棄物
2023年度〜:[日本]産業廃棄物+特別管理産業廃棄物+一般廃棄物 [海外]有害廃棄物+非有害廃棄物

原単位は廃棄物対象範囲に合わせて算出しています。(2022年度以前は廃棄物排出量から、2023年度以降は廃棄物排出量に一廃・非有害廃棄物を含めた廃棄物総排出量から算出しています。)

一部拠点のデータ集計精度向上に伴い、2022、2023年度データを更新しています。

廃棄物削減の取り組み事例

研削廃液の減容化による産廃削減

鹿児島国分工場では、送風式蒸発器を導入し、研削廃液に含まれる水分を蒸発させることで廃液の減容化を行い、産業廃棄物の排出量を削減しています。なお、送風式蒸発器の昇温については廃熱を利用しています。

 廃棄物排出削減量:458t/年

2台削減合計値を表示。(2023年度は1台導入。)

画像:送風式蒸発器
送風式蒸発器

フェントン前処理設備導入に伴う産廃削減

京都綾部工場では、高濃度有機物を含む濃厚排水を処理するためのフェントン前処理設備を導入しました。導入前は、濃厚排水を既存の排水処理では処理できず、全量産業廃棄物として排出していました。今回、フェントン前処理設備を導入したことにより、既存の排水処理で対応可能となり、産業廃棄物の排出量を削減しています。

 廃棄物削減量:676 t/年

画像:フェントン前処理設備
フェントン前処理設備

研磨液の使用寿命延長による産廃削減

京セラ光電科技(東莞)有限公司では、レンズ製造工程にて遠心分離機を導入し、研磨液の不純物を分離することにより研磨液の使用寿命を延ばすことで、産業廃棄物の排出量を削減しています。

 廃棄物排出削減量:120t/年

画像:遠心分離機を搭載した研磨装置
遠心分離機を搭載した研磨装置