知的財産に対する取り組み
基本方針
「事業を守り、事業を強くする法務知財活動に徹する」これは京セラの法務知財活動における行動指針です。目まぐるしく変化する社会情勢の中であっても、一貫した考えを行動指針として掲げることで、京セラグループ一丸となった知財活動を展開しています。
組織体制
グローバル法務知財 5極体制
京セラでは、知的財産管理指針を制定するとともに、知的財産の権利化と維持管理、知的財産のライセンス交渉などを円滑に行うため、主要拠点にリエゾンと呼ばれる知的財産担当者をおき、知的財産部門と連携しながらより事業に密着した知的財産の保護・活用に努めています。更に京セラは、京セラグループ各社が保有する知的財産を積極的に活用し、世界各国で生じる知財リスクを未然に防ぐための活動をしています。その一つとして、世界を5つの地域(米州、欧州・中東・アフリカ、日本・韓国、中国、アジア・パシフィック)に分け、それぞれの地域におけるグループ各社の連携や情報共有を促進する「グローバル法務知財 5 極体制」を展開しています。
ブランド管理委員会
ブランド管理委員会を設置し、その活動を通じてコーポレートイメージの統一と認知促進を図り、京セラグループのブランド価値向上を目指しています。
事業と一体となった知財活動
事業戦略と知財戦略の融合
京セラは、「知財戦略を事業戦略に組み込んでいくこと」をミッションとして知財活動に注力しています。IP ランドスケープ※などを通じて事業戦略検討の初期段階から知財戦略の組み込みを提案し、各事業をより強固なものとする活動を展開しています。
知財情報とその他公開情報を組み合わせた情報分析
競争優位を持続する知財活動
さまざまな事業分野において、優れた知財・無形資産は競争優位をもたらし、高収益・高シェア体質を維持する源泉となります。そしてその収益から再投資を行うことにより技術をさらに磨き、知財・無形資産を強化します。私たちは、このようなサイクルを回し続けることが事業を支える知財活動であると位置付けて実行しています。
半導体セラミックパッケージの競争優位性
上記サイクルの例として、基幹事業の一つである半導体セラミックパッケージが挙げられます。右に示す小型化技術における特許分析結果※では、京セラの特許総価値がこの数年継続して伸びていることが表れており、他社に比べて優れた知財・無形資産を保有していることが分かります。このように強力な知財・無形資産で競争を優位に進めて高収益・高シェアを獲得し、その利益を再投資することで知財・無形資産をさらに強化するサイクルを実現し、将来の事業成長につなげています。なお、2026年3月期までの3年間に、グループ連結で最大8,500億円の設備投資を計画しており、その50%近くが半導体セラミックパッケージを含む半導体関連部品分野となっています。
LexisNexis社のPatentSightを用いて分析
知財活動による事業貢献の見える化
知財活動の事業に対する貢献の見える化を図るため、ライセンス収入やリスク低減など、さまざまな知財活動の成果を独自の計算方法で金額換算しています。そして、これにもとづいてKPIとして年度ごとに目標金額を設定しています。このように目標を掲げることにより、具体的な成果を追う知財活動を実施しています。
特許保有件数
多様化する市場への技術的な提案力を高く維持するべく、京セラでは多角化経営を展開しながら国内外・多分野で特許を取得しています。京セラグループは、国内・海外とも多くの特許を保有し、知的財産の強化に努めています。
【グラフの算出条件】2024年6月末時点での京セラグループの関連会社を含む。
環境貢献技術に関する知財活動
デジタル捺染
新たに取り組むデジタル捺染の分野において、京セラは、水の使用量削減、印刷物の風合いと堅牢性の両立、省スペース化に伴う設置自由度といった大きな顧客価値を提供します。
この顧客価値は顔料インクと前後処理液を同時に印刷するヘッド技術により提供されます。これら独自技術について、関連技術含めてすでに特許(特許出願中含む)を70件以上出願しており、今後の事業を強固なものとしています。
生物多様性に資するLED応用技術
京セラでは既存のLED技術を応用し、 生物多様性に資する技術の開発にも積極的に取り組んでいます。
アクアリウム照明
京セラのLED「CERAPHIC®」は、自然光に近いスペクトラム特性を有するため、さまざまな生物や植物の育成にも好適です。水生生物の成長を促進するアクアリウム照明において、CERAPHICを、多くの水族館などで採用いただいていますが、このような特徴のあるスペクトラム特性を実現する独自の技術は多数の特許により保護されています。
ミドリイシ(サンゴ)がCERAPHICで
本来の発色をしている様子
矮性イネ
自然光の再現性が高いことから京セラのLED照明は植物工場向けの照明にも適しており、LED照明を使用した矮性イネ育成の技術開発を進めています。将来を見据えた事業開発を行うため、検討の初期段階から積極的な知財活動を実施しています。
知的財産の積極的な活用
京セラグループでは、知的財産の活用にも積極的に取り組んでおり、その一環として「京セラグループ知的財産サイト」を設けています。このサイトでは京セラが保有する独自技術の一部を簡単に紹介し、興味を持っていただいた企業様とのビジネス機会の創出に努めており、実際に協業へと発展したケースがあります。
模倣品に対する取り組み
京セラグループでは、模倣品の被害からお客様を守り、安心して製品をお使いいただけるよう、世界各国でさまざまな取り組みを行っています。世界中の通販サイトあるいは流通現場において模倣品の監視調査を実施しています。模倣品を販売する業者に対しては、警告や行政摘発を行い、今後模倣品を取り扱わない旨の誓約を求めるとともに在庫の破棄、仕入先の開示などを要請し、模倣品の流通拡大を防止しています。また、トナーコンテナなど一部の製品については、真がん判定用ホログラムシールを採用し、純正品と模倣品を判別しやすくするなどの改善を行っています。